今年の夏も暑かったですが、温暖化やヒートアイランド現象の影響で都市の気温が高まる今、都市緑化はとても重要なテーマになっています。しかし緑を増やそうにも、肝心の場所がない…そんな課題を解決しようとするのが、今回紹介する「Phyto Kinetic」です。
都市の中で新しい場所を見つけるのが難しいなら、もうすでにあるスペースを使えばいい。そこで思いついたのが、交通機関の屋根でした。
と語るのは、「Phyto Kinetc」を開発したスペイン在住の風景画家、Marc Granen(以下、マルクさん)。彼のアイデアは、バスの屋根で植物を育てるというものでした。
目の付けどころがユニークなだけではありません。夏の暑い日には車内でエアコンが使われますが、そこから排出される水を再利用して、自動的に屋上に水分を送ることもできます。また、屋根に植物があることで、そもそも車内の温度が3度以上も下がることもあり、そもそもの節電にも大きく貢献してくれるのです。
道路を走るバスに搭載するために避けては通れない軽量化や植物の固定方法など、さまざまな技術上の課題もクリアした「Phyto Kinetic」。今年の夏に試作品が完成し、すでに走行テスト済み。スペインでは徐々に注目が高まりつつあり、今後は大都市バルセロナでの実用化を目指して、自動車会社とのスポンサー契約を進めていくとのことです。
開発者のマルクさん
僕たちのゴールは、都市に緑を増やしてCO2削減を進めることだけでなく、交通機関の中に新しい観光名物をつくることです。「Phyto Kineic」が都市に住む人と自然との新しい関係をつなぐものになってほしいですね。
とマルクさん。いつか私たちが住む街でも、多くの緑を載せたバスが走る光景を見られる日が来るかもしれませんね。
あなたの車の上にも植物を!とは簡単にはいきませんが、ちょっとしたアイデアで周りの緑、増やしてみませんか?
(Text:山本悠理)
[via inhabitat]