まちを歩いていると、必ず見かけるもの。
そのひとつにビルボード広告がありますよね。
ファストフード、化粧品、CD、アパレルブランド、スマートフォン・・・。そのほとんどが、新しい商品やサービスを宣伝し、人びとに消費を促す目的のものです。
もちろん新商品を知る機会として街頭広告は、わたしたちの暮らしと密接に結びついていますし、「楽しそう!」「面白そう!」と心を弾ませて買いに出かけるわけですから否定するつもりはありません。
ただこの、まちなかで多くの人びとに価値提案できる貴重なスペースを、消費を促す以外の目的で使うことはできないか。2020年の新型コロナウイルスのパンデミックで、悩み苦しむ人びとを鼓舞したい! そう考え実行に移したプロジェクトを、イギリスに見つけました。
考案したのは、社会派のグラフィックデザインを数多く手掛けてきたGreg Bunbury(以下、グレッグさん)。彼はロンドンを拠点とするBrotherhood Mediaと協働して、イングランド各地の使われていない広告枠にポジティブなメッセージを発信したのです。それらの作品は「#billboardpositive」のハッシュタグで、各SNSで拡散されました。
それでは、どんな広告が各地で展開されたのか、紹介していきましょう!
愛のチカラを信じようぜ!
僕はすっごく幸せ。超幸せ!
僕らはやり直せる
動揺しているんだね、大丈夫! 僕もだから!
そこには愛がつまっている
たとえわたしたちが2m離れなきゃいけなくても、親切心を忘れなければずっと一緒さ
この時期が終わったときには、きみをぎゅっと抱きしめたい!
それは今じゃない。けど、きっとすぐ!
LOVE
いかがでしたか?
グレッグさん これらの作品は、僕と何人かのデザイナーでつくったんだ。政治的なメッセージや、何か人びとにインスピレーションを与えるものまで、いろいろなスタイルを試したよ。新型コロナウイルスや人種差別などの不平等をおさえていくこと、その代わりに愛や希望、そしてポジティブな気持ちを広めていくことを発信したんだ。
とグレッグさん。
グレッグさんと手を組んだ、Brotherhood MediaのDominic Murphy(以下、ドミニクさん)も
ドミニクさん 唯一のルールとしたのは、ビルボード広告なのに商品の宣伝をNGとしたこと。
ロンドンは世界有数のクリエイティビティがあつまる場所だから、クライアントやデザイナーやミュージシャンなどに話を持ちかけたら、みんな協力してくれたよ。
と成果に満足している様子。
広告スペースをジャックできたら・・・?
このようなビルボード広告の使い方は別に新しいことでなく、ベトナム戦争が激化していた1969年にはジョン・レノンとオノ・ヨーコが「War is over if you want it(みんなが望めば、戦争は終わる)」というメッセージを世界各地で掲げたことをご存じの方も多いかもしれません。
最近では、ルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターをつとめるヴァージル・アブローが「人びとがメディアや広告に踊らされ、その結果、生まれる消費によって形づくられる現代社会へのメッセージ」として、世界各地に真っ黒に塗り上げたビルボード広告を展開したことも。
消費を促す目的ばかりのビルボード。でも、人びとの心を癒やし、鼓舞する目的にも使えそうですね。もしあなたが占拠する機会を手にしたら、どんなメッセージを発信しますか?
[via Instagram, theonlymagicleftisart.tumblr.com, ldnlife]
(Text / Edit: スズキコウタ + greenz challengers community)
– NEXT ACTION –
greenz.jpで「ビルボード」と検索すると、ホームレス状態の人が休める場所になっているもの、地域の人と一息つけるものなどたくさん見つかりますよ! https://greenz.jp/?s=ビルボード