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自分に制限を決めずに挑戦してみよう!小澤尚弘さん、中村真広さん、岡勇樹a.k.a ゆーくさんと考えるこれからの働き方「green drinks 調布vol.8」[イベントレポート]

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「今地域で活動したいと思っている」「地元でgreen drinksを行いたいと思っていた」「仕事を変えるか悩んでいて…」

途中行ったワークで皆さんがgreen drinks chofuにお越し頂いた理由をお聞きしてみました。それぞれが想い描く「つくりたい未来」のヒントとなるアイディアが共有できる場所になりたい。

そんな想いを込めてgd調布は、調布の小さな発信拠点「co-ba chofu」で毎月第3日曜日に開催しています。

今回は、ご当地商品でソーシャルビジネスを展開する株式会社「MNH」の取締役の小澤尚弘さん。チャレンジが生まれる「場」であるシェアードワークプレイスco-baをはじめとする様々な場づくりの企画・設計・運営を手掛ける株式会社「ツクルバ」の代表取締役CCO中村真広さん。そして「音楽を使って医療福祉に貢献する」というコンセプトの元、あらゆる人々の社会参加を目指すNPO法人「Ubdobe」を立ち上げた岡勇樹a.k.a ゆーくさん。

そしてそして今回はアイリッシュミュージックを演奏する、tricolorのミュージックライブあり!のgd調布でした!!


地域の人とのつながりを育みながら働く「これからの仕事」のカタチ

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1人目のゲストは、株式会社MNHの取締役社長の小澤尚弘さん。

小澤さんが手がけるソーシャルビジネスは、「ご当地商品」という地域にある資源を活かした産業によって、地域の資源と課題をお金と雇用に変える地域商社事業で、本社が調布にあります。

小澤さんにとっての地域商社事業とは、「地域の資源と課題を結びつけ、付加価値をつけて、地域の外に販売する”出口”までを担う」事業だそうです。ビジネスでありながら、地域の課題を解決する役目も担っています。

有名な商品としては、高尾山で売られている「天狗の鼻かりんとう」が挙げられます。ただ単に聞くとモノを売って利益を出す、という単純なビジネスモデルですが、その文脈がとてもユニーク且つ戦略的。

お土産業界というニッチ分野を狙うということで大手とは異なる市場で独自のブランドを普及することが可能になり、現在も次々と小売店を獲得しています。

また実際に現在、雇用を生み出すことにも成功していて、地域の福祉作業所の手も借りているとのことで、障がい福祉の分野での雇用獲得という意味に置いても大きな役割を担っています。
 
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「雇用を生み出すだけではなく、地域で食べていける若者を生み出したい」と小澤さん

小澤さんの最終的な目標は、若者・弱者が主役になれる仕組みづくり。アツい若者の登場を願っているとのこと。

MNHが行う事業として「スタンドバイミー事業」があります。現在は若者が昔ながらの屋台で地域の野菜を販売していて「自分の力で食べていく」コンセプトのもと仕入れから販売までの流れやお客さんの顔が見える商売の経験をデザイン。商売の流れを最も単純化した行商の体験から社会起業家を育てようと言う試みです!

 
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MNHが行うスタンドバイミー事業


今後も調布で更なる事業展開も検討中とのことで、今後のMHNに期待ですね!

チャレンジを受け入れたい。人々を巻き込みながら自分自身で仕事をつくり出す「場」の発明。

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2人目のゲストは、株式会社ツクルバの代表取締役CCO中村真広さん

ツクルバが行っているのは「場」の発明です。今回は事業のひとつ、シェアードワークプレイス「co-ba」のお話がメインとなりました!co-baは多様な事業を行う方々が集うワーキングコミュニティースペースです。

場所を共有するだけではなく、コミュニケーションやコラボレーションを行いながら、それぞれのチャレンジを実践していく場所です。

中村さん
 これからの会社には、ビジネスとデザインの両方がないと面白くないよねって思って創ったのがツクルバです。その第一弾事業がco-ba shibuyaでした。

当初の構想では、都内に30箇所ほど創設するつもりでいました。しかし、放置しておくと無機質な不動産のような場所貸しオフィスになってしまいます。ただの場所貸しにはしたくないので、そのときは横展開は断念しました。



co-baは”場の熱量を尊重する”という点で、場所貸しのシェアオフィスとは大きく異なるということですね。そして遂にco-baは去年11月、フランチャイズ化を始めます。

1つ1つの場の熱量を考えたときに重要なのは、その場の熱量を上げる場の運営者の存在とのこと。現在このgd調布やco-ba chofuを運営する薩川さんとも、その点で意気投合したとのこと。

そんな薩川さんと中村さんの今後のco-baがつくる未来のお話を少しお届けします!

薩川さん 
co-baを運営するツクルバが提唱する働き方というところで、ズバリこういうこと、という定義はありますか?

中村さん 一つの大きな理念としては”大小関係なくチャレンジを応援する”ということです。

例えばco-ba渋谷だったらITのスモールチームやフリーランス等で自分の働き方を定義している人。マンションの中にあるco-baロイヤルアネックスだったら、子育てママさんが仕事復帰したいからちょっと資格の勉強を始めたり。そういう様々なチャレンジの拠点としてco-baを使ってもらえればなと思います。

ではどうやってそういう場をつくるのかというと、それはロジックじゃなくその場の熱量だと思うんです。ある1人の熱量を持つ人によって、それが広まってその場所自体の空気が変わるというのは、例えば窓際族ばかりの会社だったとしたらそこで熱量は生まれ得ない。

薩川さん 
うん。色々なチャレンジを許容する場でありたいです。そしてやっぱり人がつくり出す空気感っていうものはありますよね。co-ba調布だったらco-ba調布らしさというか。そこは僕自身もすごく意識しています。

僕は音楽やダンスが好きなのですが、音楽文化というものが、地域と密接な関係があると思っていて、でも紐解くと、結局そこにいる”人達らしさ”だって所に行き着く。だから”調布らしさ”っていうものは調布に集まる人達で何かやり始めるという所から、つくられてくるものかなと思ってます。co-ba chofuではそういうことがやりたい。

最近気になっている所で言うと、調布には電通大学があって、インテリな思考の若者が集ってます。そこでWEBをいじれる人等がつどって、色々やっているらしいです。でもその活動がなかなか我々の耳まで届かないのは、もしかしたら技術の問題ではなく、社会に対するアプローチの方法の問題なのかもしれない。

その学生が、学園生活では出会えないであろう様々なジャンルの人に出会うことによって、その力が発揮されることがあるかもしれないですよね。そういった場は実はすごく必要とされていると感じてて。

中村さん そうですね。僕は”旅人”と”村人”に例えるのですが、コミュニティーは村人だけだとどうしても空気が一色に染まりがち。でもそこに旅人が流動的にいると、新しい風を入れて村を活性してくれるきっかけをつくれるのだと思います。

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和気あいあいとトークは進行! 薩川さん(左)、中村さん(右)



お2人のお話を聞いてこれから広がるco-baのネットワークがつくる未来がとても楽しみになりました!そして最後に会場の方が書いた質問を薩川さんが読んで締めくくりました。

薩川さん 中村くんの、アイディアを思いつくために大切にしているセオリーってなんですか?

中村さん とにかく次々と新しいことに挑戦、体験してみることですね。やったことないことに誘われると基本的にはとりあえずやってみるようにしています(笑)。

実はアウトドアとか全然やったことなかったのですが、実際にキャンプに行ってみると、こんなものがあったらおもしろいなと思い始める。最近貸コテージを始めようとも考えているのですが、それも実際キャンプに行った体験がきっかけでした。そういうところに発想のチャンスがあるんじゃないかなと僕は思っています。

薩川さん なるほど!きっと自分の中で制限を決めないということが、その発想力を育んでいるんでしょうね! ありがとうございました!

「自分がやりたいからやる。」音楽×アート×福祉という掛け合わせで生み出すソーシャルビジネス

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3人目のゲストは、NPO法人Ubdobeの代表理事岡勇樹a.k.a ゆーくさん

NPO法人Ubdobeは、「音楽×福祉」という切り口による「医療福祉エンターテイメント」を銘打って、あらゆる人々の積極的社会参加を推進しています。


面白いのは、岡さんの一風変わった経歴です。ザックリ要約して説明しますと、3歳でアメリカに移住しパンクロックやヒップホップの虜となり、12歳で帰国。15歳でドラムとDJを始め、クラブに通い朝帰りの日々がつづき、その後19歳で何故かディジュリドゥという民族楽器の演奏を始め、屋久島で動物達の前で演奏。(実話です!笑)

その翌年、ストリートパフォーマンス集団「ウブドベ共和国」をつくり、活動を開始。
…とにかく音楽がお好きだという想いがお話の勢いに乗って強く感じられました!

そんな岡さんの破天荒な行動についてくる方は少なく、友達は決して多くは無かったとのこと。それは、学校の担任からも冷たい目で見られるほどだったとのことです。でも常に温かく見守ってくれる唯一の存在が。
それが母の存在でした。そんな岡さんの転機は、21歳の時。

岡さん  ある日母親から置き手紙があったんです。入院するけど見舞いには来るなって書き置きを残してた。すぐ駆けつけて、事情を聞いたら癌だった。

それまで気にも止めていなかったけど、ふと気付いたらめちゃくちゃ痩せてた母がいて。それでも何とかなるって思ってたけど死んじゃった。同じ頃、祖父が認知症にかかって…



人生の価値観を根底から覆した、受け入れるしかない目の前の現実。「いったい自分にできることってなんだろう」と、岡さんは徹底的に考えたそう。
 
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岡さん「俺のことも分からなくなったじいちゃんが、思い出の音楽が流れた時に一瞬記憶が戻ったんです。…音楽ってすげーなって」



異彩を放ち、一般社会とは異なる価値観に触れ、様々な経験をしてきた岡さんが考えたのは「音楽」を使って福祉に貢献するというものでした。

具体的な代表例としては、福祉や医療への啓発として、働き手、利用者、一般の方々すべてを巻き込んで行う音楽イベント「ソーシャルファンク」。そして「コドモミュージック&アートフェスティバル」という子供たちがつくりあげる野外フェス等が挙げられます。


楽しいことをやるだけではなくそこで、福祉分野の重要人物を連れてきたり、しっかりと現在の課題を定義し、理解を求める活動も同時に行います。
様々な動機のもとに集った人々をまとめることで、医療福祉を必要とする人だけではない、より多様な意味での積極的社会参加を実現していきたいとのことです。

 
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Ubdobeのロゴ


NPOのこともよくわからず始めた活動を今も続けていられるのは、一緒に活動を行う仲間やファンの存在だといいます。岡さんの周りには、いつも活動に共感してくれる仲間の存在がある様に思えました。なぜならそれは私にも道を開拓する行動力や想いの強さが、今回のお話だけでも強く伝わってきたからです。

これからの事業構想では、海外での新たな事業展開や、企業との大規模なコラボレーション等があげられました。一周りも二周りも成長した岡さんの活動を見る日も近いかもしれません!


お待ちかね!本日のsippoterryの料理は…!?

交流の時間では、おなじみ「sippoterry」こと杉田志保さんのケータリングのカレーがふるまわれました。盛りつけをして別の方と交換して食べてというもの。みなさんでおいしくいただきながら…
 
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それぞれがカレーに色とりどりの野菜をトッピング!

そして8つの楽器を使い、アイルランド音楽を演奏するtricolorによるアイリッシュミュージックライブ!
 
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聞く人同士を仲良くさせるような、不思議な雰囲気をつくり出すアイリッシュミュージシャンtricolorのお2人の演奏



一曲ずつ楽器を変えての演奏。時に和やかに、時に楽しくさせてくれる素敵な音楽を聴かせてくれました!そしてなんと最後の曲では急遽会場にいらっしゃった方も含め、3人編成での演奏を披露してくれました!!
 
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tricolorと須貝さん(左)のトリオ!


楽しい時間を過ごしながらおいしい料理に会話も弾みます!!!
 
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皆さんと楽しい時間を過ごしながら夜は更けていきました!

”調布への窓口にしたい”というオーガナイザーの薩川さんの目指すイベントが少しずつ形になってきているgd調布。

調布以外の方々のご参加も多く、gd調布は「地域を開く場所」なんだなと感じました。どなたでも楽しめる素敵な空間だと感じました!そして、ここからまたさらに新しいグッドアイディアが誕生してくれるといいですね!

green drinks chofuは毎月第3日曜日に開催。次回の開催は9/21(日)です。次回はゲストとして、最近ではTEDxTOKYOでも登壇されたメゾン青樹の青木純さん、ユニークな仕事体験を提供する仕事旅行社の田中翼さん、調布の仙川地図研究所で地域の活動の一役を担っている小森葵さんをお迎えして行うgd調布です!お楽しみに!!


(Text: 熊野恭子)