©THESTREETSTORE
みなさんは、自分が寄付したお金やものが、実際にどういかされているのか、考えたことはありますか?もちろん大事に届けられているケースも多いと思いますが、なかには欲しくないものまで押し付けられるなど、受け取る側の気持ちをないがしろにするような場面もあるようです。
今回ご紹介するのは、貧困状態にあるホームレスの人たちが大喜びしたということで、世界中の注目を集めているポップアップショップ「The Street Store」。南アフリカのストリートにオープンした人気店のその秘密を覗いてみましょう。
とはいっても”開店”のために用意されたのは、「ここに服をかけてください」というメッセージが印刷されたダンボールだけ。そこに寄付された服や靴、アクセサリーを展示していきます。
そしてホームレスの人たちは、ウインドウショッピングするように服を眺め、気に入ったものを自由に持ちかえることができる、という仕組みです。中にはその人におすすめのコーディネートを提案してくれるボランティアさんも。
©THESTREETSTORE
そもそも南アフリカのケープタウンでは、2010年ワールドカップで開発が進んだものの、スタジアムの建設などのため多くのホームレスが街のはずれへの移動を余儀なくされました。それによって、富裕層と貧困層のギャップが生まれていたのです。
そのギャップを埋め、貧困状態にある人が助けを必要としていることを、富裕層の人に気付いてもらうためにはどうすればよいか、地元のコピーライターのKayli vee levitan(カイリ・ヴィー・レヴィタンさん)と広告代理店のアートディレクターMaximilian Pazak(マキシミリアン・パザックさん)は考えました。そしてその両者のあいだ=”ストリート”を活用することを思いつきます。
ケープタウンで初めて「The Street Store」をオープンした初日には、1,000人近くのホームレスが”ショッピング”を堪能。それぞれ好みの服やアクセサリーを選んで、持って帰りました。この取り組みはTwitterなどを通して、瞬く間に大反響を呼ぶことに。
その後二人は、ホームレスや貧困がケープタウンに特有の問題ではないことに気がつきます。そこで彼らは、世界中の必要とする場所でそれぞれのStreet Storeを開いてもらうために、誰でもポスターを印刷して開店できるようにしました。
ホームレスに配給をするのはよくないと、確かに言われます。それはホームレス側も配給に依存してしまうし、寄付する側も、寄付した後のことに関心を持つことがないからです。
また、配給の方法も、ホームレスだからとまとめられて、好きでもないものを押し付けてしまうこともあります。その2つのことを解決するために、私たちは配給する場をデザインしたいと思ったのです。
©THESTREETSTORE
“かわいそうな人”を一方的に助けようとするのは、どこかで上から目線があるのかもしれません。だからこそ受益者を能動的な参加者にするという試みは、いろんな現場でヒントとして使えそうですね。
素敵な寄付の循環を可視化するだけでなく、見知らぬ人同士をつなげる素敵な取り組み。みなさんの街でも開店してみませんか?
(Text:伊藤一馬)
[via Co.Exist]