突然ですが、こんなポスターを見かけたらあなたは行きますか?
何かのいたずら?
冗談?
なんか怪しいと警戒するでしょうか。
それとも、ちょっと気になって、様子を見に行きたくなる方もいるかもしれませんね。
このポスターをつくったのはサンフランシスコに住む43歳のCurtis Kimball(以下、カーティスさん)。
コロナ禍で友人たちが他の街へ引っ越してしまい、自分も引っ越そうかとも考えたそうですが、この場所にとどまって人とつながる方法として、こんなお誘いをすることにしたというのです。
誰も来ないかも…… 勇気を出してやってみたら
2016年まで地元で評判のクレームブリュレのフードトラックを運営していたカーティスさん。おいしいものをふるまうのには慣れているからと、土曜の朝にパンケーキをごちそうするアイデアを思いついたのだといいます。
パンケーキなら好きな人が多いし、あまり食べない人でもパンケーキのまわりにいるのは嫌じゃないと思ったんだ。それにパンケーキをふるまったら、いいヤツだって思ってもらえそうでしょ?
材料の準備をしたりポスターを貼りながら、誰も来てくれないんじゃないかと不安でいっぱいだったというカーティスさん。パンケーキのレシピは、4歳と1歳の娘たちに味見を担当してもらいながら、数週間かけて研究。子どもたちに人気だったチョコチップ入りに加え、プレーンとブルーベリーの3種を用意。生クリームやメイプルシロップなどのトッピングも準備しました。
そして迎えた当日の1月22日。
不安を抱えながらパンケーキを焼き始めると、初めに現れたのはご近所さんふたり。とても楽しみにしてくれていたそう。その後も、次々と人々が集まり、75人以上に125枚を超えるパンケーキがふるまわれる大盛況に。子どもや犬もふくむ、幅広い年代の人がポスターを見て、何が起こるのかとおもしろがって来てくれたそうです。
最高の気分だった。顔がほころんで終始笑顔だったよ。たくさんの人が参加してくれた。
ちなみに、パンケーキパーティーの費用はすべてカーティスさんの自腹。その代わりにと、たくさんの人が差し入れを持ってきてくれたそう。
お礼や友情の証にと、手づくりのジャムやはちみつを持ってきてくれる人もいたんだ。
寄付を申し出てくれる人も多く、今後の開催に向けては、クラウドファンディングで1,700ドル以上が集まっています。
4. If you’re hungry to connect, chances are good other people are too. We’re all tired from the last 2 years(6 years really), but there’s something incredibly rejuvenating about experiencing little joys with other humans. pic.twitter.com/GDECzIOals
— the creme brulee cart (rip) (@cremebruleecart) February 3, 2022
好評を受け、カーティスさんはすぐに2回目も開催。2度目は口コミで評判が広がり、なんと300人以上が参加! テレビや新聞の取材も入り、この取り組みは一躍多くの人に知られることになったのだとか。
コロナ禍で新しく人と出会うのが難しくなり、地域の人びととお互いによそよそしさを感じていたというカーティスさん。パンケーキパーティーにより楽しい雰囲気をつくることを、ご近所でつながるためのきっかけにしたかったと話します。
実際、参加した人たちからも、
「孤立していたけれど新しい人に出会うきっかけになった」
「知り合いが近所に住んでいたのを初めて知った」
「外でみんなでパンケーキを食べるって最高だった」
など、たくさんの感謝の声があがっていました。
ところで、カーティスさんの当初の目的だった友だちはできたのでしょうか?
僕は変わり者だから友だちをつくるのに時間がかかるんだ。だけど、近所に顔見知りが増え、声もかけられやすくなり、親しい友人関係のための種まきができたよ。
とのこと! さらに、パーティーのあとに、「僕も妻に友だちをつくれと言われた」と電話番号の書いてあるカードが届いたとか。
小さな取り組みかもしれないけれど、自分の一歩が誰かの背中を押して、また小さな一歩が生まれたらうれしい。いつか、同じ日に各地でパンケーキパーティーをする、”ご近所パンケーキデー“ができたら最高!
それは、たしかに最高! 東京版は、きっとグリーンズチームで?
Inspired by SF’s viral pancake party, we bought a griddle and hung up fliers. The day arrived and I was convinced no one would come.
Happy to report: free pancakes do build community! 🥞 pic.twitter.com/mNDYZQhHGX
— Janelle Bitker (@JanelleBitker) April 10, 2022
カーティスさんの取り組みを受けて、ほかの場所でもパンケーキパーティーが広がっています
友だちがほしいからパンケーキをつくってふるまう。そのシンプルさがとても私の心に響きました。
無駄かもしれない、変だと思われるかもしれないと、やらない理由はいくらでもあるけれど、「笑いものになる覚悟でやってみた」というカーティスさん。まっすぐな想いが伝わって、これからも広がっていきそうです。
みなさんは、無邪気にやってみたいことはありますか?
[via the creme brulee cart Twitter,GOOD NEWS NETWORK,The Washington Post,TODAY.com,kcrw.com,EATER ,]
[Top Photo: via the creme brulee cart Twitter]
(Text: 片岡麻衣子)
(編集: スズキコウタ、greenz challengers community)