みなさんは、どんなときにデパートや百貨店に足を運びますか?
最新のファッションを目にしたいとき。
デパ地下で美味しいスイーツを買いたいとき。
全国各地の名産品がならぶ物産展に興味を持ったとき。
いろいろな機会に利用する方が多いはず。
一方で、そんなトレンドを牽引してきたデパートが苦境にあり、日本でも海外でも閉店や倒産が相次いでいます。オンラインショッピングが浸透していったことに加え、新型コロナウイルスの影響も大きいと考えられているそう。
ヒップなものに出会うドキドキとワクワクを与えてくれる特別な場所。これから先の時代と人びとのニーズに合うデパート像とは? そんな問いへのひとつの答えになっている事例を見つけました。
2020年9月、ドイツのベルリン市にオープンしたのは、中古品のみを取り扱うデパート「B‐Wa(h)renhaus」。「保存」と「倉庫」という意味のドイツ語から名付けられたこの店は、有名デパートKarstadt(カールシュタット)内につくられ、「廃棄ゼロ」を掲げるベルリン市が運営をしています。
現在は、7000平方フィート(約196坪)のスペースを使った6カ月のポップアップを開催。成功すれば、市はベルリンの他の地域でさらに4店舗を展開する予定です。さらに2030年までには、ベルリンの12の行政区に少なくとも1店舗ずつ展開することを目指しているのだそう。
扱われているのは、保存状態の良い衣類、家庭用品、家具、家電など。電化製品は専門の技術者によって修理され1年間の保証がついており、購入する側の安心感も保たれています。
他にも店内には、サステナブルなライフスタイルを学べる教育センターがあり、学校の制服をリサイクルするプロジェクトなども行っています。
「B‐Wa(h)renhaus」によると、ベルリンの各家庭には、約250点近くの未使用品があると推定されるそう。そのためベルリン市は、買い物の際に新品だけでなく中古品に目をつけてもらえるよう、リユース需要を大幅に増やしたいと考えています。
この取り組みを始めた、環境および気候保護担当国務長官のStefan Tidow(ステファン・ティドウ)さんはこう話します。
新たに物を購入するときに、それが本当に必要なのかどうかと考えることができれば、貴重な資源を無駄に使わずに済むし、CO2排出量を削減できるほど、あなたのお金の節約にもなります。そんな新しい買い物の常識をつくるためには、リサイクルショップが必要なのです。
物に第二の人生を与えることで、私たちは「廃棄物ゼロ」を目指していきたいと思います。
最新のトレンドを数多く生み出してきた現場、デパート。その場に並べられた個性的なセレクトに直接触れることで、独特の高揚感やアイテムとの出会いを楽しんだ経験がある方も多いでしょう。
そんな場に中古品が置かれることにより、人びとの物を買う意識が変わり、持続可能な社会を実現していくのではないでしょうか。デパートは新しく生産された物だけでなく、中古品でもカルチャーを発信できる。「B‐Wa(h)renhaus」は、そう気づかせてくれます。
[via goodnewsnetwork, YouTube, Fast Company, naagriknews, NICHT OHNE EUCH]
(Text: 塩澤遼子)