“廃棄ゼロのレストラン“と聞いて、あなたはどんなことを考えますか?
私の頭には、「廃棄されそうな材料を使うことは環境に優しいけど、肝心の味は期待できないのではないか?」という少々意地悪な疑問が浮かびました。”外食する”という中には、味だけではなく、料理の見た目や店の雰囲気、家で食べるよりも少しだけ特別な体験を求めてしまうからです。
外食が当たり前になり、飽食の時代となる一方で、世界で生産される食料の約1/3、年間約13億トンが無駄になり、捨てられています。
そんな食料廃棄問題に立ち向かう取り組みとして、greenz.jpでは「Bristol Skipchen」などを紹介してきました。今回は、店内にゴミ箱さえない、完全に廃棄を出さないヘルシンキのレストラン「Nolla」を取り上げます。
「Nolla」の料理に驚かされるのは、「廃棄物ゼロ」を意識しないほど、美しく盛り付けられた料理の数々。
お客さんの満足度を高める4~6品の料理は、とても洗練されています。旬の素材と魚の使い方を考え抜かれたコース料理を提供することで、注文の少ないメニューがあった場合に使う材料を無駄にすることもありません。
私たちは、説教はしません。
と創業者の一人、Luka Balac(ルカ・バラック、以下、ルカさん)は言います。
ここはレストランですから、リラックスして食事を楽しんでいただきたいのです。
驚かされるのは、このような美しい料理だけではありません。「Nolla」は、実に細やかな廃棄物を削減するための取り組みをしているのです。
他の方法で再利用ができない廃棄物に関しては、レストラン内のコンポストに入れて、仕入れ先の農家やお客さんに持ち帰ってもらいます。また、GoogleやIKEAと同様に、無駄になった食品を追跡するソフトウェアを使うことで、より廃棄の少ないメニューを考えています。
ショップカードは、プラスチックを使用せず、持ち帰った人が植えられる種を埋め込んだ紙でできています。また、店内メニューも紙ではなく黒板に書かれています。
「Nolla」のはじまりは、カジュアルから高級レストランまで幅広い飲食業界で活躍する、若きシェフ3人が感じた不満にありました。
創業者の1人であるルカさんいわく、
私たちは、毎日レストランから出る廃棄物の量に不満を感じていました。
出発点は、仕入れ先からの包装や配送を変えてもらうだけで、廃棄を削減できると気づいたことからでした。
以前は、オリーブオイルとワイン以外はすべて地元で調達し、短い配送距離だったにも関わらず、すべて使い捨ての包装が使われていたのだそう。
たとえば地元のコーヒー焙煎店では、それまで、焙煎したコーヒー豆を真空パックに入れて配送していました。Nollaのシェフたちが、繰り返し使用できるプラスチック容器を探し、コーヒー豆の配送に使うようになると、地元のホテルやカフェも同じ容器の使用を焙煎店に頼みはじめたのだといいます。
その他にも、農家からの食品は木箱に入れて配送したり、小規模な生産者の場合は、再利用可能なサイズの小さい容器で届けてもらった例もあります。仕入先も経済的なコスト削減ができるため、変えることに熱心だったそうです。
目に見えた変化が起こっています。
とルカさんは言います。
食品の廃棄や食品ロスについては、日本でも環境省が、平成28年度の食品廃棄物等 2,759万トン、食品ロス643万トン(事業者から約352万トン、家庭から約291万トン)と発表し、私たちにも身近な社会課題となっています。
これを機会に、あなたも食品の買物習慣を見直し、どうすれば廃棄する量が少なくなるか、また余った食材を有効に使えないか考えてみませんか?
[via greenz.jp, restaurantnolla.com, fastcompany.com, env.go.jp, fao.org, Restaurant Nolla Facebook]
(Text: ナカオカヅキ)
(編集: スズキコウタ)