スーパーでお買い物をするとき、みなさんはどんな果物や野菜を選びますか? 「どうせ買うなら、なるべく形がきれいなものを」という方は多いのかもしれません。
売れ残りを少なくするために、多くのスーパーに並ぶのは、形が整っていて、大きさも同じような果物や野菜。しかし、そこで問題になってくるのが食品ロスの問題です。
FAO(国際連合食糧農業機関)によると、毎年人が食べるために生産された食料のうち、約3分の1を占める約13億トンが捨てられており、流通にのぼる途中の段階で捨てられる食料も相当な量にのぼるのだとか。
「形が悪いだけで廃棄されてしまう果物や野菜をなんとかしたい!」と、フランスで3番目の規模のスーパー「intermarche」が始めたのは、とてもユニークなキャンペーンでした。
それは、不格好な果物や野菜をヒーローにするキャンペーン。農家からそれまで店頭に並ぶことがなかった不格好な果物や野菜を買い取り、特売コーナーをつくって販売したのです。
それも、単なる特売コーナーではありません。アプローチが妙に強気なのです。たとえば店頭や街に貼られるポスター。「なんか悪い?」とでも言っているかのような堂々とした不格好な野菜や果物の写真に、名誉挽回とばかりにその個性を訴えるコピーが踊ります。
ブサイクなナス:「もっとブサイクだったらもっと安くなったのにね。」
グロいリンゴ:「医者いらずの一日を!」
しくじったレモン:「レモンの創造主からの贈り物。」
恐怖のオレンジ:「美しいジュースになるんです。」
奇妙なポテト:「2014ミス・マッシュポテトに選ばれました。」
ポスターに興味をもって特売コーナーに行くと、不格好な果物や野菜でつくったジュースやスープが試飲できるように。「味は変わらないな」「しかも安いじゃないか」と気づいたお客さんに、不格好な果物や野菜をクールな選択として買ってもらう仕掛けです。
このキャンペーンは実施して2日目までに1.2トンの果物と野菜を売るほどの人気となり、ソーシャルメディアはもちろん、国営放送でも報道されるほどの話題になったそう。
そして1カ月で1,300万人に知られ、売り上げが10%もアップするという結果となりました。この成功を受け、フランスでは他の大手スーパーも同じような取り組みを検討しているのだとか。
社会にとっていいことも、お利口に伝えるだけではもったいない。このキャンペーンのように、ちょっとドキッとする、クスッと笑えるようなアプローチを取ることで、もっと多くの人を巻き込み、大きな動きにしていけるのではないでしょうか。
カンヌ2014の連載は、まだまだ続きます。次回も、お楽しみに!
(翻訳アシスタント:猿田幸絵 /「greenz global」編集部)