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複雑な社会課題を、みんなで解決するために。日建設計の共創の場「PYNT」から、まちの未来に新しい選択肢をつくる #求人

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ここには生きた空間がある。
今回、取材でPYNT(ピント)を訪れて、まず体感したことでした。

東京タワー、東京ドーム、東京スカイツリーをはじめ、近年では渋谷スクランブルスクエアなど、日本を代表するランドマーク施設の設計に携わる日本最大級の建築設計事務所、株式会社日建設計。2023年4月、その東京本社オフィスの3階に、同社イノベーションデザインセンターが運営する共創プラットフォーム「PYNT」がオープンしました。

階段を上るとあらわれる広々とした空間。壁一面の大きな窓からは、背の高い街路樹の緑が目に入り、光が差し込みます。木材を使った棚、麻でできた床、土からつくられたタイルなど自然素材がふんだんに使われたフロアは、柔らかな雰囲気に満ちていて、思わず深呼吸をしたくなる気持ちのよさ。

そこには、集中してパソコンに向かう人、打ち合わせをする人、カフェのスタッフとお喋りする人、さっとコーヒーを買いにくる人、丸テーブルで休憩する人など、思い思いの時間を過ごす人々。社員だけではなくさまざまな人が交差するこの場には、人が集い続ける場だと思わせるようなオープンさと活気が広がっています。

PYNTは「まちの未来に新しい選択肢をつくる共創プラットフォーム」を掲げ、「課題の当事者」や「解決策の担い手」と「建築・都市の専門家」をつなぎ、一人、または一社では解決できない現代の複雑な社会課題を、横断的に解決するために活動しています。

オープンから約1年半。PYNTには共創の種が集まり続け、構想したアイデアの社会実証や実装が近いプロジェクトも少しずつ増えています。そんなPYNTという活動を、120年以上の歴史を持つ設計やまちづくりの専門家集団が、今このタイミングではじめたのはなぜでしょうか。また、大企業の本社オフィスのワンフロアに、オープンで心地のいい空気が流れる秘訣はどこにあるのでしょうか。

その答えは、日建設計に受け継がれてきたDNAと、この場で活動する人たちの意志にありました。

本社オフィスにできた、共創の種が生まれる場

東京・飯田橋エリアに立ち並ぶオフィス街の一角にある、日建設計の東京本社ビル。その3階に位置するPYNTは、課題やテーマを持ち込み、ひとりでは解決できないプロジェクトへの一歩を踏み出す共創プラットフォームであり、ワークスペースやカフェ、イベントスペース、図書スペースなどで構成されています。

笑顔で出迎えてくれたのは、日建設計・イノベーションデザインセンターの岩谷純子(いわや・じゅんこ)さん。取材陣の重たいスーツケースを率先して運び、まずはフロアを案内してくれました。

会員制となっているものの、社員の紹介があれば、メンバー登録が可能。メンバーになれば、PYNTを利用し、共創プラットフォームに課題やテーマを持ち込み、解決への一歩を踏み出すことができます

「PYNT BAR」のカウンターでは、コミュニティチームのみなさんが明るく挨拶をしてくれます。

カウンターでコミュニティチームが笑顔で迎える様子

「PYNT BAR」に並ぶ「カフェ」では、飲食物を注文することができます。

メニューはコーヒーや紅茶、お茶、ジュースに季節限定のデザートまで種類が豊富。毎日通っても飽きないラインナップです。ランチタイムにはお弁当も販売されています

小上がりの「STAGE」エリアでは、都市空間や建築設計、社会課題にまつわるトークイベントや、ワークショップ、プレゼンテーションなどが行われます。それらはつながりの種をつくる機会になっているといいます。

PYNTの中央部に位置する「STAGE」エリアでは、共創によって生まれたイベント企画が毎週のように行われています

棚一面に本がずらりと並ぶコーナーは、一人1区画、自分の選書を紹介できる小さな図書スペース「OUR BOOKS」。社内外の人がそれぞれ好きな本を持ち寄り、交流できる場になっています。17人の本棚から始まったこの図書スペースは、オープンからの1年半で延べ99人が参加。岩谷さんが選書をした本棚もありました。

ご自身の本棚を説明する岩谷さん。貸出管理は懐かしさのある図書カードで行います

ほかにも、現実世界と仮想世界を融合し、新しい体験を創造するXR(クロスリアリティ)の技術を使い、空間の体験、展示、開発、実装が可能な「XR STUDIO」進行中のプロジェクトやアイデア段階の取り組みを展示できる「GARAGE」など、話のきっかけや共創を生む仕掛けが至るところに散らばっています。

そんなPYNTの運営は主に3つのチームが連携して行っています。コミュニティを醸成する専門家Mirai Instituteメンバーからなる「コミュニティチーム」、想いを起点に共創プロジェクトを推進する「イノベーションデザインセンター」、社会実装のためのプロジェクト支援を行う「日建設計総合研究所」。

イノベーションデザインセンターの吉備友理恵(きび・ゆりえ)さんと横山明日香(よこやま・あすか)さんに活動について話を聞くと、共創の種を拾い逃さないために、オフィスでは基本的にPYNTのカウンターに座っているといいます。

写真左からPYNT専任メンバーの岩谷さん、横山さん、石川さん、吉備さん

吉備さん カウンターに座り、PYNTに来る人に挨拶をするんです。挨拶し続けると顔見知りになり、気がつけば言葉を交わすようになります。友だちをつくるような感覚に近いかもしれません。

横山さん 私たちの活動は、社内の意識醸成をする「Cultivate」と共創を生む「Co-create」の2軸で構成されています。コロナ禍はオンラインで社内のイノベーションへの意識醸成に力を入れていました。PYNTの場がオープンし、社内外をつなぐ共創の機会を徐々にデザインできるようになってきています。

個人の想いからまちの未来をつくる装置

PYNTが掲げる「まちの未来に新しい選択肢をつくる」こと。それは、生活のなかで感じる個人的な想いやモヤモヤからはじまります。

テクノロジーの進化や社会課題の複雑化により、まちに関わる人や組織の幅は広がっています。コミュニティやインフラ、自然やデータなどさまざまなレイヤーを統合して考えることがますます重要になっているのです。

例えば、公園は設計段階からカフェやイベント会社と一緒に考えたり、スマートビルをIT企業と考えたり、環境負荷を下げるために建物だけでなく利用者の環境行動を学生と考えたり。

日建設計では、これまでも計画段階からまちや建築に関わり、さまざまな関係者をつなぎ、プロジェクトを実現してきました。だからこそ、多くの人がこれまで心の内にとどめておくしかないと思っていたその「想い」は、この場に持ち込まれることで、未来を変える可能性を秘めているのです。

吉備さん 例えば、PYNTのトイレはひとつのプロトタイプになっていて、「誰が使うか」ではなく、「何をするか」で分けているのが特徴です。各個室に「Relax」「Refresh」「Styling」などの名称がついていて、アクティビティで選択するトイレになっています。性別を分けることで生じていた課題を、視点を変えることで誰にとっても使いやすいものにする新たな選択肢をつくった事例です。まちも空間も、できた後に変えることが難しい一方で、つくる前の段階から、さまざまな視点で考えることで生み出せる変化も大きいと感じています。

PYNTのトイレには、まちなかのトイレなどでよく見かける性別のピクトグラムが一切ありません

吉備さん 私たちは、「Future Collectives」と題する学びと実践の循環するコミュニティをつくり、現在、10個のテーマを掲げています。その中で、それぞれのテーマに関連したり関心を寄せたりする人たちと、課題の構造化から一緒に考え、多様な視点を持ち寄って議論することで、それぞれがプロトタイププロジェクトを生み出し、コレクティブインパクトにつなげていくこと。特に、空間や仕組みとして実装につなげていけるということがPYNTの強みだと思っています。

まだモヤモヤしていて、社会の中で汲み取られないニーズでも、PYNTに持ち寄れば一緒に考えることができる。こうした取り組みが一人ひとりの主体性を高め、新たなアイデアを生み出していくはずです。

PYNTが掲げる10のテーマ(日建設計のHPより引用)

10個のテーマを掲げ、具体的な社会変革を目指すPYNT。日建設計の執行役員であり、イノベーションデザインセンター代表の石川貴之(いしかわ・たかゆき)さんに日建設計がPYNTをつくることになった経緯を聞くと、会社の中期経営計画で「組織をひらく」と掲げられたことが発端だったといいます。

石川さん 日建設計が関わる仕事は、多様な機能が集積する複合施設や、大規模な都市開発事業など、さまざまなステークホルダーが、長期にわたりディスカッションを重ねて解を導き出してきたものが多くあります。ところが、近年では、これまでの業務で培われてきたスキルやノウハウのみでは最適解を導くことができないほど、課題が複雑になってきました。そこで、初期段階から組織をひらいて、オープンプラットフォームをつくり様々な叡智を結集して取り組むことで課題を解決しようと考えた。そこにオフィスリニューアルのタイミングが重なり、生まれたのがPYNTです。

場を「ひらく」ことを重視したのは、現状にとどまらず、未来を見据えているからだと思います。私たちは日本最大級の設計事務所なので、一つひとつの仕事が社会に与える影響も、社会から求められる成果や期待も大きい。だからこそ、自分たちが提供するサービスの向上とその適用可能性を広げ続けることは重要だと考えています。

「価値ある仕事によって社会に貢献する、それを通じて個人は成長する、会社も発展していく」。これは120年以上継承されている日建グループの基本理念です。そのDNAをしっかりと受け継ぎ、PYNTが実現させたいのは「パッションをミッションにして社会にインパクトを与える」こと。

日建設計入社後一貫してまちづくりのキャリアを積んできたという石川さん。「詰めが甘い」との自己評価をする石川さんは、細部まで実装しきる建築設計の人材をリスペクトしてやまないといいます

石川さん 一般的には会社が個人のパッションを拾ってくれることはあまり多くないように思いますが、日建設計は、個人の想いが大事にされる土壌があるように感じます。こうした企業風土の中で、イノベーションデザインセンターは個人と会社をつなぐ役割を担います。そうすることで個人のパッションが、一人で構想(妄想)して終わってしまうものではなく、会社として取り上げるべき使命(ミッション)になる。さらにそれが事業や仕組みにデザインされることで、社会的意義のあるものになります。

日建設計は創業以来、あくまでも個人を大事にし、個人の成長があってこそ、初めて会社が発展すると考え、ここまで成長してきました。この考え方を僕たちなりに解釈し、PYNTで実現させたいと考えています。

人の力で、人をつなげる。未来をつくる共創のステップ

PYNTには「つなぐ」「構想する」「社会実装する」という独自の共創ステップがあります。

共創の3つのステップについて(日建設計のHPより引用)

まずは、課題とアイデアとフィールドをつなぐところから。キーとなる想いのある人を起点に実際に議論する場をデザインします。

横山さん 大小を問わず、課題を感じている方、アイデアがある方がPYNTに来てくれたら、マッチしそうな方とつなぎながら、どんな解決の道筋がありうるかを一緒に考えることができます。クライアントのなかには、何かアクションを起こしたいけれど、何をしたらいいかわからず、困り果ててPYNTに来たという方もいます。

一つのソリューションを生み出すためには、誰か一人だけ、または一社だけでは足りないピースがあるはず。

石川さん そういう意味で、PYNTは再生工場のような場所です。個人や会社が所有するパーツは、課題、技術、場所、お金などさまざまなものがあるのですが、普段はバラバラに存在しているのだと思います。それらをPYNTに持ち寄り、つなぎ、組み合わせることで、社会に役立つものに変えるための足りないピースを埋める作業をしている。PYNTはそんな活動をする場だと思います。

その後はビジョンや仮説の構想をし、最終的には、構想したアイデアを社会に実装するため、仕組みづくりやツール開発、ビジネスモデルの設計などに伴走していきます。

専門家や関心のある社内外のメンバーとともに課題のシステムマップを作成しながら、仮説を検討する

PYNTに持ち寄られた種から、実際にプロジェクト化した例を紹介します。

2024年7月に発表した地域の移動をみんなでつくる「Community Driveプロジェクト」。

このプロジェクトのきっかけは、日建設計の設計者が、地方に暮らす友人宅の地域の水道管は老朽化が激しく、蛇口をひねっても水が勢いよく出せないという事実を聞いたこと。インフラの老朽化について調べると、すべてを刷新するには膨大な時間と資金が必要で、現実的ではないということがわかりました。

Community Driveプロジェクトにおける市民向けワークショップの様子

吉備さん 老朽化するインフラをどう改善していく?という問いをもった彼は、これから日本各地で起こるであろうインフラ更新の課題に対し、自身が別の仕事でつくった「人が移動をするデータを集め、最適な配置を考える設計」を転用できるのではと思いつきました。インフラをモビリティとして動かす、つまり、水やエネルギー、貨物、ゴミ、人の移動を混載し、最適に動かすことができるかもしれないと。しかし、アイデアは持っていたものの、実際に困っている人や実証できる地域が見つからず。

一方、PYNTのメンバーズのなかに、人材不足をはじめとする福祉課題を、モビリティで解決する必要を感じている富山県の社会福祉協議会で福祉×DXにチャレンジしている方がいました。PYNTで彼らをつないだところ、まずは富山県で福祉課題とインフラ更新の課題を同時解決するために実証的に動いてみることになったのです。

こうして立ち上がったプロジェクトは、地域における移動の課題を解決する取り組みとして、2024年度国土交通省モビリティ人材育成モデル事業に採択され、実装に向けて進行中です。このように異なる分野の人がつながり、プロジェクトに発展しているのは、まさにPYNTがあったから。

人と人をつなぐために、大切にしているのは一人ひとりと話をすること。その上で、個人に溜まる情報を、チームで共有し、この人たちをつなげたらいいんじゃない?と話し合います。

効率化が求められる現代において、つい自動化を目指してしまう気がしますが、人間がいるからこそ、つながるべきものがつながり、生きたプロジェクトになる。その価値を理解して仕組みをデザインします。それこそが、場や機能が形骸化しないための秘訣なのかもしれません。

「チーム」だからこそ、できること

草の根活動のような地道な行動の結果、実を結ぶ案件も徐々に出てきているなか、これから先は「チーム体制」で結果を出すことにチャレンジしていきたいと考えているPYNTのみなさん。

吉備さん これまでは限られたメンバーで来たものをすべてを打ち返すような気概でやってきましたが、PYNTに関わるメンバーが少しずつ増えているからこそ、各分野に強い人がそのテーマを育てる体制にすることで、人を見つけやすく、かつ結果につながりやすくなるのではと考えています。

お互いを信頼し合う、朗らかな雰囲気のチーム。取材中の写真撮影や資料の表示、フロアの案内まで、お互いをサポートしあう場面が多々あり、チームワークの良さがうかがえます

現在のチーム構成は、石川さん、吉備さん、横山さん、岩谷さんの4名からなる専属メンバーと兼務メンバー4名。そのほか日建設計総合研究所から4名が関わっています。

この部署にたどり着くまでの経歴を尋ねると、石川さん、吉備さん、横山さんは、全員新卒から日建設計に入社した社員だということが判明。また、圧倒的に設計者が多い組織において、3人とも設計以外の業務に携わっていたといいます。

石川さん 私は、都市計画のセクションで30年以上国内外のまちづくりに携わっていました。その間、外部の社団法人への出向や、日建設計総合研究所(NSRI)にも転籍。現在もNSRIの代表を務めていますが、イノベーションデザインセンターをつくるにあたって日建設計に戻らないかと声がかかりました。政策提言や国の調査、海外業務などに携わっていたことから、社内外のつなぎ役として適任だったのではと。

吉備さんも、学生時代から建築の学生同士をつないだり、建築を外の世界をつなげる活動をするなど、人や組織が領域を越えてつながることを促進する活動を行っていました。

一般社団法人Future Center Alliance Japanの出向期間中は国内外のプロジェクトを取材し、共創プロセスを研究していた吉備さん。そこから体系化されたノウハウは共著した書籍『パーパスモデル』にまとまっています

吉備さん 学生時代も、建築の学生を「横でつなぐ」学生団体や、建築の「専門性をひらき、外の世界とつなげる」ことを目指す建築アイドルなど、異なる領域をつなぐ活動をしていました。入社後は、「なんのためにつくるか?」を問い直し、建物が立つ前のコンセプトや戦略と立った後の運営のことを考えるNikken Activity Design Lab(現コモンズグループ)で初めての新卒として活動。その後一般社団法人Future Center Alliance Japanに2年ほど出向し、そこで共創やイノベーションの場について研究します。出向から戻った後、石川さんから声がかかり、これまでの活動が活かせると思い、参画を決めました。

吉備さんと同期入社で、大学時代にはワークプレイスを中心にイノベーションの創発などを研究テーマにしていた横山さん

横山さん 以前の部署ではワークプレイスデザインのインテリアデザインを中心に担当していましたが、もともとインテリアデザインを学んでいたわけではありませんでした。何のためにその場があるのかを問い直しながら、組織の動き・企画・運営など形のないもののデザインにつなぐ仕事をしたいと思っていたのです。将来のキャリアについて考えていたところ、共に社外活動をしていた吉備さんに声をかけてもらい、イノベーションデザインセンターの業務に関わるようになりました。

イノベーションデザインセンターは社長直下の部署であるため、コミュニケーションラインは会長、社長、副社長、全部門の総括など経営トップ。ボードメンバーのみなさんとフラットに意見を交わし、新しいものをつくり上げる経験はほかにはない面白さだといいます。

100年先の眼差しをもって。純粋な思いが未来をつくる

PYNTは試行錯誤の途中。まだ見ぬ山を登っているのだからルート変更は当たり前だと、変化を厭わない柔軟で前向きな空気が流れています。

横山さん 類似のイノベーションスペースと比べても、ここまで新しいことに挑戦している組織はないように思います。より良いものを求めて日々あらゆることを変えているからこそ、スピード感や柔軟性が非常に重要になります。もちろん業務内容にもよりますが、変化が苦手で、決まったことだけをしたいという人には向かないかもしれません。

吉備さん、横山さんにこの仕事のやりがいについて聞くと、お互いの意見に深くうなずいていました。

吉備さん クライアントの要望や建前ではなく、社会を良くしたい、未来を面白くしたいという純粋な思いを持っている人たちをつなげ、実装できる場はここにしかないと思っています。だからPYNTには人が集まるのだろうと。これは私が外でひとりでやっていてもなかなか実現できることではありません。日建設計のように元々長い目線で仕事をし、公共性の高い仕事をしてきた歴史と実装力がある場所だからこそ、人が集まってくる。このような場でプロジェクトを育てていけることに日々やりがいを感じています。

PYNTでイベントが行われている様子

横山さん やりたいと思っていてもできないことが人生の大半を占める人が多いなか、PYNTに来ればそれが一歩先に進みます。10年かかることが1年、2年に縮まることもある。こうして、実現の後押しをできるのは幸せなことだなと思います。

37年間この会社で働いてきた石川さんは、日建設計が大好きだといいます。石川さんにPYNTを通して見たい未来を聞くと、「日建設計の未来がバラ色になってほしい」という答えが返ってきました。

石川さん 日建設計は、いい会社だから、いい仕事がきて、いい仲間が増えている。いい循環のなかで仕事ができることをありがたく思っています。同時に、外部組織への出向やグループ会社への転籍など「外から日建設計を見た」からこそ、日建設計の可能性はまだまだこんなもんじゃないと信じてやみません。PYNTのような場や活動が可能性を広げていくと思うので、大切に育てていきたいですね。

オープンプラットフォームとは、名ばかりではありませんでした。言葉のとおり、つながり、共有し、未来をよりよくしていきたい。その意志が人を介して根付き、滲み出ている空間だからこそ、よそ者としてPYNTを歩いていても受け入れられているような感覚を覚えたのかもしれません。そして、このように隅々まで血が通う生きた空間を設計できるのは、建築物にフォーカスするだけでなく、周辺にある人の暮らしや目に見えないシステムなども含む「社会環境」に対してアプローチをしてきた日建設計だからこそ。

「設計者は、必ず10年先、20年先、100年先の人たちにどう貢献するのかという眼差しを持っている。だからこそ、PYNTの取り組みに耳を傾けてくれるし、相談すれば面白がって一緒に考えてくれる。いい仕事をしたい、社会に貢献したいと思っている人が集っているんです」という横山さんの話を思い出します。

今後この場所から、どのようなつながりが生まれ、社会にいい影響を与えていくのか。純粋に社会課題に向き合おうと奮闘する人たちがつくる未来に、期待をしたい。そう思える時間を過ごしました。一人では実現できない未来を実現させる場所。あなたもそんなチームの一員として、一緒に未来をつくっていきませんか。

(編集 岩井美咲)
(撮影 山中散歩)

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