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政治が遠い存在だと感じる今、何から始めたらいい? #そうだソーヤー海に聞いてみよう!

ハロー、ソーヤー海だよ! この連載『共生革命家日記』では、読者のみんなからの質問やメッセージを募集してるんだけど……気づいてたかな? (ページの一番下のほうに「感想/お便りを送る」という場所があるよ)

質問やメッセージを送ってくれたみんな、どうもありがとう! 今日はそのなかからひとつ、返事をするね。

海さん、いつもありがとうございます! 海さんに聞きたい・一緒に考えてみたいことは、「政治家、例えば菅総理大臣はどんなニーズを持っているか」です。

自分の周りでは「経済を自分たちの手に取り戻そう」という声が聞こえてくるようになって、実際にそういう動きも見るようになったと思います。だけど政治については、日本は民主主義国家なのに、だいぶ自分たちの手から離れたものになってしまっている。もっと政治と共感して、ニーズでつながる方法はないでしょうか? (S.D.)

質問どうもありがとう! 経済を自分たちの手元に取り戻す流れに希望を感じながら、僕たちに影響する「政治」や「民主主義」が遠い存在になっていることへの気がかりを受け取ったよ。どうすれば、もっと政治を身近なものにして、平和な社会を実現することができるのだろうかって質問かな?

まず、「ニーズ」と「共感」という言葉があったので、そこから話してみようか。僕が取り組んでいるNVC(非暴力コミュニケーション)の文脈ではこの二つの言葉はものすごく重要なもので、かなり具体的な定義のもとで使われている。まず「ニーズ」は……

1.ニーズはすべての人類に共通する:私たち全員には共通するニーズがあります。ただ、そのニーズを満たそうとする手段は違うかもしれません。対立は、ニーズではなく手段のレベルで起こります。

2.すべての行為はニーズを満たそうとする試みである:意識するしないにかかわらず、私たちのどんな行為の根底にも、ニーズを満たそうとする欲求があります。私たちが暴力や暴力以外の方法で、自分あるいは相手のニーズを阻止する行為に訴えるのは、ニーズを満たすためのより効果的な手段を見つけられないからです。

http://nvc-japan.net/material/key_assumptions_and_intentions_of_nvc/より一部編集の上転載)

「共感」は、かなりシンプルに定義すると、感情やニーズに寄り添う行為のこと。

「政治家」のような立場の裏には、つねに人間がいるって僕は考える。だから菅総理大臣の場合は、「総理大臣」や「政治家」という役割を演じている人間としてみることを意識するようにしている。そして、たとえ自分は彼の言動に同意ができなくても、彼と共感することはできる(同意と共感は別もの)。自分や相手と共感する練習をしながら、自分の日々の実践として非暴力の意識を育むようにしている。

で、菅さんの場合はこんなニーズが考えられる。例えば、「自分の生活の安定」、「『(職場において)この立場を守らないと』みたいにサバイバルすること」、「自分にとって大切なことを守ること」、「自分が信じるこれからの日本社会や自民党への希望」、「『すごい人になりたい!』という願望」、「自分が属するグループ内の調和」……。

こういうニーズとつながるための僕のオススメは、自分の感情とニーズに寄り添うこと(=自己共感)。そのために、まずは自分の感情を観察してみよう。「政治が離れたものになっている」という感覚の根底には、例えば「自分や周りの人が政治について考えたときに不安やもどかしさ(=感情)がある」って僕は感じたけど、どうかな? 

その次に、自分自身のニーズとつながってみよう。自分にはどんなニーズがあるんだろう? 例えば、「政治とのかかわりを通して信じられる希望や平和(=ニーズ)を心から願っている」、「『自分には変化を起こすパワーがある』という感覚がほしい」、「希望のある社会をつくりたい」、「みんなが大事にされる社会の実現」、「自分やみんなの身の安全」……。

そういうふうに、非暴力・平和活動の最初のステップは、自分の内側としっかりつながること。そうして意識を変えることなんじゃないかな。そしてその次に、どうしたらそのニーズを満たせるかを想像的に考えるんだ。ニーズは限られているけど、それを満たす手段の領域は無限だから。

ちなみに、自分のニーズや思いが満たされない状況っていっぱいあるよね。自分が願っていることと現実の間にギャップがあったり、その結果無力感に陥ったりして、悲しみや絶望を感じることが結構あると思う。残念さや絶望、悲しみ、怒り……そういう感情のもとには嘆きがある。そんなときは、自分や誰かの嘆きを過小評価したり流したりせずに、しっかりと受け止めて寄り添うことがすごく重要なんだ。

そんな感じでお互いのニーズを見つめることで、自分や相手に共感することができる。そうすると、たとえ相手と意見が違っても、いまは「最悪な人間だ」って評価している人とも共感できるし、「敵」がいなくなって、より可能性のある意識の状態に入れる。

このNVCは現実のとらえ方を変える方法だと僕は思う。NVCを体現する人が増えて、集まっていけば、政治も経済も、違う世界がどんどん形になっていく。

ただ、非暴力の世界はとても深くって、構造的な暴力や抑圧を同時に理解する必要があると僕は思っている。この連載では、NVCの観点から考えたソーシャルジャスティス(社会正義)や、非暴力の意識を持ちながら平和活動を行うというガンジーのモデル「ガンジーの氷山」についての記事も、今度紹介するよ。お楽しみに!

あと、NVCのほかにも政治へアプローチする有効な方法がある。国会で繰り広げられる「大きな政治」はものすごく複雑なシステムだし、僕らは限られたメディアの加工された情報しか見られないから、実際に何が起きているかは全然わからない。変わるスピードもすごくゆっくりで、変化を起こそうとしたら長期戦になる。そういうことを意識しながら、少しずつ政治の仕組みを理解していくことは、政治をとらえる重要な方法のひとつだと思う。

もうひとつは、そもそも政治って、政治家だけがやることじゃなくて、僕らが生きること自体が政治だということ。身近な人との接し方や、町内会・自治会の政治のような日々の「小さな政治」は、結果がすぐに見えるし、自分が影響を与えるのはそれほど難しくない。そうやって僕ら自身が一般市民としての政治を実践し、どういう社会をつくりたいかを体現することが、大事なんじゃないかな。

そのほかにも参考になりそうなトピックを挙げてみるね。興味があったらチェックしてみて!

・システム思考(自分や周りだけでなく社会全体・生態系全体に視野を広げて物事をとらえる)
・コミュニティオーガナイズ(市民の力で自分たちの社会を変えていくための方法と考え方)

僕もとても関心がある領域だから、一緒に探求しながら平和な社会づくりの実験をしていこう!

(編集: 岡澤浩太郎)
(写真提供: 東京アーバンパーマカルチャー)
(編集協力: スズキコウタ)

– INFORMATION –

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いかしあうデザインカレッジは、この連載でフィーチャーしているソーヤー海さんとgreenz.jp編集長鈴木菜央が2021年3月にはじめた「”関係性”を通じた地球一個分の暮らしと社会のつくりかた」を学ぶオンラインコミュニティ/学びの場です。不明確さと迷いに満ちた時代で、新しい時代の生き方を模索したい人、自分も家族も地域も地球も豊かになれる暮らし方、仕事の仕方、社会のつくり方を学びたい人はぜひご参加ください!!

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