2013カンヌ受賞作の連載、今回は、フランスからの事例をご紹介します。
フランスでは2012年、国を二分するような大きな意見のぶつかり合いがありました。議論の的になったのは、同性婚の合法化についての問題です。
2012年、同性婚を合法化することを公約に掲げた社会党のオランド大統領が当選。フランス政府は法制化に向かって動き出しました。
フランスというと、愛と自由というイメージがありますが、カトリック教徒など、伝統的な価値観を大切にする人たちも少なからずいます。法制化に反対するデモには15万人以上の人たちが集まり、同性愛者を襲撃する事件も起きたりしました。
この不幸な対立を和らげるために動いたのがGoogleでした。Googleは同性愛者の権利保護のために活動している非営利団体と協力。Google+のグループ会議機能「ハングアウト」を使った、オンラインによる同性愛者の結婚式を企画したのです。
結婚式の立会人となったのは、フランスに先立ち同性婚が合法化されたベルギーの市長。家族や友人が見守る中での10組の同性愛カップルの結婚式はYouTubeで世界中に中継されました。そして、その模様はテレビや新聞、ラジオなどのメディアで多く取り上げられることに。メディアに出演した依頼されたカップルや市長は、愛と平等についてのメッセージを発信しました。
同性愛は隠すべきものではなく、祝福されるべきものだということをアピールしたこのイベントは、多くの人が前向きに同性婚の合法化について考える流れを生み出すことに。
その後フランスでは、2013年、同性カップルによる養子縁組法案が採択され、賛成多数で可決に。5月29日には、フランス国内で初めて同姓カップルの正式な結婚式が行われることになりました。
Googleはこの取り組みで、「人々の生活を変え、社会の進歩を助ける」というGoogle+の本来の目的を、社会的な課題に挑むことで示しました。技術や道具はそれが優れたものであるほど、ポジティブにもネガティブにも働きます。ユーザーを導くようなビジョンを、実際にサービスを通して伝える。当たり前のようなことですが、国を分けるほどの対立があるテーマでそれを実行した勇気が、他のサービスにはない成果をもたらしたのではないでしょうか。
カンヌライオンズ受賞作の連載は続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)