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「未来のつくりかた」がわかるブックレーベル「green Books」始まる。 鈴木菜央に聞く、『みんなのソーシャルデザイン宣言』の見どころ

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グリーンズが発行する、「ほしい未来のつくり方」がわかるブックレーベル『green Books』。年に2回制作されるこの本は、 グリーンズ会員、通称greenz peopleだけに届きます。

2冊目となる『グリーンズのつくりかた』が間もなく発行されますが、今回は、1冊目であり、2013年7月に発行された『みんなのソーシャルデザイン宣言』を紹介します。

今までgreenz.jpで紹介した、たくさんの「ほしい未来をつくる」人たちのなかから49人にご登場いただき、それぞれの「ほしい未来」を聞いた最初の『green Books』。小さいけれど気が利いていて、いつまでも大切にとっておきたくなるような仕上がりとなっています。

ウェブマガジンを運営するグリーンズが、いま本を出すのはどのような想いからなのでしょうか。『green Books』編集長の鈴木菜央に、その見どころをたっぷりとうかがいました!

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『green Books』編集長・鈴木菜央

ーまず最初に、『green Books』をつくろうと思ったきっかけを教えてください。

菜央 greenz peopleの人たちに、上辺の「ありがとう」じゃなくて、心からの感謝を述べたいなと思ったのが、この本をつくったきっかけなんですよ。

ー会員制度が始まったのは、グリーンズがNPO法人になったすぐ後、2013年2月ですよね。

菜央 そうですね。まず、なぜグリーンズをNPO法人にしたか?ということなんですが、一番大きな理由は、グリーンズの周辺で起きているいろんな動きを、可視化して繋げて、ひとつの大きなムーブメントにして行きたい、ということなんです。そのために、グリーンズをもっと開かれたものにしていこうと思った。

だからグリーンズに関わるメンバーの関係性はピラミッド型ではなく平場でフラット。記事を書いてくれるライターさんも、クライアントさんへの営業を手伝ってくれているプロデューサーたちも、green drinksのボランティアに来てくれている人も、いろんな関わり方があるけど、それぞれが平等でフラットな関係なんだよね。それぞれが、その場所で、成長できていくような場。

グリーンズは、みんなが日々動いていることや、みんなが持っているビジョンを、大きなストーリーに昇華させていく存在にしていきたい。それが、タグラインにもなっている、「ほしい未来は、つくろう」なんですね。そういう、グリーンズがやりたいことを一緒にやりたいって人たちとみんなで力を合わせて、ムーブメントを大きくしていく。それによってみんながほしい未来をつくっていけるような、そんな存在にグリーンズをしていきたいと思ったんです。

じゃあそのために、ベースになる活動全体を支えてくれる会員を募ろうと。それがすなわちgreenz peopleという愛称のグリーンズ会員なんです。

―greenz peopleは、菜央さんにとってどのような人たちだと言えますか?

菜央 ムーブメントを前に進める大事な同志、でしょうか。greenz.jpは無料で読めるのにお金出してくれるって、よく考えたら、すごいことだと思うんです。

グリーンズが提案している「こういう未来がいいんじゃないかな」ってことに賛同してくれていたり、もしくはグリーンズが考えている「つくりたい未来」とその人が考える「つくりたい未来」が、重なっていたりする人たちではないかと思います。

「グリーンズにお金を預けることで、その未来が加速するんだったら寄付するよ」って言ってくれる人がpeopleのなかには多いんじゃないかなと思っています。それは本当にありがたいですよね。

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米良はるかさんの「ほしい未来」

―次に、本の中身について教えてください。

菜央 タイトルは、「みんなのソーシャルデザイン宣言」です。「宣言」なので、いわゆる「マニフェスト」です。グリーンズで今まで記事にしてきたような、僕たちが尊敬する人たちに対してひとりずつ、ストレートに「あなたがほしい未来ってなに?」という質問に対しての答えをを、まとめました。「僕たちの」じゃなくて、「みんなの」ソーシャルデザイン宣言なんです。

と言ってもそれはここに出てくる人たちがスーパーヒーローだっていうわけじゃなくて、読者もこの1人だし。そういう意味を『みんなのソーシャルデザイン宣言』というタイトルに込めました。

―「あなたがほしい未来を、自由に描いてください。」という最後の白紙のページが、グリーンズらしいですよね。

菜央 余白ページだから、レイアウト的には1番楽なんだけどね(笑)。

読んで、すごいなぁとか、そういうふうに思うことももちろんあると思うんだけど、この本は、「使って」ほしいですよね。読むことに価値があるんじゃなくて、読んだ後に行動が変わることに価値があるわけで。

だから、僕がみんなに言いたいのは、ほしい未来っていうのはつくれるし、みんなでつくっていこうよと。それをグリーンズを通してずっとやってきた。けど、その原点として、一人ひとりの「ほしい未来」を描き出して、それを通して、大きなビジョンを描けたらな、と思っています。だから、この本を会員のみなさんと一緒に作れたっていうのは、とてもよかったなぁと思っていますね。

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「あなたがほしい未来を、自由に描いてください。」とだけ書かれたページが本の最後に。

―greenz.jpはウェブマガジンじゃないですか。そのグリーンズが、カタチとしての本を出すというのは、菜央さんにとってどういう意味があったんでしょう?

菜央 最近出した書籍『「ほしい未来」は自分の手でつくる』にも書きましたが、僕自身は中学生のときにコンピュータ初めて触って、大学入るときに初めてインターネットっていうものに触れて、それがこう、世界をものすごい勢いで変えていくんだろうなって可能性をめちゃめちゃ感じて。インターネットが普及することで社会全体が変わっていくなって思ったんです。

それで7年間ずっとgreenz.jpというウェブマガジンをやってきて、たしかにムーブメントを作るって意味では、ウェブっていうのはすごく可能性があるし、親和性が高いと思う。会話的だし、人の動きというか、人の感情に寄り添っているなと。どんどん変わっていく、どんどん前に進んでいくことには、ウェブはすごいパワーを発揮する。でも、パッと後ろを振り返ると何にも残ってないわけ。greenz.jpの前のウェブデザインも、そのまえのウェブデザインも、残ってない。ムーブメント的であるがゆえに、振り返ったときのまとまった感じやカタチになっていく感じがない。

本をつくることで、そのときのその空気感というか、その瞬間のいろんなものがぎゅっと閉じ込められるんだよね。マンモスが冷凍保存されるみたいにさ、そのときどんな世界だったのかっていうのが、そこからわかったりするわけです。

たとえば、生きていると、人生を考え直さなくちゃいけないときって何回もあるじゃないですか。それでね、そういうときにウェブ見に行くかっていうとね、行かないわけ。超悩んで、「おれの人生、どうしよう……ググろ!」みたいなことってない(笑)。

人に会うこともあるけど、多くの人が何をするかっていうと、本を読むと思うんです。それは時間っていうフィルターを通ったり、カタチにするっていうフィルターを通った、過去の人たちの人生がぎゅうっとつまった強度のある学びがそこにあるから。そういう深く心に響く何かっていうのは、本っていうメディアにこそあるんじゃないかなと思います。

やっぱりウェブ上で行われる宣言と、紙という物質に落とし込んだ宣言というのは、なんか違う。グリーンズとしてもみんなで社会を変えていくっていうことをチャレンジとしてやっているので、その狼煙(のろし)というか出発点というかくさびというか。そういうものとして本をやりたいなと、ウェブマガジンをずっとやってきたからこそ思った、というところがあります。

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「ほしい未来は、つくろう。」 イラストは深川優さん。

―デザインでこだわったポイントはありますか?

菜央 絶対に捨てさせないデザイン。小さくて、気を遣ってる本にしました。たとえば写真は1個1個何気ないんだけど、ちょっとおもしろい構図だったりとか。見開きのところは自分が撮ったんだけどね、撮影はもう、1人あたり2〜3時間くらいかけたんだよね。

あとは普遍的なものにしたいなと思って、パスポートっぽいつくりになってます。みんなの帰ってくる場所になったらいいなと思って作りました。

―1人に2冊送っているところもいいですよね。

菜央 はい。2冊あれば1冊は、自分が大事な人に贈り物ができる。ソーシャルデザイン宣言」に書いてあることって面と向かって友達言いにくいというか、恥ずかしいじゃないですか。でも「2冊もらったら1冊あげるよ」っていうことなら、言いやすいんだよね。そこから会話が生まれたりするんじゃないかなって。自分が尊敬する人だとか大事に思っている人に渡して、そこから何か豊かな時間や関係ができたらいいなぁと思います。

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素材は厚めのボール紙。菜央さんの好きな黄色がボール紙に印刷されて、落ち着いた良い色になっている。

―最後に、これから『green Books』を通してやりたいことを教えてください。

菜央 グリーンズは7年目を迎えて、メディアとしてもgreen drinksという場としても、コミュニティになってきている感じがしています。それを次は、ムーブメントにしていきたいんですよ。

時代ごとに常におもしろい雑誌ってあって。僕の時代で言えば『STUDIO VOICE』だったり、『InterCommunication』だったり。『WIRED』も。今だと、『SPECTATOR』や『MAKE』かな。もやもやしている時代の何かを、スパっと代弁してくれるような感じ。書店で出会ったときに「これだ!」と思う。他の誰もわかってくれないけど、この雑誌はおれのことわかってくれてる、みたいな感覚を持てるようなね。

で、後から見ると、『STUDIO VOICE』があったことでおもしろいことがいっぱい起きたし、時代の空気感も変わったと思うんですよ。グリーンズも、そういう存在になれたらいいなぁと思う。

そういう意味で、ウェブだけやっていても、ムーブメントには育たないんじゃないかなと思ってて。そこにいる人たちが心でつながるというか、もっと深いディープな根っこのところを大事にするというか。そういうことができて初めてムーブメントになるんじゃないかなと思うんです。実際に会って心から深い対話をしたり、ワークショップみたいなことを通してももちろんつながりはできるけど、本をつくるっていうのもまたひとつの方法なのかなと思います。

だから、グリーンズをより成長させていくために、本っていうメディアをもっともっと使いたい。グリーンズが本を作るとこんなにおもしろいものができるんだって、それがちゃんと残しておきたくなるような、みんなの拠り所になるようなものにしたいなと思う。これからやりたいのはそういうことですね。

(インタビューここまで)

 
「グリーンズのつくりかた」がテーマの『green Books』 vol.2は、まもなく発行!今greenz peopleにお申し込みいただくと、『グリーンズのつくりかた』と今回紹介した『みんなのソーシャルデザイン宣言』も受け取ることができますよ。

あなたもグリーンズと一緒に、ほしい未来をつくる一員になりませんか?

 
(聞き手:宮本裕人)