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遊びは世界の共通言語!街に突然現れた赤いブランコが世界中を笑顔にする「Red Swing Project」

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誰でも子どもの頃、一度は遊んだことのあるブランコ。

普段は公園の中にしかないものですが、これを街の中につくってみると…?そんな試みが、初めはだれも想像しなかったくらいたくさんの人を笑顔にすることに!

今回は、そんな「Red Swing Project(赤いブランコプロジェクト)」の紹介です。

アメリカ・テキサス州オースティンで建築を学ぶAndrew Danziger(以下、アンドリューさん)は、2007年のある日、「街が抱える問題に対して何かアクションをするようなものを設計する」という課題を大学で出されました。

そこで彼が考えたのが、街の5つの異なった場所に赤いブランコをとりつけてみるというアイデア。実際にやってみると、警察に止められ切られてしまったものもあれば、とても喜ばれてその後5年間も遊ばれ続けたものもでてきました。
 
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ブランコが楽しくて、思わず大爆笑!

「それぞれのブランコが場所によって全然違う反応を受けるのが面白い!」と手応えを感じたアンドリューさんは、その1ヶ月後、ニューオリンズで、2005年のハリケーンカトリーナで被害を受けた後、廃れたとなったまま復興が進まないエリアでもブランコを作ってみることにしました。

そこでも突然あらわれた赤いブランコ、遊ぶ子どもたちはたちまち笑顔に!さらに、それで遊び始める子どもたちの姿が、大人たちにも復興への希望を与えるものとなったのでした。そしてインドやタイへ、世界を舞台にブランコをつくりはじめることに。

インドでは、ブランコを公共空間に設置する私の存在は犯罪者とはみなされませんでした。むしろ、お寺にブランコをつるすために招いてくれたぐらい。「私たちはブランコがほしいんだから、やりましょう!」というインドの人々の反応は、今までにないものでしたね。

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インドでRed Swing Projectをするときのアンドリューさん

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インドの子どもたちも楽しそう

世界中で受け入れられることがわかっても、やはり一人では限界があります。そこで、自分の行けないところでは、誰かに作ってもらおうと、ウェブサイト「Red Swing Project」を開設し、そこで作り方や遊び方を公開しました。現在、ヨーロッパ、ブラジル、韓国、台湾など世界153カ所で赤いブランコが作られています。

このブランコは、「街の問題に対して何かアクションをするようなもの」という課題で作られたものでしたが、通常街の抱えている問題は複雑で、解決策が簡単に見つかるものはなかなかありません。しかし、誰でも遊んだことがある”ブランコ”だからこそ、世界中のあらゆる街で受け入れられ、楽しんでもらうことができたのですね。

もしかしたら遠回りな解決策かもしれませんが、このような街の中に楽しさを生み、それを街のみんなで共有することは、少しずつ「街をもっと良くしていこう」と、人々の意識を変えていくのではないでしょうか。
 
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Red Swing Projectのホームページから現在のブランコの数と場所がわかります

街にブランコをつるすだけといえば、だれでも簡単にできそうですが、それがこんなに人を笑顔にできるとは誰も思いつかなかったと思います。

みなさんも、ちょっとしたことでもアイデアを思いついたら、誰かに伝えてみませんか?世界中の街で採用される種になるかもしれません!

(Text:小貫友里)
[via FAST COMPANY, Red Swing Project]