旅やアウトドア、キャンピングカーなどの車中泊。
モバイルハウスなどの小屋暮らし。
あるいは、発展途上国などのインフラが整っていない地域での発電に貢献しているオフグリッドをご存知ですか?
電気、ガス、水道などの供給網から独立し、太陽光や風などの自然エネルギーを活用した生活様式のこと。greenz.jpでは、過去にオフグリッド生活を実践する人びとや、その暮らしを実体験できるプロダクトを数多く紹介してきました。
では、自分専用の再生可能エネルギーを、昼夜を問わず、好きな場所で必要な分だけ、手軽につくることができる! そんなことを聞いたら、あなたはどう思いますか?
「ワクワクした!」というあなたに、今回はポータブルに自分でつくれる自然エネルギーをご提案しましょう。
小さい・簡単・高効率。風力発電を持ち運べる時代が来た!
今回ご紹介するのは、ポータブル風力発電機「Shine Turbine」。太陽光発電に次ぐ再生可能エネルギー第二の選択肢である、風力発電が持ち運べるのです。
風さえあれば雨でも曇りでも、昼夜を問わず発電してくれる「Shine Turbine」の魅力は、コンパクトなサイズ感と、設置の簡易性、そしてエネルギー効率の高さです。
サイズは1リットルの水筒ほどのサイズで、重量は1.3キロほど。バックパックのサイドポケットに収まる大きさです。立脚マウントなどの設置に必要なものはすべて「Shine Turbine」内部に収納でき、風を受ける羽は本体に折りたためます。
折りたたんだ長さ35cm・折りたたんだ幅10cm・羽の直径60cm・組み立てた高さ91.4cm
写真:「Shine Turbine」公式インスタグラムより(https://www.instagram.com/shineturbine/)
「Shine Turbine」内部から部品を取り出し、組み立てて設置するまでにかかる時間はたったの2分! 動画でも組み立て方を紹介しているので、説明書いらずで簡単に準備が完了します。
動画:「Shine Turbine」公式youtubeより
「Shine Turbine」の最大の売りは、その発電量。風速3メートル程度のそよ風でも発電でき、最大値の風速12メートルの場合、1時間でスマホ3台分の電力をつくることも可能。40ワットの超小型風力発電機なんです!
スマホやタブレットはもちろん、ドローンやカメラなどあらゆるモバイルデバイスへの直接給電ができます。しかも、「Shine Turbine」に内蔵されているバッテリーで蓄電もでき、スマートフォンを3回フル充電できる容量です。
価格は日本円で約57,000円(2022年7月現在)。現時点では、アメリカとカナダのみの販売ですが、EU諸国へは7月末から出荷が開始。「日本を含めた国際的な販売開始時にはすぐにお知らせします」とのこと。期待がふくらみます!
目指す、電力網からの解放の実現。
開発したのは、カナダに拠点を置く「AUREA TECHNOLOGIES(アウレア・テクノロジーズ)」という企業。チームスタッフは再生可能エネルギーを愛するアウトドアのプロばかりです。
そんなスタッフの経験値から浮かび上がった疑問。
風力は世界で2番目に大きなクリーンエネルギー源なのに、なぜ簡単に風力発電ができる製品が少ないのだろう?
アウトドアで数日を過ごすとき、現代の暮らしに欠かせないモバイル機器の充電源を確保することはとても重要です。さまざまなバッテリーや発電機が販売されていますが、自然に囲まれた時間を過ごすときは、エネルギー源もクリーンにしたいもの。
ただ、例えばソーラーパネルの場合、持ち運びできる小さいものは発電効率が小さく、天候にも左右され、ましてや夜になると無力も同然。それなのに、個人で手軽にクリーンな電気をつくるとなると、現在はほぼ太陽光発電の一択しか無いことに気づかされます。
「Shine Turbine」開発チームのスタッフ
写真:「Shine Turbine」公式インスタグラムより(https://www.instagram.com/shineturbine/)
創設者兼CEOであるCat Adalay(以下、キャットさん)はこう話します。
ほとんどの人は、まだ風力発電を使うことができていません。私たちは、昼夜を問わず、雨や曇りでも自分自身で再生可能エネルギーを自由につくりだせる。そんな風力発電機をつくることにしました。
そして、マーケティング責任者であるRachel Carr(以下、レイチェルさん)は、「電力網からの解放」を目指すと意気込んでいる様子。
持続可能な生活を送るためには、エネルギーの生産・利用を見直す必要があります。「Shine Turbine」は、電力網からの解放を実現する、再生可能エネルギー製品の第1弾です。
左:キャットさん。右:レイチェルさん。
写真:「Shine Turbine」公式インスタグラムより(https://www.instagram.com/shineturbine/)
”電力網からの解放”が実現すれば、私たちと電気の関係が、売る・買うという「消費」だけでなく、自分でつくる「自給」という選択肢が増えることになります。
国に依存せず、地域でつくり地域で消費する「地産地消」のように。
家庭菜園で野菜や鶏卵を育てる「自給自足」のように。
私たちが電気を自分でつくり自分で消費する「自産自消」の時代は近づいているのかもしれません。そして「Shine Turbine」は社会や経済の不安定な状況に振り回されずに、安心・安全に暮らすためのヒントになるのではないでしょうか。
[via Shine Turbine, instagram, kickstarter]
(Text: Koichi Iwai)
(編集: greenz challengers community、スズキコウタ)