新型コロナウィルスによって、キャンパスが閉鎖に。大学生の私にとって、はからずもできた3ヶ月もの春休みは、不安やうれしさを感じたり、手持ち無沙汰でもあり、いろいろな気持ちが入り混じっていた複雑な期間でした。
せっかくだから新しいことをしよう。
いつかいつかと先延ばしにしていたことをしよう。
そう思って、家庭菜園に挑戦したり、読書や映画鑑賞をしましたが、なんだか物足りない日々。
今思えばそれはきっと、「人の役に立っている感覚がなかったから」だったのではないかと思います。誰もが先の見えない不安を抱えて生きている今、「私は、あなたに何ができるだろう?」と考えることが大切なのかもしれません。
そんななか、アメリカのメリーランド州では、正体不明のお母さんによる取り組みが注目を浴びているそうです!
舞台はメリーランドの、Severna Park(セバーナ・パーク)地区。その住宅街にひっそりと、毎日午前11:30になると無料ランチ配給所が現れるのです!
中には紙袋におさめられたハムのサンドイッチ、果物(オレンジやりんご)、スナック菓子など。アメリカ人が学校などに持っていく「サックランチ」、いわば軽食の定番といえましょう。
ランチ配給所には、こう書かれています。
お腹が空いてお困りのあなたに。このテーブルにいくつかのサックランチを置いておくので、自由に持っていってください。中には健康的な食事が入っていますよ。清潔で衛生面にも気をつけたキッチンで、この近所に住むママが心を込めてつくりました。
「近所に住むママ」というだけ、匿名によるこの活動。受け取った地域の人々からは感謝の声があがり、SNSで活動を知った世界中の人々も絶賛している様子。
このまちで子育てをしているKimberly Gussowさんは、「善意の気持ちを受け取る幸せを感じるだけでなく、教育にもいい機会だ」と話します。
7歳の息子のためにひとつもらいました。この取り組みに出会って、自分がこのまちに住んでいることを誇らしく感じるようになりました。そして、自分の子どもに、この世界にはこのような素敵なことがあるんだよ、そして自分たちだけでなく、誰かのためにいいことをするのが大事なんだと教える機会になります。
さすがにメリーランド州のように、昼食が置いてあるのは見たことがありませんが、実は日本でもまちを歩いていると、時たま「ご自由にお持ちください」と雑貨などが置かれている光景を目にすることがあります。
実際、住宅街に設置した箱に、缶詰などの腐りにくい食品や日用品を地域の人が善意で補充し、必要な人がいつでも持ち帰られるようになっている「Little Free Pantry」や、郵便箱を本棚に改造して20〜30冊程度の本や雑誌を並べて地域の人々に貸し出す「Little Free Library」などがあります。ご存じの方もいるのではないでしょうか?
What can I do for you?
英語圏のまちに訪れて、店やレストランに入ると「What can I do for you?」とカジュアルに尋ねられることがよくあるそうです。直訳すると「あなたのために私は何ができますか?」。とっても素敵な言葉です。
誰かのために、なにか。「ちゃんと人の役に立つ」ことって、難しいんじゃないかと思ってしまいがちです。
前を歩いている人が物を落としたときに、声をかけてあげる。
時間に余裕があるから、家族にお茶を入れてあげる。
お店で働いている方に、「お疲れさまです」と声をかける。
こんな小さなことでも役に立てます。そして、きっと相手は「ありがとう」と感謝してくれるでしょう。
「あなたのためにできること」って、案外簡単に見つかるのかもしれませんね。
– NEXT ACTION –
[via goodnewsnetwork, baltimore.cbslocal.com]
(Text: 小澤萌子)
(画像提供: 鈴木菜央)