新聞でも、雑誌やウェブでも、トップには思わず目を引かれるセレブリティのゴシップやネガティブなニュースが多く並んでいます。それらは果たして、私たちの生活にプラスになっているのでしょうか?
「世界は絶望的なのではないか」と思わせるようなニュースするよりも、未来に希望を持てるような、ポジティブなニュースを提供するほうが、世界はきっと明るく意味のある方向に向かうのでは…そんな思いからイギリスで誕生したのが、ニュースサイト「Urban Times」です。
「Urban Times」http://urbantimes.co/
例えば、中国で計画されている3Dバスと呼ばれる巨大なバスに関する記事。こちらは、交通渋滞や大気汚染が深刻な問題になっている北京で、トンネルのような巨大なバスを作り、一気に人を運ぶという計画が提案されているという内容でした。世界をビックリさせるアイデアでありながら賛否両論を巻き起こし、大きな反響を呼びました。
また、ロンドンのボリス市長へのインタビューでは、2011年のロンドンでの暴動に関してや、バスや地下鉄の料金アップについてなど、するどい質問で切り込んでいます。ニュースは一般的に、受動的に受け取るものという認識がありますが、Urban Timesの記事はそれにプラスして、考える機会を与えているのです。
Alexander Phillips
本当に人の心に響くものを届けたい
このサイトを立ち上げたAlexander Phillips(以下アレクサンダー)とCharlie Hilton(以下チャーリー)の2人は古くからの友人で、いつもお互いに最新の情報を交換していました。アレクサンダーは政治や環境、チャーリーは建築とデザインについて関心があり、興味分野は違うものの「本当に人の心に響くものを伝えたい」と、2人はブログを始めることに。それが「Urban Times」の前身となったサイトでした。
チャーリーとよく話していたニュースを、自分たちだけではなくもっと多くの人とシェアしたいと思いました。最初は起業なんて全く考えていなくて、むしろお金を稼ぐために法律や会計などの仕事をしようと思っていたくらい。
気がつくとブログにもかなりの人数のファンがついていて、世界が今求めているものを実感しました。このブログをただの趣味ではなく、ビジネスとして成り立たせるために動き始めたんです。
創業当初の「Urban Times」
ビジネスで大切なのは、人と人のつながり
当初は2人で記事を書いていましたが、次第に読者たちから「自分たちも書きたい」という申し出が来るようになり、単なるニュースサイトではなく、同じ考えを持った人たちとともに作り上げるコミュニティを目指すように。
もともとコミュニティをつくりたいと考えていたのです。父親も起業家で、子どもの頃から「ビジネスとはどうやって成り立っているのか」ということをよく教えられていました。お金の流れも大事だけれど、ビジネスの軸はプロダクトでもサービスでもなく、「人と人のつながり」だと思っています。
今では700人ものゲストライターと25万人の購読者を抱えるニュースサイトとなったUrban TImes。しかし、アレクサンダーが考えるゴール地点にはまだ程遠いよう。
社会的に正しいことを追及するとなると、なかなか利益とマッチしないことが多いけれど、僕たちは「正しいこと」と「会社を成功させること」を同時に達成しようと目指しています。会社の信念も「人・地球・成功」と掲げて、「信念を貫き通した上での成功」が必要だと思っています。だから何度失敗したとしても、自分の想いや熱意を大切しながら続ければ、夢は絶対に叶うと信じています。
コミュニティで作りあげていく
現在は、ゲストライターから入稿された記事を編集部でチェックして公開するという形を取っていますが、将来的にはコミュニティのメンバー同士で編集からアップまで、記事のクオリティを管理できるよう、「Citizen Hub」という新しいサイトを立ち上げたいと考えているようです。
Citizen Hub
ゲーミフィケーションを導入し、記事の質やコメントをユーザー同士が競い合うような形にしたいと考えています。Citizen Hub内で優秀な記事として認められたものはUrban Timesのサイトの方でもアップされるという仕組みを考えています。
どれだけ素晴らしい記事を投稿したか、また他の人の記事をどううまく編集したか、記事投稿に対していかに解決策につながるコメントをしたかなど、様々な指標を設けてポイントをゲットしていく。ポイントがたまるにつれて、ライターの質もどんどん上がっていくだろうし、サイトの記事の質も向上するはず。
現在は英語版と中国語版の2つを展開中ですが、さらに多言語で展開していく予定。この新しいサイトが軌道に乗れば、世界的に活躍できるジャーナリストたちがどんどん育っていくかもしれません。
日本にも、世界でも、私たちの周りにはたくさんの問題が山積みです。でも少し違った目線で見てみると、ポジティブでワクワクするような出来事もたくさん起こっています。Urban Timesを参考に、身の回りのネガティブなことをプラスに捉えて直して、新しい気づきを発見してみてください。
[MYPRO LONDON] Alexander Phillips – Urban Times from Happiness Architect™ on Vimeo.