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肌寒い春、わたしはトリになる。ポケットのタネを体温で温める「体温栽芽法」

2022年のはじまりは、ラニーニャ現象と呼ばれる厳しい寒さの冬でした。

春になっても三寒四温の通り、青空が連日続くことも少ない日々。もちろんしばらく経てばちゃんと暑くなり始めるはずですが、それでも空模様と気温を見比べながら「どうしよう? いつにしよう?」と悩んでる方はいませんか?

そうです、寒い時に悩ましい、夏野菜のタネまきのことです。

タネの成長は三段階

タネの成長に必要なのは水、適正温度、酸素量。成長が始まるためには、まずはタネ自体が全体的に吸水し、次に根っこが出てきて、最終的には根っこからの給水が可能になる、という3段階があります。

タネには種類ごとに発芽する適温があり、寒いときには何かしらの方法で加温しないと発芽してくれません。本格的に家庭菜園をしている方は栽培用の加温マットを購入したり、ビニールハウスをDIYしたりする方もいるかもしれませんし、そこまでいかなくても家庭用のホットカーペットや発泡スチロール箱などを使う方もいるでしょうか。

しかしそうしたツールを使ったとしても、適正の温度を保ちながらタネが発芽しやすい環境をつくるのは思った以上に骨が折れることもありますよね。できれば家電製品も使わずに済む方法を考えている方もいるかもしれません。そこで、36〜37度前後の自分自身の体温を活かして発芽させる方法を試してみませんか?「体温栽芽(さいが)法」や「ポケット栽芽法」、または、卵を温める鶏に例えた「めんどり栽芽法」と呼ぶ方もいるようです。

ポケットの中で発芽したタネ

1.発芽させたい野菜のタネを選ぶ

夏野菜といえば、トマト、茄子、ピーマン、きゅうり、かぼちゃ等々。かぼちゃの様に大きめのタネはとくにたくさん水が必要なので前の晩から水に浸しておきましょう。また、全てのタネが発芽するとも限らないので、必要な苗数の1.3〜1.5倍ほどを用意します。

ここでは茄子のタネを使います

<そのほか用意するもの>
・キッチンペーパー
・ジップ付きの小さなビニール袋
・油性ペン
・水の入った霧吹き

2. タネを包んで湿らせる

キッチンペーパーを袋に合わせた適当な大きさ(目安は10cm前後四方)に切って折り目をつけたら、油性ペンでタネの種類を書いておくと便利です。キッチンペーパーの上にタネを乗せ、霧吹きで湿らせます。水が多すぎてもタネは発芽しないので、水が垂れるほどは不要ですが、タネ全体が水分に触れているようにして、しっかりとペーパーと密着させます。

3. ジップ袋に入れる

ジップ袋に入れたらそのまま上着の内ポケットや、旅行用のポケットベルトなどを利用して、体温でほんのりと温められる場所にキープ。仕事や家事、遊びに出かけるときや寝るときもタネと一緒に過ごします(お風呂には入れないように)

4. 1日1〜2回は開いて見る

空気が適度に入ることも重要なため、朝夕などに取り出し、ペーパーをていねいに開きます。発芽しているものがあるかどうかも同時にチェック。3〜4日ほどで発芽することが多いですが、環境条件によってまちまちのため、特にタネが腐ったりしていないようであればしばらく丁寧に加温し続けてみましょう。最後に新しい水を霧吹きしてから再び折りたたみ、ポケットへ。

5. 発芽したら土へ移動

根が出たらタネが自力で給水しやすくなる条件が整った合図です。土に移動させて、日中の光があたるところで適切にお水をあげながら育てましょう。まだ肌寒いようならプラスチックのカバーを掛けたり、発泡スチロールを使うのも良いですね。

電気など新たにエネルギーの購入を抑えながら、愛着をもって食べ物を育む。人間が恒温動物でよかった、とか思っちゃうかもしれません。タネから家庭菜園したいのになかなか発芽しない、という経験がある方はぜひ試してみてください。