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“資本主義ど真ん中”の人こそ、ソーシャルグッドな世界に飛びこんでほしい。人と自然の共生を目指すSANUの採用哲学【パーパスで出会う、会社と人】

「Live with nature. / 自然と共に生きる。」を掲げ、自然と調和したライフスタイルを提案するスタートアップ、SANU。事業のあり方はもちろん、採用においても「どんな価値観をともにできるか」を大切にしています。

グリーンズが運営する、パーパス(働く意義)で仕事と出会える求人サイト「WORK for GOOD」を通じてSANUに入社したのは、元経営コンサルタントの今井克哉(いまい・かつや)さん

キャリアの“上昇”ではなく“意味”を軸に考えた先に出会ったのは、「パーパスフィット」——企業のパーパス(存在意義)と、個人のパーパス(働く意義)が重なりあう働き方でした。

WORK for GOODの植原正太郎が、人事責任者の中川泰斗(なかがわ・たいと)さん、そして今井さんの話から、これからの働き方のヒントを探ります。

株式会社SANU
「Live with nature. / 自然と共に生きる。」をコンセプトに、都市と自然を行き来する“二拠点ライフ”の新しいスタイルを提案するスタートアップ企業。自然の中で過ごすことを日常に取り入れるシェア型別荘サービス「SANU 2nd Home」を展開し、サステナブル建築や再生可能エネルギー活用など、自然と調和するライフスタイルの実現を目指している。

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原点は、海外でのソーシャルビジネスとの出会い

植原 このたびは採用・転職おめでとうございます!

中川さん・今井さん ありがとうございます。

左が今井さん、右が中川さん。手前は植原

植原 共通の友人も多い今井さんが、今回WORK for GOODを通じて転職されたと聞いて、すごく嬉しかったです。

まずは、これまでのご経歴から伺ってもいいですか?

今井さん はい。大学卒業後に、大手のコンサルティングファームに入り、約6年間働いていました。「CSV/Sustainability戦略(Creating Shared Value:ビジネスを通じて、「社会的な価値」と「経済的な価値」の両方を創造すること)」に取り組める部署があったその会社に、どうしても行きたかったんです。

植原 どうしてCSV/Sustainability戦略に関心を?

今井さん 大学時代に半年ほどイタリアへ留学したとき、「ソーシャルビジネス」という考え方に出会ったんです。それまで、ビジネスって「お金儲けのためのもの」というイメージしかなかったんですよね。でも現地では、社会を良くしながらビジネスを成長させていくという、「ソーシャル」と「ビジネス」の両輪がちゃんと回っていて。

帰国後は、日本でもそういう取り組みをしている団体を探して、社会起業家を支援するNPOでインターンをしていました。

今井さん

植原 なるほど、学生時代に原体験があったんですね。入社後は、すぐに希望の部署に配属されたんですか?

今井さん いえ、最初はサイバーセキュリティの部署に配属されました。そこで1~2年くらい踏ん張って、「僕はCSV/Sustainability戦略をやるためにこの会社に入ったんです!」って、ずっと言い続けていました。

今振り返ると、当時はだいぶ尖っていたので、自分からCSV/Sustainability戦略の部署とそのとき所属していた部署、両方に交渉して、「双方OKしているから異動させてくれ!」と動いたんです。そしたら、人事に止められてしまって(笑)。

結果的に、希望していたCSV/Sustainability戦略の部署ではなく、経営企画の部署に異動になりました。そのときは正直悶々としていましたが、異動先の上司に恵まれて、その方のもとで本当に鍛えてもらいました。「今はやりたいことができないかもしれないけど、毎日を丁寧に積み重ねていれば、きっといいことがある」と言ってくれて。1年後、ようやく希望の部署に異動が決まりました。

仕事と暮らしのギャップを感じ、1年間の育休取得

今井さん そこからはまさに、水を得た魚のように働きました。やっと自分のやりたいことができるようになって、ぐっとのめり込んでいきましたね。

6年目のとき、戦略コンサル部門では当時最速でマネージャーになって。「イケイケどんどん」な日々だったんですが、あるときふと、「自分は本当にこれをやりたいのか?」という疑問が湧いてきたんです。

植原 どんなところに疑問を感じたんでしょう?

今井さん 大きな社会課題には携われていたと思うんです。脱炭素やサーキュラーエコノミー、生物多様性といった、世の中で注目されているグローバルトレンドを踏まえて、「こういう取り組みをすれば、企業価値向上と社会課題解決が両立できます」と企業に提言するような仕事をしていました。でも、“手触り感がない”というか……。

今井さん ふと自分の生活に目を向けてみると、向き合っている課題があまりにも遠く、机上の空論のように感じられて。いくらいいことを語っていても、自分の暮らしは何も変わっていない。そこにギャップを感じるようになりました。

そんなとき、妻の妊娠がわかって。当時思い悩んでいた自分は「これは何か神様からのメッセージなのかもしれない」と思い、せっかくだから自分も1年くらい育休を取ろう、と決めたんです。

「Live with nature. / 自然と共に生きる。」への共感

今井さん 最初は、会社を辞めるつもりなんてなかったんですよ。ただ、目の前の業務から一度離れて、おむつを替えたり、離乳食を食べさせたりする日々を過ごすうちに、「これから自分はどう生きていきたいんだろう」「娘にどんな社会を残したいんだろう」って考えるようになったんです。

そんなとき、友人がWORK for GOODで掲載されていたSANUの求人を紹介してくれて。「いいかもしれない」と思って、詳しくチェックしてみたんです。

植原 SANUのどんなところに惹かれたんですか?

今井さん 「Live with nature. / 自然と共に生きる。」というコンセプトに、心から共感したんですよね。僕自身、群馬の田舎で育って、大学進学を機に都心に出てきましたが、それ以来ずっと「自然と共に生きる」という感覚から離れていて。

「これから娘に、どんな環境や経験を届けられるだろう?」と考えたときに、自分自身ももう一度「Live with nature. / 自然と共に生きる。」を体現したいし、娘にもそういう感覚を持って育ってほしいなと思ったんです。

人生を通して自分がやりたいことと、SANUが掲げている世界観が重なった感覚がありました。

「シェア別荘」の仕組みであるSANU 2nd Homeでは、海・山といった大自然の中で思い切り遊ぶことができる(提供:SANU)

植原 育休だったりキャリアブレイクだったり、あえてブランクをつくることで、自分の本当にやりたいことが見えてくる——そういう話って、最近いろんなところで耳にしますよね。

今井さん そうですよね。僕も育休中に、すごく感銘を受けた言葉があって。「人生の幸せは、何を成し遂げたかじゃなくて、どんな思い出があるか——つまり、どういう時間を積み重ねてきたかで決まる」っていう考え方なんですけど。

新卒でコンサルに入った時は、「とにかく何か大きなことを成し遂げなきゃ」と思っていて。どこかで自分の本音にフタをしながら、世間的に「すごい」と思われることを目指していた気がします。

でも育休を取ったことで、「自分が仕事をしなくても、世の中ってちゃんと回るんだな」って実感したんですよね。一方で、娘と過ごす時間は本当にかけがえのないもので。そういう“手触り感のある幸せ”から広がる仕事だったり、よりよい社会っていうのがあるといいなと思うようになったんです。1年間の育休を通じて、自分の思考がリセットされた感覚がありました。

植原 その1年間がなかったら、今のような選択には至っていなかったと思いますか?

今井さん そうですね。もし2ヶ月くらいの育休だったら、またコンサルの仕事に戻っていたかもしれません(笑)。

キャリア観のパラダイムシフト

今井さん 育休中に、ちょっと考えていたことがあって。バリバリ働くスタイルから「自分の本音」に寄せた働き方にシフトするとなると、「何かを諦めなきゃいけないのかな」って最初は思ってたんです。たとえば、年収とかキャリアのスピードとか。

でもそこから、自分の中でキャリア観がガラッと変わるような、2つのパラダイムシフトがあったんですよね。

今井さん 1つ目は、仕事における「報酬」の捉え方です。

仕事の報酬というと、お金などの「金銭的な報酬」をまずイメージすると思うんです。もちろんお金も大事。でも、それに加えて、「非金銭的な報酬(関係報酬や知識報酬、経験報酬等)」の価値に気づき、意図的に自分のキャリアの中で蓄積していくことが重要だなと考えるようになりました。特に今は、「誰と働くか」「どんな人とつながれるか」といった「関係報酬」が大事だと思うようになったんですよね。

SANUには、自然を愛している人や、自然をテーマに最前線で活動している人たちがたくさんいて。そういう人たちと一緒に働けること自体が、すごく大きな報酬だなと感じています。

SANUのメンバーたち(提供:SANU)

今井さん 2つ目は、報酬を捉える「時間軸」の考え方です。

例えばキャリアを、月収や年収といった短期的な収入だけで判断する「PL思考」ではなくて、資産がどれだけ蓄積されているかで判断する「BS思考」で捉えてみる。資産には、「信頼」「経験」「ネットワーク」といった非金銭的な無形資産も含まれます。こうした無形資産は、積み重なることで、中長期的に人生の選択肢を増やしてくれると思います。

このように考えると、WORK for GOODで紹介されているようなソーシャルグッドな仕事を選ぶことも、ぐっと現実的に思えてくるんですよね。

※PL思考とBS思考
PL思考とBS思考は、企業の経営状況をとらえるための二つの視点。PL(Profit and Loss)思考は一定期間の収支に注目し、「儲かるかどうか」を重視する視点。対してBS(Balance Sheet)思考は、資産や負債など特定時点の財務状況に注目し、「経営の安定性」を評価する。今井さんはここでは、この二つの視点をキャリアの文脈に当てはめて説明している。

今井さん 僕自身、SANUに入るときに金銭的な報酬は下がりました。でも、それはあくまで「今月いくらの給料をもらうか」という目先の金銭的な報酬の話なんですよね。一方で、「人生を通じてどう働いて、どんな資産を積み上げるか」と考えると、SANUでの経験や人とのつながりは、確実に自分の人生の資産になると感じています。

植原 なるほど! 

今井さん それに、非金銭的な報酬を積み重ねていくことで、結果的に金銭的なリターンにもつながっていく可能性もあると思うんです。特に「誰と働いたか」「どんな現場を経験したか」みたいなことは、何年か先に思わぬ形でリターンとして返ってくることがあるのではないかと思っています。

だからこそ、「報酬の種類」と「時間軸」の捉え方を変えると、たとえ年収が下がったとしても、むしろもっとハッピーに働けるなって思いますね。

採用の軸は「自然の中で一緒に過ごせるかどうか」

植原 続いて、人事の中川さんに伺います。SANUの採用ではどんなことを大切にしていますか?

中川さん 採用では、「ポジションごとの要件」と「SANUに共通する要件」の2つを軸にしています。

ポジションごとに見ているのは、まずスキル・経験。こちらは比較的わかりやすい部分です。それに加えて、チームに対しての影響を想像することも大切にしています。

単に「相性がいいかどうか」ではなくて、ちょっとしたノイズというか、化学反応が起きるのも面白いなと思っていて。「この人が入ることで、チームにどんな変化が生まれるだろう?」と想像しながら、応募してくださった方を受け入れる部署の選考担当に見てもらっています。

採用担当の中川さん

中川さん SANUに共通する要件については、創業者の福島と本間、そして僕が中心になって見ています。SANUっぽいなと思うのは、「自然の中に一緒に行くとしたら?」という視点で考えているところですね。

具体的には大きく3つあって、ひとつは「ネイチャーリーダーシップ」。もうひとつは、「Live with nature. / 自然と共に生きる。」というコンセプトを、一緒に広げていこうとする姿勢。そして3つ目は、スタートアップのフェーズだからこそ必要な「このタイミングならではの資質」ですね。

植原 なるほど。1つ目の「ネイチャーリーダーシップ」って、具体的にはどんなことなんですか?

中川さん これも大きく3つあるんですが、まず1つ目は、「自分の頭で考えて、自分で決める」ということです。

ちょっと極端かもしれませんが、たとえばチームで雪山を登るときに、「自分の命は他人に任せる」なんていう人がいると困りますよね。やっぱり、自分の命は自分で守る意識が必要で。

もう少し日常的な場面でいえば、釣りで「どこにルアーを投げるか」とか、サーフィンで「どの波に乗るか」とか。結局、最後に判断するのは自分自身です。

SANUのチームでも、「自分で考えて、自分で動ける人かどうか」ということは大事にしています。

中川さん 2つ目は、「仲間が困っているときに気づけること」ですね。

過酷な自然環境の中にいるとき、隣の人が困っていても気づけない人って意外といるんですよ。でも、チームで動く以上、「あ、ちょっとしんどそうだな」って察する感受性や、手を差し伸べられる行動力が必要だと思っています。

3つ目は、「ポジティブな方に向かい続けること」。

自然の中では、想定外のことが本当にいろいろ起こるんですよね。そんなときでも、少しでも前向きに進もうとする意志を持てるかどうか。それって、極端にいえば命を守ることにもつながると思うんです。

この3つを「ネイチャーリーダーシップ」と呼んでいて、SANUでは全員に求めている、ベーシックな資質です。

WORK for GOODの植原

ビジネス・クリエイティブ・リジェネラティブのトライアングル

植原 今井さんは現在、経営企画部長とリジェネラティブ(環境再生)推進室の仕事を兼任されているんですよね?

今井さん はい。割合でいうと、9割が経営企画の仕事で、1割がリジェネラティブ推進室ですね。

今井さん 経営企画では、業績管理や経営会議の運営、中長期の事業計画の策定など、いわゆる“ビジネスの舵取り”を担っています。

SANUがユニークだなと思うのは、「ビジネス」「クリエイティブ」「リジェネラティブ」——この3つのバランスを保ちながら、会社を成長させようとしているところなんですよね。

SANUが掲げる「ビジネス」「クリエイティブ」「リジェネラティブ」のトライアングル(提供:SANU)

今井さん でも、やっぱりビジネスって引力が強いんです。会社としても、「まずは利益を出さなきゃ」っていう判断になりがちで。

だからこそ、そこにクリエイティブやリジェネラティブの視点を入れることで、いい意味で引っ張り合いが生まれる。そのバランスがすごく大事だと思っていて。

僕自身は、両方の立場に関わっているので、ビジネスとリジェネラティブの橋渡し役になれたらと思っています。

植原 仕事のやりがいは感じますか?

今井さん やりがいは、めちゃくちゃありますね。正直、「難しいな〜」って思うことの連続ですけど(笑)。

経営企画に専念して、ビジネスのことだけ考えていれば、他の企業とそこまで変わらないと思うんです。でもSANUでは、「リジェネラティブ」の視点もすごく大切にしていて、「社会にとって本当にいいことって何だろう?」という問いと、ずっと向き合っていく必要がある。

ソーシャルグッドの実現を目指す世界で働いていくには、それを骨太に考え続けるスタンスや思考の体力が必要だなと感じますね。

今井さん たとえば最近、リジェネラティブ推進室で「植樹活動」について話し合ったんです。これまでSANUでは木を植える取り組みをしていたんですが、「そもそも社会にとって意味がある活動なのか?」と、あえて立ち止まって考えてみて。

うちはスタートアップなので、使えるリソースも限られているし、社会に与えられるインパクトもまだ大きくない。そんな中で、「自分たちが本当にやるべきことは何なのか?」と考え続けて、行動に落とし込んでいく。そのプロセス自体が、すごく難しいけど、やりがいのある仕事だなと思っています。

資本主義ど真ん中から、ソーシャルグッドの世界へ

植原 最後に、これからのSANUについて、どんなふうに考えていますか?

中川さん 資本主義のど真ん中でバリバリ働いてきた人たちにこそ、「こっちの世界に来てほしいな」って思ってるんですよね。

ソーシャルグッドの世界って、難しくて骨太なテーマがたくさんある。だからこそ、ビジネスの最前線で成果を出してきた“グロース人材”のスキルや経験が、本当にいきる領域だと思うんです。

中川さん 今の日本って、物質的には満たされている人たちが多いと思うんです。でも、自然や人とのつながりのような「数値化できない豊かさ」を育てていく余白は、まだたくさん残っていると思っていて。

そういう領域を、資本主義を否定するのではなく、資本主義の仕組みをうまく使いながら耕していけたら、「幸せ」のかたちも、もっと多様で広がりのあるものになっていく気がするんですよね。

べつに、行き先がSANUじゃなくてもいいんです。「なんか、こっちの方が気持ちいいな」って、自分の心が動く方に向かっていける人が増えたら、それが結果的に社会や自然にとっても良い流れになっていくんじゃないかなと。

SANU1社でできることは限られているからこそ、同じ思いを持った人たちとつながって、一緒に未来をつくっていけたら嬉しいです。

(撮影:廣川 慶明)
(編集:山中散歩)

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