2013カンヌ受賞作の連載、年をまたいで続けます。素晴らしいアクションの数々、もうしばらくおつきあいください。今回は、イタリアでのキャンペーンをご紹介します。
全世界でおよそ800人に1人の割合で生まれるといわれるダウン症の人たち。彼らが社会のなかで成長し、尊厳をもって生きていくためには、早期の保健医療と教育へのアクセス、そしてさらなる病気への研究が必要です。その重要性を知らせるために、国連は3月21日を「世界ダウン症デー」に指定しました。
イタリアでは、ダウン症の人たちへの偏見が根強く、人権がないがしろにされるケースが少なからずありました。そこで2012年、初めての世界ダウン症デーを迎えるにあたり、イタリアのダウン症の人たちの団体「COORDOWN」は、資金を集めるためのキャンペーンを実施しました。そのために、動いたのは、50人のダウン症の人たち。
彼らが呼びかけたのは、世界のセレブたちです。50人一人ひとりが、それぞれ50人のセレブたちにTwitterでお願いしたのです。彼らがお願いしたのは寄付ではありません。お金の代わりに、自分たちの声を多くの人に届けてもらうことをお願いしたのです。
ダイレクトに本人から熱いメッセージをもらったセレブたちは、ダウン症の人たちの願いに応えました。女優のシャロン・ストーンやサッカー選手のトッティなど、そうそうたるセレブたち50人が、「COORDOWN」への寄付を呼びかける映像を公開。
ソーシャルメディアによる拡散と、マスメディアの報道を通してこのキャンペーンのメッセージはイタリアの人口の約半数の3000万という人たちに届き、「COORDOWN」への寄付は前年比700%にものぼる大成功を収めました。
ダウン症の人たち自身が呼びかけたということはもちろん、このキャンペーンを成功に導いたのは、Twitter上で公開されたその呼びかけに何人のセレブたちが応えるのかといったワクワクする要素を持たせたところではないでしょうか。
関心を持ってもらうために、関心のあるところに飛び込む。偏見を恐れず呼びかけた50人のダウン症の人たちの勇気が、セレブたち、そしてイタリアの人たちの心を動かしました。
カンヌライオンズ受賞作の連載は続きます!引き続きお楽しみに。
(翻訳協力:モリジュンヤ)