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世界初の飲み込んでも安心なマウスケア剤で、障がい者の仕事創出に挑戦する「ネオナイシンプロジェクト」

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毎日する歯磨き。うがいの時に間違えて飲み込んでしまったことはありませんか?もしも飲み込んでも大丈夫なマウスケア剤があったら…。

今回紹介するのは、日本から生まれた、世界初の飲みこんでも安心なマウスケア剤と障がい者の仕事創出に挑戦する新しいビジネスモデルです。昨年、九州大学等とバイオベンチャーが開発した、100%天然由来の口腔用抗菌製剤「ネオナイシン」。

虫歯・歯周病原因菌への合成殺菌剤と同等の抗菌効果があるというこの成分をマウスケア剤に用いることで、誤飲の恐れの多い要介護高齢者や重度な心身障害者の方などのニーズに応えようというのです。

虫歯、歯周病は細菌による感染症であり、日本人のうち虫歯を患っている人は全人口の90%、歯周病については70%といわれています。また口腔内細菌の増加は、高齢者を中心に1日に300人もの死亡原因となっている誤嚥性肺炎のリスク要因で大きな問題となっています。(ウェブサイトより)

このような現状に対し、からだに優しい、かつ効果の高いマウスケア剤を目指して、九州大学大学院農学研究院と鹿児島大学大学院医歯学総合研究科、国立長寿医療研究センター口腔疾患研究部との共同研究により、天然由来の口腔用抗菌剤「ネオナイシン」は開発されました。

今回はこのネオナイシンプロジェクトについて、株式会社トライフ代表の手島大輔さんにお話を伺いました。

障がい者とその家族を、自分のできることで支援する

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株式会社トライフ代表の手島大輔さん

手島さんは大学卒業後、商社営業職を経て、コンサルファームでの勤務。ちょうどその時に生まれた子どもに障がいがあることが分かりました。

障がい者の働く場所がないこと、親の死後は十分なサポート体制がないこと不安だらけ、この現状を自ら変えていけないかと考えました。

これが手島さんと「障がい者とその家族を自分のできることで支援すること」の出会いでした。

その後、イデアインターナショナルに転職し、障がい者の仕事創出を目的としたオーガニックコスメブランド「アグロナチュラ」の立上げを行いました。そして、福祉とビジネスの融合を目指し、2006年に独立しました。

その後、障がいのある方々のモノづくりや販売を支援する自立支援ボランティア団体「セルザチャレンジ」を創設。ビジネス、営業やコンサル、広告やデザイン系の家族に障がい者を持つメンバーが中心となり、結婚式で使ったキャンドルを再利用したオシャレなキャンドル製作や、震災後には陸前高田で梅干しをつくる活動してきました。

しかしその活動において、劇的な働く障がい者の仕事や収入の向上や、自身も仕事をしながらのボランティア活動の継続性は難しく、苦悩の日々であったといいます。リーマンショック後は本業の経営が危機となり、冷蔵庫はカラ、ボランティアに行く電車代もなくて自転車で行った時期もあったそう。

しかし障がい児を持つ親としては、学校卒業後の働く場、住む場、そして親の死後のサポート体制など、死ぬまで不安な悩みを解決していかなければならない。そこで、自身の使命でもある障がい者の仕事づくりや支える仕組みづくりを、強い事業と組み合わせて継続的に実現していく「福祉とビジネスの融合」を行う新しい事業を模索していました。

福祉とビジネスの融合をめざして

今回のプロジェクトのきっかけは2年ほど前に、九州大学等とベンチャーを組み、ナイシンの研究に従事していた永利浩平さんから声をかけられたこと。おからにも住んでいる植物性乳酸菌が作る抗菌ペプチド(たんぱく質)で世界50か国以上で安全性が認められている天然由来の食品添加物ナイシンA、そして「梅エキス」を組み合わせた「ネオナイシン」の可能性を感じたこと、そしてこの競争力のある製品事業を通して障がい者の仕事づくりに挑戦してみようとこのプロジェクトを始めたそうです。

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殺菌力に関しては市販のマウスケアと同じくらいですが、万が一飲み込んでしまった場合でも、アミノ酸として消化されるので胃腸への影響はないとのこと。世界一の高齢者国家である日本発のプロダクトとして、今後、世界に向けて、誤飲の恐れの多い高齢者や障害者への活用を期待することができそうです。

体のみに優しいだけではありません。ネオナイシンは植物性乳酸菌や梅エキス、天然由来の食品添加物からなっているので、石油などの限られた化石原料に頼らず製品を作りつづけることが可能です。河川・土壌への排出時も微生物により生分解されるので、生産そして排出とともにに環境への負荷が低いというサステナブルな未来のプロダクトです。

飲み込んでしまっても安心なマウスウォッシュや、うがいのできなくなった要介護老人が飲んでも安心で殺菌効果もあるマウスケア剤、また乳幼児にも使用できる刺激の少ない虫歯予防の歯磨き剤など、様々なニーズに応える「ネオナイシン」配合製品。

そして6月10日には、この「ネオナイシン」を配合した新ブランド「オーラルピース」と新製品2アイテム(「歯磨き&口腔ケアジェル」「マウスリフレッシュ&ウォッシュ」)、また障がい者による原料生産や販売活動という新しいビジネスモデルの記者発表を計画しているとのこと。

原料である大豆やミントの生産、製品の受発注などの業務、富山の薬売り方式での介護老人施設などへの販売などに障がい者の仕事を創出していく計画で、プロジェクトには、九州大学教授をはじめとした研究開発陣だけでなく、慶應義塾大学教授などをはじめとした障がい者の仕事づくりの第一人者がメンバーとして携わっているそう。

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ネオナイシン配合のオーラルケア製品のパッケージデザインも進行中

手島さんがこれまで行ってきた各地の障がい者施設でつくるものの販売支援というボランティア活動に加え、競争力のある製品を通して販売や原料生産で障がい者の仕事を創出していくという事業への挑戦。

外部環境に依存する寄付でも助成金でもなく、自分たちの事業でお金を生み出しながら、CSRでもない新しい形のソーシャルビジネスで未来をつくっていこうとしています。世界市場に日本発の競争力のある製品とユニークな障がい者によるビジネスモデルを展開していく手島さんや「ネオナイシン配合オーラルピース」に見るソーシャルビジネスの挑戦に注目していきたいですね。

(Text:テントセン佐藤慶一