「商品を購入すると、その売り上げの一部を寄付します」という文言は、スーパーや飲食店などでもよく見かけるようになりました。今回は、商品ごとではなく、お店全体の利益すべてを途上国向けのNPOに寄付するというコンセプトにした”非営利バー”をご紹介します。
場所はオーストラリアの都市、メルボルン。先日オープンした「Shebeen(シェビーン)」というバーでは、エチオピア、ナミビア、南アフリカなど途上国10か国以上25種類のブランドビールを提供するかたわら、利益の全てをNPO団体に寄付するというコンセプトを取り入れているのです!
提供されるカクテルや料理も全て、提携先のNPOを通して支援を受ける途上国のレシピを参考にしたものばかり。Mothers2mothers(エイズ防止)やVision Spring(低価格の眼病治療サービス)、Room-to-Read(途上国の学校・図書館建設)などを7つのNPOと提携し、バーの利益をそれぞれの提携先へ分配しています。
設立者であるSimon Griffiths(サイモン・グリフィスさん)によると売上も堅調で、「バーは思った以上に人気があり、すでに利益も出ている。おかげでよく供給不足に陥っているよ(苦笑)」とのことです。
お店の名前である「Shebeen」は、アパルトヘイトの間、活動家たちがよく集まっていたトタン屋根の掘っ建て小屋のことで、もともと”非合法的のアイルランドのバー”という意味です。グリフィスさんも数年、アフリカでエイズのプロジェクトに携わっており、このバーもShebeenを意識した作りにするなど、要素にアフリカの起源がちりばめられています。
“非営利バー”は、もともと友人と一緒に考えていたアイデア。20歳前後の若者が、自分の好きなこと(=バーに行くこと)をしながら世の中に貢献できるというコンセプトに心を奪わて、これはやろう!って思ったんだ。
とグリフィスさん。最初の1年で20万ドル、3年後には80万ドルを非営利団体に寄付する予定で、そのあとは別の場所にもう1件のバーをオープンしたいと意気込んでいます。
他にも、アメリカのオレゴン州に「Oregon Public House」という非営利のパブがオープンするなど、次第にコンセプトをそのままお店に当てはめる仕組みができ始めています。ここなら好きなお酒をたくさん飲みながら途上国にそのまま寄付ができるので、飲みすぎてもいい気分が続きますね。
「Shebeen」のウェブサイトにも、「Drink to the Future(未来に向かって飲もう)」という文字が。今までになかった大胆なコンセプトが、これからどんな場所に応用されていくのが楽しみです!
(Text:鷲尾直美)
[via Co.Exist]