greenz.jpの連載「暮らしの変人」をともにつくりませんか→

greenz people ロゴ

小さな思いやりが、大きなアクションに! 3万人のクリックがいじめ被害者にプレゼント

Some rights reserved by Dave Dugdale

Some rights reserved by Dave Dugdale

いじめ。最近ニュースでもよく聞く言葉ですね。「いじめを受けている人に励ましの声をかけてあげたい」「その人を助け出してあげたい」と、思いは募るばかりかもしれません。けれど、いじめにどう対処すればいいのか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、「誰かを助けてあげたい」と思った人々が、クリック一つで出会ったこともない女性にかけがえのないプレゼントを贈った話です。

きっかけは、ある動画

今年6月、YouTubeにある動画がアップされました。その内容は、数名の中学生がスクールバス補佐役である68歳の女性、Karen Klein(カレン・クライン、以下カレンさん)をいじめるというものです。10分ほどの動画ですが、見ているのがつらくなり、途中で止めてしまった人が続出。信じられないほどひどい言葉を使いカレンさんをののしる中学生達の姿は、まるで「モンスターのようだ」と表現されるほどでした。

動画は瞬く間に世界中に広がりました。数日のうちにアクセス回数が4万回を超え、何万人という視聴者がカレンさんに同情のコメントを寄せたのです。

クリックでアクションを起こす

動画を視聴した一人の男性が、「カレンさんに休暇をプレゼントしよう」という呼びかけをし、indiegogo. comというサイトで寄付を募りました。目標額は5,000ドル。かなり優雅な海外旅行もできてしまう金額です。するとどうでしょう、数日のうちに40万ドル(約3170万円)が集まり、最終的には世界84カ国から3万人以上の人が寄付を寄せ、70万ドル(約5560万円)以上もの巨額の金額が集まりました。

クラウドファンディング_Indiegogo

一人ひとりの寄付金はけっして高額とはいえません。しかし、それぞれの「何かをしたい」という気持ちがソーシャルメディアで結びつき、大きな結果をもたらしたのです。

このニュースを聞いたカレンさんはあるインタビューでこんなことを言っています。

このような(ソーシャルメディアの)世界が存在するなんて全く知らなかったわ。今は、手紙やメール、Facebookでいただく同情と応援の言葉に驚くばかりです。

ソーシャルメディアを使って、届けたい人に直接エールを送ることができるって、すばらしいことだと思いませんか?

Karen Klein Anti-Bullying Foundation Promo from PaintBox Labs on Vimeo.

カレンさんは、自分が受けた恩恵を同じ境遇の方々に分けてあげたいと、集まった寄付金の一部を使い、GiveBack.orgという寄付サイトにて「カレン・クラインいじめ防止基金」を設立しました。

たった一人のために70万ドルが集まったなら、日々いじめに遭っている子どもたちのためにより多くの基金が集められるはずだと信じています。

まさに「Pay it forward」の気持ちです。基金はいじめ防止の教材製作に当てられる他、いじめ防止カウンセリング、いじめ対策を行っているチャリティーグループへ寄付されるようです。「カレン・クラインいじめ防止基金」に関する最新ニュースは公式サイトで確認できます。

カレンさんの身に起こった出来事は特別なことではないのかもしれません。なぜなら、ソーシャルメディアはアクションを可能するからです。「いいね」に表れる思いやりと共感は、想像以上に大きな可能性を秘めているのかもしれません。

日本でも、近年様々なクラウドファンディングが登場しています。自分でプロジェクトを始めるもよし、関心があるプロジェクトに寄付するもよし。みなさんの小さな思いやりが、クリック一つで大きなアクションにつながるかもしれませんよ。

[via GOOD]

カレンさんの活動を見てみよう。