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ぱぱとままになることを考える、6つの家族の物語。「【ぱぱとままになるまえに4周年!】 ありがとね、これからもよろしくね、の会。」[イベントレポート]

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「憧れの職業のように、ぱぱとままになることを夢見る社会をつくりたい」。

そんな想いで活動をするNPO法人、「ぱぱとままになるまえに」(以下、【ぱぱまま】)。

妊婦さんをゲストに招いてお話を聞くイベントや妊婦体験をしながら助産院へ向かうツアーの開催、場所や設備だけではなく「誰に自分の子を取り上げてもらいたいか」で産む場所を選ぶための情報を伝える「ぱぱままっぷ」というサイトの運営を行っています。

そんな【ぱぱまま】も、今年で設立4周年。それを記念して「【ぱぱとままになるまえに4周年!】ありがとね、これからもよろしくね、の会。」が2月下旬に行われました。

これまでのイベントでは通常1人の妊婦さんのお話をうかがってきましたが、今回のゲストは、まま3人・ぱぱ3人の計6人です。家族のあり方は、6人6様。それぞれの家族の物語を話していただきました。

家族を知ると、家族を思い描ける

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ぱぱとままになるまえに代表・西出博美さん

いつもは妊婦さんのお話を聞く【ぱぱまま】が、家族のお話を聞くイベントを行うことにしたのはなぜでしょうか?

最初にあいさつを行った【ぱぱまま】代表の西出博美さんは、「今の社会では、“自分が生まれ育った家族”という範囲でしか自分がつくる家族を思い描くことができない」と話します。

西出さん ああいう家族もある、こういう家族もある。こんなぱぱやままもいたなっていう事例を、ぱぱとままになる前の人たちが知ることができれば、「私はこういう家族をつくっていこう」と思い描けることができるんじゃないかと思います。

今日は6つの家族のお話を聞いていただきますが、それらがすべて正解というわけでもないし、同じようにする必要もない。「こういう家族もあったな」という記憶がみんなのなかに溜まって、帰ってもらえたらなと思います。

そうしてお招きしたのは、これまでで最多となる6人のゲストです。

●ままゲスト
古橋あや香さん(CMプランナー / SHY FLOWER PROJECT代表)
日高美那子さん(元保育士、現在は助産師になるべく勉強中)
藤岡聡子さん(KURASOU.代表)

●ぱぱゲスト
鈴木大介さん(アウトドアアパレル勤務)
渡部雄祐さん(エンジニア)
嶋田洋平さん(らいおん建築事務所代表 / リノベーションスクール企画・運営)

子育てについて、あるいはより良い家族を築くために、6人それぞれが大切にしていることとは? 当日のトークの内容を、ダイジェストでお届けします。

子どもの人生は、子どもの人生

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左から、古橋あや香さん、藤岡聡子さん、日高美那子さん

「子どもは親の作品じゃない」。そう話すのは、1歳の男の子を持つ古橋あや香さん。

親は子どもに「こう育ってほしい」と思ってしまいがちかもしれませんが、彼女はあえて、手放すことを意識していると話します。

古橋さん 自分はこういう子にしたい、こう教育したいと思っていると、つい子どもの人生に介入し過ぎてしまいますよね。でも、人生は1人にひとつ。

子どもの人生は子ども自身のものだと私は思っているので、そこは我が子と言えども割り切ろうと思っています。

たとえば子どもが友だちとおもちゃを取り合ったりしているときも、私は見て見ぬふりをしていて。彼はまだ1歳だけど、赤ちゃん同士、1歳なりに言葉にならない言葉で会話をしている。それも彼の人生だと思うんです。

体を見つめる。今できることを考える

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日高美那子さん

子育てをしながら、助産師になるために2度目の大学に通っている日高美那子さん。

「子どもをつくるのは、大学を卒業してからにしよう」。一時はそう考えたこともあるそうですが、いくら大変だとわかっていても、日高さんは子育てと学業を両立する道を選びました。

日高さん 私は子どもが4人ほしいので、30歳になるまでに1人は産みたいと思ったんです。

結婚や出産は卒業してから…と考えたこともありますが、健康に子どもを産むことのできる期間は限られているもの。自分の体のことを考えた結果、在学中に産むことにしました。

子育てと学業の両立はとても大変で、母親の手も借りているので迷惑をかけているのですが、それでも今の選択ができてよかったなと思っています。自分の体を見つめる。そして、体が今しかできないことを大事にしてほしいですね。

親と話し合ってほしい

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藤岡聡子さん

「家族をつくるときは、まず自分の両親と話をしてほしい」と、藤岡聡子さんは会場に集まった参加者に話します。それは小学校6年生のときに父親を、昨年母親を亡くした藤岡さんが、十分にできなかったことでもあるのです。

藤岡さん 親として未来をつくっていくには、どうしていけばいいんだろう。そういう親としての責任を、私は父親と母親を看取ってはじめて感じたんです。

「自分の家族はどうありたいか」というのは、やはり自分が育ってきた家族から影響を受けるもの。自分のルーツを辿ったり、じっくりと話を聞いたり。もし両親が存命であるのなら、生きているうちに話し合ってほしいと思います。

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“3人単位”を、自分たちで考える

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左から、鈴木大介さん、嶋田洋平さん、渡部雄祐さん(photo:高橋佑馬)

「3人で大変か、3人で楽しめるか」。子どもが生まれてからは常に“3人単位”を考えてきたと、1歳9ヶ月のお子さんを持つ鈴木大介さんは言います。

たとえば自らの趣味であるアウトドアにも、奥さんと子どもを連れて行く。「3人でできること」を考えることで、趣味と家族の時間を両立させているのです。その背後には、こんな考えがありました。

鈴木さん うちの家族は自分たちで考えて、とにかくなんでも楽しもうと思っています。

たとえば奥さんが妊娠9ヶ月のときに雪山を歩きに行って親に怒られたこともあるのですが、それも自分たちでリスクマネジメントができている、という自信のもとに行っているんです。

結婚するのも、出産するのも、1番大切なのは「自分たちがどうしたいか」ということ。それを考えて決めれば、周りに振り回されずに、なんでも楽しめる。自分たちの気持ちに素直でいればいいのかなと思います。

ポイントを溜めて、自分の時間を

家族ができて、子どもができると、やはり自分の時間は減るもの。「そうは言っても、飲み会やフットサルにも行きたい」。渡部雄祐さんがそのために行っている工夫は、「家庭内ポイントを貯める」ことだといいます。

渡部さん 子どもができると自分の時間はもちろん減るんですけど、そのままだと悔しいので(笑)、僕はうまくポイントを溜めるようにしています。

掃除や食事、肩もみをして“家庭内のポイント”を貯めるんです。それが溜まったところで、「ちょっと遊びに行きたいんだけど…」と妻に言うようにしていますね。

良い家族関係を保ちつつ、自分の時間も楽しむ。そのために、自分ができることで家族に貢献する。「今では炊事洗濯には自信があります」と、渡部さんは得意気に話しました。

子どもは原動力! 背負うものができると強くなる

「会社を辞めるきっかけになったのは、子どもが産まれたことですね」。そう話すのは、らいおん建築事務所代表、「リノベーションスクール」の“中の人”として活躍する嶋田洋平さん。

子どもができても仕事は頑張れる、むしろ子どもができた方がより頑張れると、嶋田さんは自らの経験から語ります。

嶋田さん 建築の仕事は自分のやりたいことであり楽しかったので、若いときはどんなに遅くまで働いてもよかったんですが、子どもができると「この子と一緒にご飯を食べたい」と思っちゃうんですね。

それから夜中にミーティングが入ったりすることに疑問を感じるようになって、独立を決めたんです。

ところが独立を決めた1週間後に、2人目の子がいることがわかって。独立と子育てで嶋田家の家計は一気に不安定になったんです。

でもそのときから、「すっごいがんばって、これから稼がなきゃな」と意識が変わりました。子どもは原動力になるんです。

子どもができたら、もっと頑張れる。その理由は「背負う者の強さ」だと、嶋田さんは続けます。

嶋田さん 思想家の内田樹さんが言っていたことなんですが、サッカー選手はクラブチームでプレーするときより日本代表になった方が活躍するんだそうです。

なぜかというと、日の丸を背負っているから。背負うものがデカければデカいほど、人はパフォーマンスを発揮するものなんだよね。


(photo:高橋佑馬)

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家族のあり方は、人それぞれ。6つの家族が歩いてきた6つの道を、知ることができた会となりました。

もちろん、西出さんが最初に話したように、これらの家族のあり方が正解というわけではなりません。

たくさんの家族のあり方に触れ、それをきっかけに自分の未来の家族を考える。

そんな機会が増えることで、「ぱぱになりたい」「ままになりたい」と、より多くの人が思う社会をつくっていくことができるのかもしれません。