2013カンヌ受賞作の連載、今回は、メキシコからの事例をご紹介します。
毎日たくさんのニュースがあふれる中、環境汚染について多くの人の関心を集めるのは簡単なことではありません。でも、セレブに人気の旅行ツアーがあるとうと、どうでしょう。ちょっと気になりませんか?
メキシコの「グリーンピース」は、河川の汚染問題への注目を集めるため、「世界旅行の日」に合わせて、ユニークな旅行代理店を立ち上げました。それは、河川の汚染を楽しく(?)体験できる旅行プランを用意した旅行代理店。その名も「TOXIC TOURS(有毒ツアー!)」。
このツアーは、メキシコのセレブたちに、油まみれの川でのシュノーケリングや魚の死骸のフィッシングなど、とんでもない内容のツアーに招待しました。河川の環境保全という目的に賛同したセレブたちは快くツアーに参加。
その模様は「TOXIC TOURS」のホームページで公開され、セレブのサインの入った臭いポストカードが、政治家やメディアに送られました。セレブたちの笑顔とともに紹介された河川の深刻な汚染は、それまで環境問題に関心がなかったような人たちにも驚きを持って受け入れられることに。さらに、国際的なメディアの人たちがツアーに参加することで、メキシコの汚染問題が海外のメディアにも報道されることになりました。
これらの盛り上がりは、これまでアプローチできなかった人たちにも環境汚染の問題に目を向けさせることにつながり、国や自治体に環境保全への大きなプレッシャーを与えることに成功したのです。
たくさんの人の注目を集めるセレブと、目を背けたくなる環境問題というミスマッチが成功に導いたキャンペーン。日本でも少しずつ有名人が個人的な意思で社会的なメッセージを発信することが増えてきているので、ぜひこうしたツアーに参加してほしいものですね。
カンヌライオンズ受賞作の連載は続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)