コンビニでちょっと買い物。
事務所にちょっと物を届けるだけ。
コインパーキングを探している間に終わる用事だし……。
そう思って、路肩に駐車してしまう方は、まだまだ多いかもしれません。
しかし、そんな”ちょっと”の短い時間であっても駐車違反です。運転者が直ちに移動できなければ、黄色い標章を貼られてしまい、公安委員会から車の所有者に放置違反金の納付書が送られてきます。違反した本人が悪いのですが、落ち込んでしまいますし、損した気分にもなってしまいますよね。
このような路上の駐車違反は日本だけではありません。車社会の現代においては世界中で問題になっています。
今年(2019年)の夏、ラスベガスで「School Supplies for Ticket」と題した期間限定の寄付制度が用意されました。
この取り組みは、車中泊用を除く駐車場で、駐車可能な時間以上に利用してしまったときの違反金を、違反金額以上の新品の学用品を駐車サービス会社に提供することで納付できる寄附制度。対象となったのは、2019年6月19日~2019年7月19日に発行された駐車違反金納付書で、納付金は30日以内に納めなければならないので、最長で8月19日までに寄付することが期限となっていました。
提供対象の学用品は、鉛筆、ペン、鉛筆削り、消しゴム、定規、マーカー、ルーズリーフ用紙、ペーパータオルやコピー用紙などなど。
集まった学用品はネバダ州にある 「The Public Edication Foundation」が運営する「Teacher EXCHANGE」に提供されます。「Teacher EXCHANGE」は捨てられる予定の本や事務用品を集め、ネバダ州にある公立学校の先生に提供している非営利法人。「School Supplies for Ticket」によって駐車違反者が提供した学用品は、必要としている学校に届いて、直接教育に役立つことになります。
この駐車違反金を学用品で納める制度について、アメリカでは「よいアイデアだ」「思いやりが社会を少しずつよくする」「私にとって希望です」といった肯定的な意見がある一方で、「市に支払われるはずの納付金はどこにいってしまうの」といった疑問も出てきているようです。
今回ご紹介した駐車違反納付金制度「School Supplies for Ticket」をはじめ、モノを寄付して料金を支払う制度が人気なのは、自分が払った納付金の使い道がはっきりしているからかもしれません。
日本にも使い道が特定されている目的税はありますが、お金で支払うために実際に何に使われているかピンと来ません。でも学用品を納付するのであれば、教育に使われることは明らかです。これを機に、納付の仕方やその先のことについて、みんなで話し合ってみませんか。
[via Goodnet.org, lasvegasnevada.gov, YouTube]
(Text: 阿部哲也)
(編集: スズキコウタ)