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地域に馴染み、ともに町を育てていく。約300社が入居する老舗シェアオフィス「ちよプラ」に、新たな風を吹き込む仕事 #求人あり

グリーンズ求人での募集期間は終了しました。募集状況はちよだプラットフォームスクウェアにお問い合わせください。

今でこそ「シェアオフィス」や「コワーキング」という場が珍しいものではなくなりましたが、実はほんの十数年前までは、その概念自体が新しいものでした。

2004年、地域と行政とともに立ち上がったシェアオフィスの先駆け的存在が、「ちよだプラットフォームスクウェア」、通称「ちよプラ」です。アーリーアダプターならではの苦労も知恵と工夫で乗り越えて、設立から15年目となる現在も多方面に事業を展開し、たくさんのビジネスシーンを支えています。

ちよプラの特色のひとつは「コンシェルジュ」と呼ばれるスタッフの存在。利用者同士や、利用者と地域などをつなぐ大切な役割です。仕事の内容的にも、そして受付が定位置であることにおいても、ちよプラの”顔”的な存在であるコンシェルジュを、この度グリーンズ求人で募集することになりました。

それでは早速、ちよプラがどんな場で、コンシェルジュとはどんなお仕事なのか、さらに、ちよプラがグリーンズと協働する展望についてご紹介しましょう。

地域に溶け込む「非営利型株式会社」

竹橋駅から歩いて3分ほどのところにある「ちよだプラットフォームスクウェア(以下、ちよプラ)」は、本館と呼ばれる5階建てのオフィスビルと、飲食店を含む6箇所のアネックス(別館)を運営しています。さらに会議室の貸し出し、レンタサイクル、カーシェアリング、地域創生事業と幅広い事業を展開。安定したユーザー満足度を保ち、入居者数も約300社にも及びます。

2004年の設立当初、何よりも先に地域に馴染むことに懸命に向き合い、信頼関係を構築したという経営方法は、「非営利型株式会社」というユニークな姿勢で表明されました。NPOではなく、あくまで出資も募る株式会社でありながらも、経営方針としての非営利をうたう。その心は、本来の意味での地域貢献でした。

ちよプラがあるのは、伝統があり、既存の文化が活きている江戸っ子の町、神田錦町。カルチャーに溶け込み、相手の懐に飛び込まない限りは信頼されないと踏んだちよプラ創設チームは、積極的に地域と関わり合いを持ちました。地元の祭りに貢献し、場所や人材を提供、祭りの際にはウッドデッキを神酒所として開放しています。徐々に関係性が濃くなってきた頃には、空き物件の活用をはじめとした具体的な相談が寄せられはじめました。

気づけば、設立から2年目には別館としてANNEX01が誕生、さらにANNEX02の誕生もその翌年以降に続き、総会には周辺住民の方も参加するようになりました。社会課題として耳にする「地域の雇用の増やし方」や「若い世代が定着すること」といった悩みごとにも真剣に向き合い、地域に根ざしたベンチャーとして確固たる存在に成長します。現在のちよプラも、スタートアップ時から積み重ねた信頼の上にあるようです。

ANNEX0 錦町ブンカイサンには食堂「風土はfoodから」と「農耕型インキュベーション」拠点がある。

ANNEX02 ちよだいちばの外観。

都会だけど人情味がある、神田錦町というエリア

現在の取り組みについてお話をお伺いしたのは、greenz.jpでも以前ご紹介したハバタク株式会社代表の丑田俊輔(うしだ・しゅんすけ)さんと、ちよプラでコンシェルジュメンバーをリードする、同社コミュニティオーガナイザー 北川千華さんのおふたり。

丑田さんは、ちよプラ本館にハバタク社のオフィスを構えるだけでなく、別館のひとつである「錦町ブンカイサン」の運営も行い、さらには現在ちよプラを経営するプラットフォームサービス株式会社の取締役でもあります。

おふたりはどのようなご縁でちよプラと出合ったのでしょうか。

丑田さん 学生時代、インターン先で声をかけてもらったことをきっかけに、ちよプラの創設期から参加していました。大学時代のほとんどをここで過ごしてから別の会社に就職しましたが、ハバタクとして独立する際、入居者として戻ってきたんです。

ちよプラを経営するプラットフォームサービス株式会社の取締役を務める丑田俊輔さん。

丑田さんは、不動産ディベロッパーと行政とで連携するプロジェクトにも参画するなど、ちよプラとの関係は長くも深くもあるおひとり。現在は秋田県五城目町と東京の2拠点生活をされていることもあり、ちよプラのことを「都会にある、いい感じの田舎」だと感じるそうです。「渋谷に行くと緊張するけど、ここに来るとホッとする」と笑って教えてくれました。

丑田さん この町はお祭りが大切にされていたり、町内会がしっかり存在しているなど、神田ならではの人情味があるんです。かつてあった東京大学や学習院大学などのアカデミックさも町の歴史とうまく作用していて、人が育つ時間を長く見守ってくれるような気がします。この町に育ててもらっている、という感覚です。

2017年 5月の神田祭り。ちよプラのウッドデッキは神酒所となり、地元の方や仕事帰りのビジネスパーソンたちも加わり大いに活気づきます。

現在アルバイトを中心にした十数名のコンシェルジュを取りまとめるのは3人の社員さんたち。その中でも多岐に渡って事業に関わる北川さんも、丑田さんの言葉に大きく賛同していました。

北川さん このエリアの方々は、一度心を開いてくれると同じ共同体のメンバーとして接してくれて、助け合いが当たり前という優しさがあるんです。ちよプラはビジネスのコミュニティではあるものの、単純にサービスの提供者と受益者というだけの関係ではなく、利用者のみなさんと一緒にここを運営しているような感覚もあります。

コンシェルジュの北川千華さん。妹さんと弟さんもちよプラでアルバイトをしていたことがあるとか。

北川さんも丑田さんと同様に、学生時代からちよプラで受付のアルバイトをしていました。卒業後に広告代理店に就職した後、転職先としてちよプラに戻ってきた北川さん。当時は妹さんがアルバイトしていたこともあり、北川さんのことも「前にアルバイトしてくれていた子だよね」と受け入れてもらえたそう。

仲間の成長を見守り、状況にあわせて変化した関係性を柔軟に受け入れる。これもまた、この町の懐の大きさのひとつかもしれません。

北川さん 利用者や入居者にはいろんな方がいますが、あたたかい地域性に引き寄せられたという人も多いですし、NPOやソーシャルビジネスをしている中小企業が多いのも同じ理由かもしれませんね。定年後の起業など、第二のキャリアをここではじめられる人も多く、身近にいるビジネスマンの先輩方からは学べることがたくさんあります。

8割は地味仕事? ちよプラの未来をつくる担い手、コンシェルジュ

今回はコンシェルジュの求人ですが、具体的に「ちよプラのコンシェルジュ」とはどんな役割なのでしょうか。

北川さん メインは不動産事業の業務です。入居者さんの受付や、会議室利用者の案内といった接客業務、入居時の契約書などの事務仕事、お問合せなど電話の応対、設備管理や電球の取り替えといった雑務まで対応します。わりと地味な仕事が多いのは確かですね(笑)

ここまでお話をお伺いしてきて、ちよプラがたくさんの人のハブ的存在であること、つまり関わる人がたくさんいるということをイメージしていたので、”地味な仕事”が多いことには少し驚きましたが、どうやらここが、ちよプラがちよプラたる基盤のようです。

受付の裏にある事務所が仕事場になっています。

北川さん ちよプラに関わる人たちは、人情味があり江戸っ子のアツさも確かにありますが、みんなその前に地に足をつけたビジネスパーソンの集まりです。確固とした自分の商いがあるからこそ他者にも優しい人たち。それはちよプラ自体も同じで、不動産業がしっかりとベースにあるからこそ他の事業にも横展開ができています。

それぞれの個が独立しながらも連携している。そんなちよプラの運営を支える事業の影に、コンシェルジュの存在がありました。

北川さん 正直言って、社外の関係者はとても多いです。入居してくださっている会社さまだけでも300社以上、ほかに外部の利用者さま、不動産のディベロッパー、別館のビルオーナーさま、運営側の財団や千代田区の行政など、全員の顔とお名前を一致させるには時間が必要だと思います。

フリーアドレス制の「オープンネスト」(シェアオフィス)の様子。

例えば北川さんの場合、コンシェルジュとして受付にいることもあれば、不在にされていることが多い取締役の代理としてお問合せを預かることもあるし、はたまた地域創生事業の一環としてマルシェの運営を調整したり、またあるときはインターンシップの学生たちを受け入れたりと、ちよプラの多事業において屋台骨となっています。

しかしここで大切なのは、一見異なる事業だと感じても、根っこにある思いや目的、未来に向けたビジョンはいつも同じ方向を向いている、ということ。だからこそ、多事業をつなぐ存在が欠かせないようです。

北川さん 普段、8割は地味な仕事ですが(笑)、あとの2割は、入居者同士の交流を図るBBQや忘年会、2年に一度の神田祭など、イベントに関わることが多く、毎回とっても達成感があります。ちよプラに関わってくれる人たちがみんな本当にいい人たちで、誰ひとりとして「自分さえよければいい」なんて考える人がいないんです。周りの方々に恵まれているからこそ、今まで続けてくることができました。

丑田さん ここに来るとぼくが普段暮らしている秋田の田舎と共通していることが多いんですよね。東京なのに村みたいというか(笑)

関係者も、特定の世代や業界に限られてないし、多様性が激しくてひとつのカテゴリーにはくくれません。でも同じ場所にいていいと感じさせてくれる寛容度の高さもある。それが動的な協調性を強めていて、多層性というちよプラの強みをつくり出していると思います。

来館者を対応する、コンシェルジュの手島さん。

歴史があり、文化ができあがった町と聞くと、少し保守的なイメージを感じる方もいるかもしれませんが、北川さんは「その中でも変化は必要」だと言います。

北川さん 生き残るためにはやはり変化は大切だと思うので、言いたいことやおかしいなと感じたことは必ず伝えています。ただ、突然驚かせるような伝え方はせずに、周囲の適した人に事前に相談したり、身近な賛同者を得てから伝えるといったように注意はしていますね。きちんと伝えれば、こちらの本気も理解されやすいし、一度賛同してくれると、今度は大きく応援してくれるアツさがあるんです。

保守的であっても自由度はあるし、時間をかけてでも本当に変えるべきことは実行できる、そんな環境です。

コンシェルジュとしての事務的な業務を一通り覚えるには「半年くらいで十分だと思います」と話す北川さん。事務仕事をマスターした後は、その人それぞれの適性に合わせた内容で、ちよプラの未来のビジョンを一緒に実行してくれる人を求めている、と話してくれました。

ちよプラコンシェルジュの皆さん。

ちよプラ × グリーンズ的いかしあうつながり

今回の取材はちよプラの屋上庭園で行われ、日頃から「畑のあるオフィスがいい!」 と話すgreenz.jp編集長の鈴木菜央と、「いつか村に移住したい!」 と考えるチーフコミュニティオフィサーの植原正太郎も参加。

というのも実は、この5月からNPOグリーンズもちよプラにオフィスを移転することになりました! 新たにコンシェルジュになる方は将来、グリーンズとも一緒に新しい試みを行うことになるかもしれないという期待も含め、ちよプラとグリーンズ、両者のケミストリーは何か楽しいことが始まる予感に満ちた対談が進みました。

greenz.jpの鈴木菜央(左)と植原正太郎(右)も加わり座談会をおこないました。

鈴木菜央(以下、鈴木) いまグリーンズでは、「いかしあうつながり」こそが未来の基盤になると思っています。なぜなら自治体も企業も個人も、みんなそれぞれがすごくがんばっているのに地球環境は一向に改善されなくて、それはがんばる者同士がいかしあえてないから。足りないことは、関係性のデザインなんじゃないかと仮説しています。

北川さん ちよプラでもまさに、関係性をどうデザインするかという課題を抱えています。今のちよプラは、関係者の思いがうまく作用して自然発生したコミュニティが回っているものの、そこに仕組みはないんです。たとえば、関わりたいけど関わり方がわからないという人や、新しく来てくれた人も参加しやすい、そんなコミュニティをデザインしたいですね。

鈴木 人間はコミュニティ、つまり関わりあいの中でしか生きられないと思うんです。そこにはいろんな関係性があって、誰かとの対人関係だけではなく、自分自身との関係性や、自然との関係性もある。そもそもぼくらは自然そのものなので、自然とどう関わることがみんなの幸せにつながるのかを追求したいと考えています。

ちよプラに入居後はこの屋上庭園で「パーマカルチャーを実践したい」

北川さん この屋上庭園もそうですが、私たち運営側のリソースだけではどうにもできず、入居されていた屋上庭園専門の会社さんに相談して依頼したのが始まりでした。以来、夏のBBQ大会は入居者のみなさんに協力してもらいながらやっていたり、入居者が集まって意見を交換するタウンミーティングや年末の忘年会も開催しています。

社員が1〜2名という規模の入居者さんの場合、なかなか異業種と忘年会をする機会も少ないと聞くのですが、一年のうち数回でも顔を合わせることでご縁が広がることもあります。こういうことがあると、アイデアを持っている人たちはたくさんいるので、お互いが補完し合いやすくなるのは大切だな、と思いますね。

丑田さん リアルな庭園の土から、概念的な土壌を考えるっていいですね。ちよプラは神田錦町の助け合いカルチャーが強い一方で、それぞれが独立独歩の快適さもある。年齢も業種もバラバラな、いい意味でのカオス状態ですが、土壌が整えったらさらにお互いがのびのびと成長し合えていいですよね。

植原正太郎(以下、植原) グリーンズはまちづくりや地域の社会性をテーマにしているのに、いま事務所のある原宿エリアと強い関係性を築くことまでは手が回らずにいました。なので、今度はこの地域に溶け込むことができたら、またグリーンズとしての成長にもなる気がするんです。

コミュニティ運営に取り組む植原は、このオフィスや地域のなかでのコミュニティづくりを試みたいようです。

鈴木 社会のあらゆる場所で、いろんな分野がいかしあっていかなければ、経済と自然の関係性はうまくいかないよね。関係性をいかす研究もしたいし、関係性をデザインできる人も増やしたい。それが新たなグリーンズとしてのミッションにも感じています。

植原 この屋上でするイベントはまさにそうですよね。僕ら自身も学ぶし、学ぶ場も開きたい。ちよプラにはもう15年の歴史があるので、そこにグリーンズが移転して溶け込み、新しいチャレンジができたるのは楽しみです。

北川さん 新しいことができるのは嬉しいですね。それもグリーンズさんのお力添えがもらえたら、わたし自身も楽しみだし、ちよプラにとっても新しい刺激になります。

丑田さん そのとき大切なのは対話ですよね。地域のことはもちろん考えているけど、自分のやりたいことをおろそかにしないで、むしろ自分たちがしたいことを大事に提案する対話。楽しいことを提案しあえたら、いかしあうつながりは強くなりそうだし。

北川さん そうですね。伝統を守ることは大切だけど、ずっととどまり続けることだとは思わないので、適度に新しい変化がほしいです。

(対談ここまで)

取材中に拝見したコンシェルジュスタッフのみなさんは、人々が行き交う受付でてきぱきと働き、入居者の方々には安心と信頼、訪問者には明確な説明で対応をされていました。また、休憩中の利用者さんがいれば「こんにちは」という挨拶とともに、さりげなく「最近どうですか?」とちょっとした声掛けを自然にされているのも印象的でした。

“都会の中にある田舎”は、ユーザーだけでなく、従業員のみなさんにもこの場に来る楽しさを与えてくれるのかもしれません。

コンシェルジュ業務だけにとどまらず、自分と周りをいかしあう模索ができる。ちよプラのコンシェルジュは、挑戦する人次第で輝きかたも変化する可能性を秘めています。

(写真: 秋山まどか)
(Text: 柳澤円)

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