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価格、見た目、ブランド。でも、せっかく買うなら、一生添い遂げられるものを。新しくてサステナブルな家具選びの視点、提案します!

みなさんは家具を選ぶ時に何を重視しますか?新しい家具選びの視点、提案します!

新生活、これまでとは違う職場や学校などに通われる方も少なくないはずです。心機一転新しい生活を営むにあたってその拠点となる住環境の整備は欠かせないものであるように思えます。

家電や雑貨、日用品など揃えなえればならないものはたくさんありますが、その中でも暮らしの雰囲気を創り出し、自宅に個性や安らぎを与えてくれるもの、それはソファやベッド、棚などの家具ではないでしょうか。

暮らしを豊かにする上で欠かせない家具ですが、新生活を始める前の忙しさや懐事情からついついお手頃で買いに行く手間も少ない量販店のものを買いがちです。特に若者にとっては「価格」や「手に入りやすさ」は家具を選ぶ上では重要な視点です。

しかし私は家具を選ぶ際にはもっと考えるべき価値観があると感じています。今回は「一生添い遂げられる家具」の価値を伝えたいという思いで私から「若者の家具選びの新しい視点」を提案したいと思います。

縮小するパイを取り合う家具小売業界

経済産業省の「平成28年経済センサス-活動調査」によると家具小売業の年間市場規模は1991年の約2兆7千億円をピークに減少傾向にあり、2017年度にはピーク時の半分以下の約1兆2千億円にまで落ち込んでいます。

(「平成28年経済センサス-活動調査」より作製)

バブル崩壊後の景気の落ち込みや少子高齢化、クローゼット付き物件をはじめとした家具を備え付ける物件が増えたことなど様々な要因が考えられますが、家具小売業においてマーケットは縮小傾向にあります。ここ2、3年はマーケット全体の売上高は回復傾向にありますが、さらなる人口減少が進むと考えられる日本において市場に将来性があるとは言い難い状況でしょう。

そんな中で目立つのが大手家具小売企業の台頭です。ニトリの2018年2月期の決算説明会資料を参照すると、同期売上高は5720億円となり2017年度のマーケット全体のシェアのほぼ半数を占めていることがわかります。追随するイケアが同期約750億円の売り上げですから、ニトリがいかにマーケットを支配しているかがうかがえます。多様な商品展開と低価格路線を実現したニトリの戦略的勝利であると言えるかもしれません。

またこの年は統計対象全2210社のうち、家具小売企業の売り上げ上位8社で全体売り上げの62.1%を占めており大企業と中小企業の差が大きい業界であることがわかります。

若者の現状の家具選びの価値観

前項で述べた通りニトリは低価格路線で成功を収めました。これはニトリがターゲットとした消費者のニーズに応えた結果と言えます。そのターゲットの一つとして新社会人が挙げられるでしょう。学生から社会人になるにあたって新たに家具を購入する可能性が高い彼らのシェアをいかに獲得するかは、ニトリに限らず家具小売業界全体において大きな課題であるのかもしれません。

そこで私は今後社会人となる大学1〜4年生の若者253人にアンケートをとり、「家具を購入する際に最も重視するポイント」と「大手家具量販店のイメージ」について調査しました。なおここでは家具とはタンス、棚、机、テーブル、椅子、ベッドの6種を指すこととします。


図1: 実家暮らし


図2: 1人暮らし・寮など


図3:大型家具量販店に対するイメージ

最初に図1と図2の比較から行います。全体として1人暮らしの人は実家暮らしの人よりも価格の安さを重視していることがわかります。反対に1人暮らしの人は機能性や耐久性については実家暮らしの人ほどは重視しておらず、家具を長く使うという視点よりも廉価なものを購入し、壊れたり引っ越したりする際には新しく家具を購入するという傾向が強いように見えます。またベッドなど一部を除いて1人暮らしの人は材質に拘って家具を選んでいる人はほとんどいないようです。ブランドや環境面、健康面に配慮して家具を購入している人は実家、1人暮らしを問わずほとんどいないようです。

次に図3に移ります。ここではニトリなどの大型家電量販店で販売されている家具についてのイメージを聞きました。この図からわかることは3点あります。1点目は「値段が安く機能性やデザインが良い=コストパフォーマンスが良い」という印象を多くの人が持っている、ということ。まさにニトリが狙っている通りの商品展開ができていると言えます。

2点目、「材質や耐久性については一定数不安を抱えている人もいるが概ね問題には思っていない」ということ。費用対品質面もクリアしているということでしょう。

そして3点目、「家具小売において消費者は環境面や健康面に与える影響について無関心が圧倒的に多い」ということ。家具製造の際に使われる接着剤などに含まれるホルムアルデヒドに起因するシックハウス症候群や木製家具に使われる木材の違法伐採や家具の不法投棄など、家具においても健康面や環境面に与える影響は軽視できないはずですが、消費者にとっての関心はあまり高くはないようです。

「サステナビリティ」とは?

国連が掲げた17個の「持続可能な開発目標=SDGs」のロゴをどこかで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。家具小売業においても今や多くの生産者がこの目標の達成を目指して様々な活動を行なっています。単純な利益の追求に留まらず、サプライチェーン各所の選択が将来的に自然環境や人間社会に悪影響を及ぼさないか、ひいては将来をどのように改善していくかということまで意識される時代が到来しています。

そしてこの考え方の根幹にあるのが「サステナビリティ」であると我々は考えています。サステナビリティとは端的に言えば、人間社会や経済、自然環境、そして文化など人々の生活や周辺の環境がこれから先の世代までずっと続いていけることを指します。

人間社会と自然環境はお互いに深い関係にありますが、両者のうちどちらかが欠けても我々人間は生きていくことができません。私はこのサステナビリティの視点を取り入れた新しい家具選びの方法を提案したいと思います。この際、前項において若者の消費者にとっては比較的家具購入の際の評価対象とはなりにくかった健康面や環境面に与える影響もサステナビリティ的視点を取り入れる上では非常に重要になってきます。

家具選びにおける「サステナビリティ的視点」のススメ

サステナビリティ的視点を取り入れた家具選びの場合、評価軸は大きく二つあると考えます。

一つ目は「自分がその家具の価値をどれだけ理解しているか」、二つ目は「その家具は社会的・環境的に配慮された製造工程を経ているか」です。

前者については経済的側面と文化的・人道的側面に分解されます。つまり製造工程や技術に対して自分が適切な対価を払っているかということを確認して欲しいのです。価格競争の影に犠牲になっているものが隠れているかもしれません。後者についてはその製造工程が将来の人間社会・自然環境を考えているものであるかどうかということです。健康被害や違法森林伐採による土砂流出などが起きた場合将来的な被害を被るのは我々消費者とその子孫になるでしょう。

私は冒頭で「一生添い遂げられる家具」の価値を伝えたい、というお話をしました。そのような家具に求められる要素とは一体何でしょうか。耐久性に優れているものやデザインが気に入っているもの、暮らしに平穏をもたらしてくれるものがそのような家具なのかもしれません。家具選びの評価軸は人それぞれでしょうが、上述のサステナビリティ的視点を取り入れれば「一生添い遂げられる家具」に出会える確率は格段に上がると考えます。

一人ひとりの視点の変化が未来への大きな変化を生みます。「家具―サステナビリティ」の視点、是非取り入れてみてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事はグリーンズで発信したい思いがある方々からのご寄稿を、そのままの内容で掲載しています。寄稿にご興味のある方は、こちらをご覧ください。
生田目誉也

生田目誉也

宮城県出身。仙台第二高等学校を経て現在早稲田大学文化構想学部在籍。