地域に根ざしたまちづくりを手がける「NEWLOCAL」。各地で新しい事業を立ち上げ、その活動を推進しているのは全国に散らばる少数精鋭のメンバーたちです。
今回お話を伺ったのは、パーパス(働く意義)で仕事と出会える求人サイト「WORK for GOOD」を通じてNEWLOCALに入社した井上公平(いのうえ・こうへい)さんと、代表の石田遼(いしだ・りょう)さん。
井上さんはなぜ、新たな挑戦の舞台にNEWLOCALを選んだのか。そしてNEWLOCALはどんなことを大切にして採用をしているのか。WORK for GOODの植原正太郎が、その背景を探ります。
「地域からハッピーシナリオを共に」をミッションに掲げ、不動産開発を中心としたまちづくりを手がける。独自の魅力を持つ地域に入り込み、行政・企業・住民と協働しながら、観光や移住、公共施設の再活用など幅広いプロジェクトを展開。2027年までに10地域への拡大を目指している。
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「お気に入り」が結んだ、パーフェクトな出会い
植原 井上さんがNEWLOCALにジョインされて、どれくらいですか?
井上さん 半年くらい経ちましたね。
石田さん すでに古株の貫禄ですけど(笑)。
植原 半年で古株は、早いですね(笑)。今日は、月に一度の全社合宿中なんですよね。
石田さん はい。「日本橋会議」と呼んでいるんですが、NEWLOCALのオフィスがある東京・日本橋に、全国からメンバーが集まっています。打ち合わせやワークショップを行い、夜はお酒も飲みながらざっくばらんに話します。
植原 普段メンバーは各地域に分散しているからこそ、月に1回集まるのは大事な時間ですよね。
石田さん そうですね。事業報告や議論もしますし、メンバー全員との1on1ミーティングもこのタイミングで実施しています。
植原 今日はそんな合宿の合間に、お話を伺っていきたいと思います。まずは井上さんのキャリアについて教えていただけますか?
井上さん はい。2010年に中川政七商店に入社して、約14年間勤めました。最初は店舗開発を担当し、商業施設内にお店を立ち上げる仕事を10年ほど。その後は地域事業に携わり、イベントのプロデュースや奈良のまちづくりに取り組みました。ゼロから場所をつくったり、人を巻き込んで形にしたり。振り返ると、「立ち上げ」ばかりやってきたと思います。
植原 地域での「立ち上げ」は、まさにNEWLOCALの取り組みと近いですね。そんな井上さんとNEWLOCALは、どうやって出会ったんですか?
井上さん 植原さんのSNS投稿でWORK for GOODのサービスがリリースされたことを知って、すぐに会員登録したんです。サイトを見はじめて、最初に目に留まったのがNEWLOCALの求人で。「お気に入り」ボタン(※現在は「この求人について質問&相談する」ボタン)を押したら、石田から連絡が来て驚きました。
植原 代表から直接スカウトが来たんですね。
井上さん はい。プロフィールには会社名と簡単な経歴しか書いていなかったと思うんですが、それでもすぐに声をかけてもらえて。スピード感にびっくりしました。
石田さん 当時はWORK for GOODが始まったばかりで、どんな方が会員登録しているか分からなくて。おそらく、ほぼ全員のプロフィールを読んだと思います。
その中でも井上は、群を抜いて「話してみたい」と思うような存在で。「お気に入り」を押してくれたのを見て、迷わずスカウトしました。
植原 井上さんのどういうところに惹かれたんですか?
石田さん 中川政七商店の採用サイトに掲載されていた井上のインタビュー記事を読んで、話す前から人となりがよく伝わってきました。店舗開発の経験を積んできた、という経歴も魅力的で。
何より印象的だったのが、岩手でのエピソードです。「縁もゆかりもない状態で飛び込み、地域の人たちと密に関係を築きながらイベントをつくりあげた」という話を読んで、「自分の動き方とすごく似ている」と感じました。
「場をつくる力」と「人とつながって突破する力」の両方を兼ね備えている――実際に話して、その印象は確信に変わりましたし、転職理由もNEWLOCALが目指していることと重なっていて。まさしく“パーフェクト”だと思いました。
40歳の転機。挑戦のフィールドに選んだNEWLOCAL
植原 井上さんは、どういうきっかけがあって転職を考えたんですか?
井上さん 中川政七商店に入社した頃は、まだブランドが立ち上がる直前で、1号店の立ち上げや仕組みづくりなど、ゼロからつくり上げる経験をさせてもらいました。まだ世に知られていないブランドを育てていく熱気はすごくて、社内はまるでスタートアップのようでした。
ただ、会社の成長とともに仕事は分業化していき、会社の成長とともに仕事の仕組みが整い、安定して回っていくようになりました。そこで改めて、自分は「まだ見ぬものを生み出したい」というチャレンジャー気質なんだと気づきました。
井上さん 同じ頃、地域のまちづくりにも携わるようになり、「ローカルのプレイヤー側に立ってみたい」と思うようになりました。中小企業の社長など、地域で志高く活動している人たちに触発されて、「自分もそこに飛び込みたい」と。
ただ、僕自身は何か一つのことを極めるよりも、がんばる人を後押しするタイプ。そう自覚したときに、NEWLOCALの事業フェーズや、地域と関わる姿勢が、自分にすごくフィットするように感じたんです。
40歳という節目でもあり、「もういっちょやってみるか」と思い、転職を決めました。
植原 実際に入社されて、いかがですか?
井上さん 仕事内容や考え方は前職の延長線上にあって、違和感なく入っていけました。一方で、所属しているメンバーの雰囲気はひと味違っていて。
NEWLOCALには、将来的にプレイヤーとして地域にコミットしていきたい人や、「宿のスペシャリスト」など、専門性を持つ人たちが集まっていて、それぞれが全国各地に散らばっている。みんな自立したプロフェッショナルで、会社というよりも「コレクティブ(共通の目的を持つ集団)」という感じなんですよね。
植原 なるほど。「コレクティブ」の一員として、井上さんはどんな仕事を担当されているんですか?
井上さん 現在は京都府丹後で事業責任者をしています。NEWLOCALと現地パートナーの株式会社ローカルフラッグとで立ち上げた「京都丹後企画」というジョイントベンチャーで事業を推進していて、石田やローカルフラッグ代表の濱田さんと一緒に経営全般を見ています。
具体的には、去年オープンした土産物屋のリブランディングや、今年5月に開業した宿泊施設「mizuya」の運営、そして来年にオープン予定の宿の立ち上げなど。複数のプロジェクトを並行して進めています。
井上さん また、前職の経験をいかして、別の地域の小売案件をサポートすることもあります。
NEWLOCALでは私だけでなく、各自が地域の責任者を担いながら、横断的に連携しているケースが多いですね。宿なら宿のスペシャリストが加わり、ノウハウを共有しながら一緒に立ち上げをしていく。そうやって知見が社内にどんどん蓄積されて、新しいプロジェクトにもいかされるのは心強いなと思います。
海と山を行き来しながら、家族と営む二拠点生活
植原 石田さんから見て、井上さんはどういう存在ですか?
石田さん 事業責任者って、その事業の成否を分ける重要なポジションなんですよね。ただ、その役割を担える力を備えていて、かつNEWLOCALで働きたいと思ってくれる人が世の中にどれくらいいるのか、最初は見えていなくて。ようやく1人、2人と見つかってきたなか、3人目として井上を迎えたときに、「事業責任者ってこういう人なんだ」と改めてイメージが鮮明になりました。
さらにユニークなのは、奈良県の東吉野村に住みながら丹後の事業責任者を務め、ご家族で二拠点生活をしていること。「暮らし」の場である東吉野村でも、場づくりやイベントの企画など精力的に活動しているんですよね。
僕は常々、「仕事と暮らしをどうつなげるか」というテーマに関心があるんですが、井上のライフスタイルは一つのモデルを体現していると思います。
植原 なるほど。キャリアだけでなく、ご家族との暮らしも含めて体現している、と。
石田さん そうですね。「NEWLOCALにはこんな面白い人がいるよ」って、採用面接のときに必ず紹介するくらい(笑)。
そういえば、最初は秋田県男鹿市の事業責任者をお願いするかも、という話もあったんです。ただ、東吉野から男鹿はさすがに遠すぎて。結果的に丹後になりました。
井上さん そうでしたね。でも、男鹿もリサーチはしてました。
石田さん そうそう!それがすごく印象的で。「男鹿か丹後です」と伝えたとき、すぐに保育園や家を調べていたんです。「どちらでも二拠点生活は成立しそうです」と言ってくれて、めちゃくちゃ頼もしいなって。心をつかまれました(笑)。
井上さん もともとニ拠点生活には興味があったんです。僕自身は大阪府堺市の出身で、学校は30人×5クラスというような都市部で育ったので、真逆の場所で子育てしてみたいという思いがありました。
実際、いま住んでいる東吉野村は山間部にある村で、人口1,500人ほど、保育園も1学年3人という環境。そこに日本海に面した丹後が加わると「海と山」という対照的なフィールドになって、人と出会う数も一気に増える。暮らしそのものを実験するような感覚で、二拠点生活を楽しんでいます。
石田さん 会社としても、新しく制度をつくったんですよ。もともと住宅補助はあったんですが、保育園の補助などを含めた「家族バージョン」は初めてで。井上をきっかけに形にできました。
丹後の井上の家からは、海が見えるんですよね。物件の見つけ方も含めて、なにもかもセンスが良いんです。自分のライフスタイルを切り拓いていっているのが魅力的だし、会社としても応援したいなと思っています。
多角的に人を見る、全員参加型の採用スタイル
植原 NEWLOCALの採用において、大事にしているのはどんな点でしょうか?
石田さん 一言で言うと「全員採用」です。誰か一人の判断ではなく、必ず複数のメンバーが関わります。僕を含めて4人がOKを出さないと採用は決まらない仕組みで、さまざまな角度から見極めるようにしています。
植原 具体的には、どういう観点で見ているのでしょう?
石田さん まずはNEWLOCALのバリューやカルチャーにフィットするかどうか。そして、これまでの経験や実績についてもかなり深掘りします。ローカルの仕事は「想い」だけでは続かなくて、ビジネスを成立させる視点も同じくらい重要なので。
植原 なるほど。想いと実力の両輪が必要だということですね。ちなみに、石田さんがOKを出しても、他の方の判断で止まることもあるんですか?
石田さん ありますよ。むしろ僕よりも他のメンバーの方が見る目が厳しいです(笑)。
植原 スタートアップの採用では、代表が決裁権を持つケースが多いと思いますが、そうしていないのはなぜでしょう?
石田さん 僕は、自分の人を見る目をあまり信用していないんです(笑)。というか、どうしても一人の視点だと偏りが出る。NEWLOCALの仕事は、スキルだけではなく考え方、価値観、感情、態度、人柄まで含めた全人格的なものが求められるので、どんな状況でどんな人間性が出るか、多角的に見ておきたいんですよね。
それに、僕たちの仕事は「関係性をつくること」が本当に大きなテーマなので、フィットしなかったときのダメージも大きい。だからこそ、採用はとにかく慎重にしています。どれだけ忙しくても、全員が採用に関わる。それがNEWLOCALのスタイルですね。
経営者としての力が、すべて身につく場所
植原 最後に、未来の仲間に向けてメッセージをお願いします。
石田さん 「地域で道を切り拓いていきたい」という強い意志を持った人に、ぜひジョインしてほしいですね。NEWLOCALには、先駆者として地域で活躍しているロールモデルがたくさんいます。事業責任者だけでなく、より現場に近いところで事業を推進しているメンバーも本当に頼もしくて。
たとえば新卒で入った2名は、ソーシャル感度が高く、ビジネススキルもどんどん伸びている。彼らのような優秀でユニークな人が、NEWLOCALで力をつけて、地域で活躍していってくれたら嬉しいです。
いまNEWLOCALは12〜13名ほどの規模になり、組織としてのダイナミクスがぐっと増してきました。関わる地域も人も増えて、新しいフェーズに入っている。まさに今、飛び込むには最高のタイミングです。
それに、ここは「経営塾」のような場所でもあるんです。不動産開発から採用・マネジメント、資金調達までひと通りやるし、新卒でも売上数千万円規模の施設を任され、キャッシュフローを自分で回す。普通では考えられないスピードで、経営者としての力が身につきます。
植原 井上さんがおっしゃっていた「地域のプレイヤーになりたい」という思いを実現する環境が、まさにNEWLOCALにはあるんですね。
井上さん そうですね。もう少し組織が大きくなると、またステージは変わると思います。でも今は、本当に経営全般をまるごと任される環境で、すべてが自分次第。将来的に自分で何かをやりたい人にとっては、これ以上なく鍛えられる場だと思います。ぜひ、NEWLOCALの門を叩いてほしいです。
(撮影:廣川 慶明)
(編集:山中 散歩)
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