「いかしあうつながりデザインカード」の使い方
「いかしあうつながりデザインカード」(略して「いかつなカード」)は、「いかしあう関係性」をデザインするためのカードセットです。デザインできる範囲は「今日の過ごし方」から、組織の未来、果ては持続可能な社会まで!
とはいっても、遊び方、使い方が決まっているわけではありません。このページでは、NPOグリーンズのメンバーやgreenz peopleから寄せられた遊び方、使い方を掲載しています。
最終更新日 2020年6月2日
7種類のカードについて
– 「はじまりの問い」カード 3枚
– 「パーマカルチャーの倫理」カード 3枚
– 「みんなのニーズ」カード 10枚
– 「9つの資本」カード 9枚
– 「デザインの原則」カード 10枚
– 「いかしあう態度」カード 5枚
– 空白カード 1枚
いかしあうつながりをデザインする4つのステップ
「いかしあうつながりデザインカード」は7種類、41枚のカードがセットになっています。それらは、以下のいかしあうつながりをデザインする4つのステップにそれぞれ対応しています。すべてを一度に使用する必要はなく、「みんなのニーズ」カードだけ、あるいは「みんなのニーズ」カードと「9つの資本」カードを組みわせて、など、目的に応じて使い分けられるようになっています。
①感じる、観察する → 「はじまりの問い」カード、「パーマカルチャーの倫理」カード
②ニーズを明確にする → 「みんなのニーズ」カード
③資源を見える化する → 「9つの資本」カード
④関係性をつなぎなおす → 「デザインの原則」カード
※「いかしあう態度」カードは全体に関係しています
4つのステップについてより深く学んでみたい方は、「グリーンズの学校」で開催予定の「いかしあうデザインの教室」(準備中)を受講してみてください。
はじまりの問い 3枚
いつ使ってもよいでしょう。一人で、家族で、プロジェクトの仲間たちと。スキマ時間に考えても、ノートに書き出したり、絵を描いたり。デザインの初期段階でやっておくことと、一番根っこの、そのデザインに取り組む理由がはっきりします。「なぜこれをデザインしたいのか」は一番重要な問いです。上記の4つのステップでは、主に①に対応しそうです。
パーマカルチャーの倫理 3枚
パーマカルチャーの創始者であるビル・モリソンたちは世界各地の持続可能な農業や暮らしのあり方を研究した結果、3つの倫理に行き着いたそうです。「倫理」と聞くと難しい印象ですが、困ったとき、もう一度原点に立ち返りたいとき、目の前の制限にとらわれているなと思ったとき、思いっきり引いた視点で物事を見たいときに使ってみてください。どちらかといえばパーソナルな「はじまりの問い」に対し、こちらは社会全体、文明全体、地球規模で考えるきっかけになる、そんなカードです。上記の4つのステップでは、主に①に対応しそうです。
みんなのニーズ 10枚
ニーズは、みんなの生きる源泉です。行動も、仕組みも、すべてニーズを満たすために存在しています。ニーズのメガネを通して世界を見てみると、世界が違って見えます。一人で考えてみたいニーズを選び、そのニーズがなぜ大事なのかを考えても良いし、今、自分は何を求めているだろう? といった具合に自分のニーズを確かめたり、「今日の会議で満たしたいニーズはなに?」と聞いてその場で改善するのに使ったり、ある仕組みがうまく行っていない時、どんなニーズが満たされていて、どんなニーズが満たせていないのかを考えることで、改善案を出せたり。関係者のニーズを明確にしてからデザインするなど、さまざまな使い方がありそうです。上記の4つのステップでは、主に②に対応します。
9つの資本 9枚
デザインをしようとするとき、どんな資源があるのかを見極めることができて、はじめて良い関係性のデザインができます。9つの資本カードのグループは、すでにある資源を見つけたり、見える化したりすることに使えます。自分のまわりにどんな資源があるのか? わが町にはどんな資源があるのか? 自分が属している会社、団体の資源を書き出したりしてもよいでしょう。上記の4つのステップでは、③に対応します。
デザインの原則 10枚
デザインの原則カードのグループは、明確になった「満たしたいニーズ」を満たすために、多様な資源をいかして、「いかしあう関係性」をデザインするときに参考になる視点として活用できます。ランダムに選び、自分がデザインしたい対象にどのように手を入れるべきか考えてみたり、観察対象において、どのような関係性のデザインがされているかを観察するときに使えそうです。永く続いている文化、暮らしの中にも、たくさんの関係性のデザインが隠れています。上記の4つのステップでは、④に対応します。
いかしあう態度 5枚
いかしあう態度は、即効性のあるカードではありません。具体的なデザインを目指すときは原則のほうが参考になります。デザインプロセス全体で気をつけたほうがいいこと、忘れるべきでない視点がまとまっています。時々見返して、確認するときに使えそうです。上記の4つのステップでは、全体に対応します。
空白カード 1枚
空白カードは、余白のカードです。このカードセットはまったくの未完成です。ぜひ、書き込んで使ってみてください。そして、編集部に使ってみた感想を教えてください。
例えば、こんな使い方
「いかつなカード」でこれからのキャリアを考える
【目的】自分が持っている資源を見つけ、その関係性をデザインし、理想のキャリアをはっきりさせること
【使うカード】「9つの資本」カード
【発案者】山中康司(生き方編集者/グリーンズ求人)
②書き出しだ資源を発表する
③他の参加者の「こんな資源もあるよね」という意見ももらい、資源をさらに書き出す
④書き出された資源の中で、特にしあわせにつながりそうなものをいくつか選ぶ
⑤選んだものを、よりしあわせにつながるよう組み合わせてみる
⑥組み合わせたものをもとに、ネクストアクションを考えてみる
詳しくはこちらをどうぞ!
「いかつなカード」でメンバーと面談する
【目的】マネージャーがチームのメンバーと面談を行う際に、お互いのニーズ(こんな仕事/働き方をしたい等)と資本(得意なこと、スキル等)の関係性の点から対話をして、より良いチームを目指す
【使うカード】「みんなのニーズ」カード、「9つの資本」カード
【発案者】植原正太郎(NPOグリーンズ理事)
※スタッフは自分の「ニーズ」について「満たせているもの」「満たせていないもの」を考える。また自分の「資本」についても棚卸ししておく。
※マネージャーは「マネージャー自身」と「チーム/組織」の2つの観点から「ニーズ」と「資本」について考えておく。
②面談前に、事前に観察してまとめた考えをテキストなどでお互いに共有しておく。
③面談開始時は「チェックイン」の時間を取り、お互いの近況や気分/体調などの雑談から始める。
④面談前半は事前に共有した「ニーズ」と「資本」についてお互いに説明して、現状について認識をすり合わせる。
⑤面談後半は「満たせていないニーズ」に焦点をあて「マネージャー」「スタッフ」「チーム/組織」それぞれの資本を活かしたり、関係性をデザインすることによって、ニーズを満たすための働き方や役割分担のアイデアを一緒に考える。
⑥面談終了時は「チェックアウト」の時間を取り、面談を経ての感想やいまの気持ちを共有する。
「いかつなカード」で家庭の問題を解決する
【目的】家族みんなにとってハッピーな解決法を探り出す。
【使うカード】ニーズ、資本、原則
【発案者】おぐなお(NPOグリーンズスタッフ)
①解決したい問題を掲げる(例:「家が片付かなすぎて私がイライラする問題」)
②その問題を解決してどうなりたいのか、自分たちのニーズをあげる(例:夫「休息、癒やし」私「共感、思いやり」「生き残ること」)
③自分たちの資源を書き出す(マインドマップがおすすめ!)(例:「子どもたちのわんぱくエネルギー、クリエイティビティ、広いリビング」)
④原則カードを見ながら、資源をつないで解決策を生み出す。(例:「リビングに子どもたちの開放区をつくる」)
詳しくはこちらをどうぞ!
まだやってないけどやってみたい使い方
今晩のごはんを決める/住む場所を決める/世界平和の実現のしかたを考える/ベランダ菜園で何を育てるか決める/土日の過ごし方を考える/クローゼットの整理をする/繰り返し起こる問題の対処を考える/家族会議/いつもけんかしちゃうあの人と分かり合う/親への支援を兄弟で話し合う/夫が作れる料理を増やす/家に完璧フィットする本棚を考える/DIYを始める / ゴミを捨てる / やる気が起きる方法をかんがる / 暇な時間がない/投資プランを決める/なにか共同創作をする/犬の散歩のルートを決める/どの銘柄のビール(orレモンサワー)を買うか?/新規事業を考える/チームワークを高める/コミュニティを育てる etc
クレジット/SPECIAL THANK
デザイン:平山みな美
イラスト:Yone
編集と文章:鈴木菜央
アシスタント:hiro、modeko
印刷:江戸クリエート
SPECIAL THANKS: 小笠原春野さんには、ニーズカードのデザインと構成において大変有益な助言をいただきました。
ソーヤー海さんには、全体にわたって、たくさんのインサイトとアイデアをもらいました。少し手伝ってもらうくらいのはずだったのに、ほとんど「監修」に近い貢献をいただきました。みんな、ありがとう!