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被災地の方のために住宅を。コンテナを利用した、どこへでも移動可能で常設にもできる仮設住宅「エクスコンテナ」

吉村靖孝建築設計事務所 提供

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東日本大震災の発生から2ヶ月、まだまだ多くの被災者が避難所での不便な生活を強いられる中、ようやく仮設住宅の建設が本格化してきました。政府は夏までに仮設住宅を完成させると宣言していますが、資材の確保が困難なことなどからそれが実現できるかどうかは定かではありません。この状況を何とかしようと、従来とは異なるかたちの仮設住宅として提案されているエクスコンテナをご存知でしょうか?

エクスコンテナは建築家の吉村靖孝さんが提案する仮設住宅の形。エクス“コンテナ”というだけに、コンテナを利用した家です。コンテナとはつまり貨物船に積まれているあれ、「海運コンテナ」のことです。

ただし、エクスコンテナは海運コンテナを家として使うのではなく、コンテナの規格を流用して住宅を作ろうというもの。なぜ、コンテナの規格を流用するのかというと…

そもそも海運コンテナには世界的な規格があります。貨物船は世界中に物を運ぶので、コンテナの大きさが同じでないと非常に効率が悪く、そのためコンテナは世界中どこでも同じ大きさになっているわけです。エクスコンテナはその海運コンテナの規格に従いながら、家として十分な強度と快適性が確保できるよう設計された構造物なのです。

吉村靖孝建築設計事務所 提供

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このエクスコンテナのメリットは何といっても輸送が容易なこと。内装まで完成したエクスコンテナを船に積んで港から港へどこへでも運べます。そしてそれは海外での生産も可能なことを意味します。生産拠点を物資が不足する日本ではなく海外にすることで今すぐにたくさんのエクスコンテナを生産することができるのです。そしてそのまま船に乗せ、日本に運んでくれば仮設住宅としてすぐに使えるのです。

また、デザイン性にすぐれ、そのまま常設住宅とすることもできるという点も見逃せません。実際に、このエクスコンテナ(2階建てタイプ)はベイサイドマリーナホテル横浜で客室として利用されてもいるのです。

吉村靖孝建築設計事務所 提供

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通常、仮設住宅というのは2年で撤去しなければなりません。その分、一般の住宅とは異なる建築基準などが定められているわけですが、今回のような甚大な災害な場合、2年という短い期間で仮設住宅に入居した人が新たな家を見つけられるのかははっきり言ってわかりません。阪神・淡路大震災の際には、仮設住宅から住民が最終的に退去したのは震災発生から約5年後のことでした。

それを考えると、耐久性もあり、また住民の退去後にも解体することなく他の施設として流用できるエクスコンテナには大きなメリットがあるのではないでしょうか?

エクスコンテナ・プロジェクトでは、まずプロトタイプを1棟作ってデモンストレーションを行い、半年で20棟、1年で50棟の建設も目指すとのこと。そのための寄付も募っています。

吉村靖孝建築設計事務所 提供

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私としては、寄付という形ではなく、個人やグループ、企業が出資してこのエクスコンテナを購入し、それを被災地に貸し出すという形でもいいのではないかと思います。常設住宅としてそのまま被災者に売却してもいいし、被災地で不要になったら出資者が引きとって利用してもいいし、まとめて買い取ってホテルなどにしてもいい。そのほうが、善意だけではなく、プラス経済によって被災地を支援するための手段としての可能性があるのではないでしょうか。

また、コンテナを使った仮設住宅としては、避難所の間仕切りなどの提案も行なっている建築家・坂茂さんも既存のコンテナを使ったものを提案しています。様々な提案が出てきて、なるべく早く十分な数の仮設住宅ができることがなにより、これからもどんどん色々なアイデアが出てきて欲しいものですね!