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プロジェクトをつくっても、人が育ち、つながらなきゃ続かない。グリーンズと秋田県とハバタクが開校する「秋田・ソーシャルデザインの学校」とは?

この9月から、グリーンズは秋田県とハバタクと一緒に「秋田・ソーシャルデザインの学校」を開校します。この学校は、地域づくりのリーダーを増やしていくことを目的に、ソーシャルデザインの最新の事例やノウハウをお伝えするとともに、秋田県内の横のつながりや他地域とのネットワークをつくっていこうというものです。

グリーンズは2012年ころから「ソーシャルデザイン」という言葉を使って、社会や地域の課題をデザイン的な思考や経営的な発想を取り入れることで解決し、同時に暮らしの一部として実践していきましょうということを発信してきました。

共同で運営をするハバタクはドチャベンという形でそのソーシャルデザインを実践しているわけですが、ビジネスにするところまで行かないNPOでも、コミュニティサークルでも、パパママ会でも、ソーシャルデザインを実践している人たちはいて、今回の学校では、そういう人たちが継続して活動していけるような仕組み化や収益化も応援していきたいと考えています。

今回は、この学校を企画した秋田県庁の坂本雅和さん、五城目在住で受講生候補の佐沢由佳子さん、名誉校長(見習い)に就任した秋田県出身で元greenz.jp編集長の兼松佳宏さんに集まってもらって、坂本さんの目論見や佐沢さんの悩みや兼松さんの計画について話してもらいました。

話を聞いていると、少子高齢化・人口減少の先進地である秋田で起きていることは、日本中のどこの地域でもこれから起きることであり、その解決においても秋田は先進地になりうるということを感じました。今回の学校に興味がある方もない方も、秋田に関わりのある方もない方も、地域とソーシャルデザインについて考えるきっかけにしてもらえると思います。

右)坂本雅和さん
秋田県あきた未来創造部地域の元気創造課課長、今回の学校を開く側代表。
中)佐沢由佳子さん
五城目朝市わくわく盛り上げ隊の中心メンバー。地域の活動者代表、受講生候補。
左)兼松佳宏さん
勉強家、京都精華大学人文学部特任講師。秋田県出身。「秋田・ソーシャルデザインの学校」名誉校長(見習い)。第1回目の講師。

ソーシャルデザインって何?

まず最初に、今回の学校の名前にも入っている「ソーシャルデザイン」が今どのような意味を持っているのか、兼松さんに聞きました。

兼松さん 「ソーシャルデザイン」に近い言葉でいうと、「社会運動」とか「市民運動」などがあり、それなりに歴史があって研究対象としても興味深いのですが、どこか固さというか、色が付いてしまっているようにも思っていました。

例えば「これは良くないから変えるぞ」という怒りから動き出すのも力を生み出しますが、変える側/変えられる側という溝はますます深くなってしまうかもしれない。それよりは、どの立場であっても共感できるような「ほしい未来」を掲げて、何かを”変える”というよりもともに未来を”つくる”、そういう方向にシフトしていきたいという思いがあって、これまでとは違う言葉を使いたかったんです。

今ではgreenz.jpに掲載されている記事のほとんどが日本国内の事例ですが、実は2008年の金融危機以前は、ほぼ海外の事例ばかりでした。そこから段々と企業をやめてNPOに転職するとか、都会を離れて地方に移住するといった人が出始めて、2011年の東日本大震災を機に一気にその動きが加速していった。

2018年の今では、移住を専門とした雑誌が創刊されるくらい当たり前のものになりましたが、そうした時代の気分の変化に「ソーシャルデザイン」というふわっとした言葉がフィットしたのではないかなと思っています。

変化が顕著なのは大学などの教育機関で、デザイン系の大学だけでなくさまざまな大学でソーシャルデザインを冠した学科や授業がここ数年で本当に増えています。それはきっと一時の流行りを超えて定着に向かっていくフェーズだと思っているので、このタイミングで改めて「ソーシャルデザイン」と向き合うことは、とても意味があると思っています。

できる人とできない人

そんなソーシャルデザインを秋田に定着させるために開かれる今回の学校、まずお三方が何をしてきて、この学校に対してどんな思いを抱いているのか聞きました。

坂本さん 「あきた未来創造部」は昨年できたんですが、全国で初めての人口減少対策に特化した部局です。子育て支援や移住・定住対策などをメインに取り組んでいるのですが、もう一つの柱として、人口減少下にあっても地域コミュニティが維持活性化できる地域づくりにも取り組んでいて、それを受け持つセクションが「地域の元気創造課」です。

人口減少下でも元気を出していかないと楽しくない、面白くないのは当然なので、それをどうやってつくっていけばいいのかを考えています。その理想を追求していくと「多世代で交われるもの」が出てくるのですが、既存の自治会活動などでは高齢者ばかりで若者は参加しないケースが多い。ではどうやって地域づくりを進めていけばいいのかということを考えて、県内各地に地域づくりリーダーというものを養成しようという発想になったんです。

兼松さん 僕は京都精華大学人文学部でソーシャルデザインを学生に教えて3年目なのですが、やっと今年に入って手応えを感じられるようになってきました。何に戸惑っていたかというと、ソーシャルデザインに興味がない、いってみれば授業として“やらされている”学生たちの内発的なモチベーションを引き出すことに苦労していたんです。

僕が慣れていたグリーンズが開くイベントでは、いきなり「自分の好きなことについて、隣の人と話をしてみてください」というと、心をオープンにしてくれる人がほとんどだったんですが、それは当たり前ではないんだなという、当然のことに気付かされたというか。

それで学生の話に耳を傾けてみると、「かつていじめられていた」とか「引きこもっていた」という人たちがそれなりにいるんですね。それで「馬鹿にされるんじゃないか」って、誰かと「好きなこと」を共有することを怖がっているんです。

その経験から、いきなり「ソーシャルデザインをしよう」と呼びかけるよりも、ここは安心の場だからもっと心を開いていいよ、そうすればいろんな可能性に気付いて楽しいよ、ということをしぶとく伝えるだけでなく、とにかく体験してもらうことを大切にするようになりました。例えばペアを組んで3時間好きな場所で、質問シートに沿って話をしてくる、みたいな授業なのですが、それはもしかしたら“癒やし”に近いのかもしれません。

そうした自分自身と向き合うプロセスやセルフマネジメントは、実はソーシャルデザインの担い手たちにも必要で、何かプロジェクトを始めた人たちが5年くらいたって壁にぶつかってしまったり、燃え尽き症候群になってしまったりするのも2018年の現実だと思います。そのあたりの問題意識をもとに、いま『空海とソーシャルデザイン』という本を書いています。

佐沢さん 私は学生のときに一度出た以外は、ずっと五城目に住んでいます。今はガスの配達やコメの集荷といった実家の仕事を手伝っているんですが、そうすると町が明らかに衰退していっているのがわかるんです。田んぼを辞める人も多いし、お年寄りは施設に入っていなくなってしまうし。

でも、私は子どもが3人いるので、2040年に人口が半減するとか消滅可能性都市だとか言われると冗談じゃないって怒りを覚えるんです。2040年なんて、子どもたちはまだ盛りの時期なのに諦めろと言われているみたいで。

それなのに、町の人たちは行政がなんとかしてくれるとか、なんとかしたらいいって文句ばかり言って動こうとしない人が多かったんです。

2014年に地域おこし協力隊の人たちが来たときに、同世代だったので「私の怒りを聞いてくれるだろう」「わかってくれるだろう」っていろいろ話を聞いてもらったり。そして、そんななか始まった「ごじょうめ朝市大学」で講座やワークショップに参加したりして、1年くらい経ったときに自分が一番気になるところはなにか考えたらやっぱり朝市だったんです。

佐沢さん 五城目の朝市は520年続く伝統的な朝市で、今でも末尾が0、2、5、7の日に開催している生活市なんです。でも今はお年寄りが中心で衰退してきているんです。それもあって、朝市大学でも日曜日に若者の朝市をやりたいって話をしていました。そんな中、役場主導で朝市のない第1第3日曜日に臨時朝市が開催されることになったので、朝市が盛り返すきっかけになればいいなと「五城目朝市わくわく盛り上げ隊」をつくりました。

臨時朝市は翌年には、生活市が日曜日にある日に臨時朝市をのっけた「ごじょうめ朝市plus+(プラス)」に変わりました。これは生活市があってこその「五城目朝市」だという思いがあるので、伝統の朝市にワクワクするものとか新しいものを「プラス」するという発想です。生活市に若者たちの朝市を乗せることで、若者や子どもたちは生活市の季節ものや山菜に触れて学ぶことができるし、お年寄りと若い人の交流の場にもなる可能性があると思っています。

わくわく盛り上げ隊は、町と朝市と協力しながら、若者や子育て世代向けにSNSで朝市の宣伝をしたり、開催レポートなどの情報発信をしています。朝市プラスは今、3年目に入ったところで、平均出店数が70店舗、平均来場者数が3000人を数えるようになりました。

3人の問題意識で共通しているのは、お年寄りと若者やできる人とできない人のように立場の異なる人たちの間が断絶してしまっていることのように思いました。その断絶が様々な問題を生んでいて、それを解決するのがソーシャルデザインだ、あるいはそうあってほしいと考えているのだと思います。

佐沢さんの悩み

今回の学校の参加者候補として対談に参加してもらった佐沢さんは、説明してもらったように「ごじょうめ朝市plus+」の実践者として3年ほど活動してきました。その佐沢さんは今どんなことに悩み、どんな壁にぶつかっているのでしょうか。

佐沢さん 「頑張って変化させていこう」とか「みんなで人口減のような課題について考えていこう」とか思ってやっていたんですが、3年過ぎて、自分にも家族がいて人の分まで頑張りすぎると自分を潰していくという感覚があって、自分の領域でできることをやっていきたいと思うようになりました。

家族にも、誰のために何のためにやってるのか、自分にどんなメリットがあるのかって言われて、考えてみると説明しきれないんですよね。自分としてはこのまま続けてもいいんだけど、苦しい部分もあって、気持ちがダウンしてきているというのはあります。

「わくわく盛り上げ隊」は、仲間とともにやってきましたが、中心で支えてきたのは私も含め4人で、そのそれぞれが夢を叶えてカフェを始めたり、起業したり、家族が増えたり生活スタイルに変化がありました。それでなかなか時間が取れなくなってしまい、それでもなるべく継続させたいからやってはいるんですけど、私自身子どもの部活などで自分の生活にも制限があって結構辛いんです。

私たちの活動になにか対価を得られる方法があればもっと力を入れてやれるって話し合いをしたんですけど、なかなかうまく行かなくて。

朝市プラスのフライヤー

兼松さん 僕がgreenz.jp編集長を辞めたあとも名誉校長(見習い)というまったく予想していなかった形でグリーンズと関わることができたように、辞めることが次の展開を生むこともあると思うんですとね。そのときやるべきことを一巡りして終わったような感じがしたら、潔くやめてもいいはずなのに、なかなか周りが期待をしてくれているので言い出せなかったり。でも、そこにい続けてしまうと、次の人の出番はないままということでもある。

僕がよく考えるのは「“続く”って、何なんだろう」ということです。やっていること、つまりdoingが止まったとしても、あり方としてbeingの部分で続くことってあるはずで、佐沢さんでいうと、「地域のために役に立ちたい」というbeingが満たされるのであれば、無理して朝市プラスを続けるよりも、休むことのほうが続くといえるのかもしれない。もちろん無責任にはいえませんが、止まることで見えてくる景色もあるのかなって。

坂本さん 秋田の事例を見ると多くケースが補助金頼みというか、行政としての支援が終わったあとも活動を続けてくれれば嬉しいんだけど、なかなかそうは行かないところがあります。ずっと助成し続けるのも難しいので、クラウドファンディングなどを活用しながら続けてほしいんですが、そういうのがまだまだ根付いていなくて、そこはいつも葛藤しているところではあります。

でも、地域活動を続けることは大事で、若い人たちが面白く、楽しく、かっこよく行動しているのはいいなと思ってますし、それを続けていくためには何が重要で何が必要なのかというのは考えていきたいですね。

続けていくための気持ちと環境、それがいま佐沢さんが必要としていることのようです。その中でも特に必要なのは、家族の理解なのもしれません。

佐沢さん 家族に対しては、役目として与えられた立ち位置のようなものがあれば説明しやすいと思うんです。それでNPOにしようと考えたこともあったんですが、決算とかをやるのに労力が必要になるなら、そこで気持ちが削がれていく気もして。だったら任意団体でいいのかなと思ってやめました。でもそうすると説明できないんです。

兼松さん 身近な人がもう少し理解してくれたり応援してくれるなら、もしかしたらお金とか関係なく続けられるかもしれないということ?

佐沢さん そうだと思います。

お金の問題は、お金のためってなっちゃうのも嫌なので、外側から価値を決めてくれる人がいるといいなと思います。今やっている、文章を書いたり写真を整理したりということも、お金もらったほうがいいというひともいますけど、自分ではどのくらいの価値があるかわからないし。

兼松さん 自分では自分の価値ってよくわからないですよね。そういうとき学びの場の先生側になってみると、必然的に自分のことを棚卸ししなくてはいけないのでおすすめです。朝市クラスみたいに、次世代を育てる先生になるのとかいかがですか?

佐沢さん 先生というのももしかしたらそうかもしれないですけど、私は自分を”つなぎ役”だと思っているんです。

子どもたちが地域に興味をもってくれるように朝市が賑わう場所であり続けるためのつなぎ役。今までも五城目の名物は朝市だといわれてきましたけど、そもそも親が行かないから、子どもにとっては学校で言わされてるだけで実際に行ったことがない子も多かったんです。

それが「朝市プラス」をやったことで中心街が盛り上がって人が来てるらしいよって噂になり始めて、外の人が認めることで地元の人も来るようになってきていて、私の気持ちは停滞してきてる気はするけど動きとしては加速してきてる気がするので、続ければいいのかなって。

兼松さん なるほど、つなぎ役というbeingでありつづければハッピーなんですね。

佐沢さん はい。だからここから何かをしかけるというよりは、つなぎ役として今あるものを利用してくれる人を増やしたいという気持ちで、それがどうしたらできるのかを学びたいと思っています今は。

それが地域づくりにつながる

ここまで佐沢さんの個人的な悩みを聞いてきたわけですが、ソーシャルデザインの実践者である佐沢さんの悩みを解決することは、実は社会や地域の問題を解決することにつながります。

坂本さん 話を聞いていると、そうやって朝市という資源をつないでいくことで、子どもたちがそれを体験できると、五城目に愛着が湧いたり、誇りを持てたりすると思うんです。そうやって、盛り上がっている場所で育った子どもたちって、進学で東京なんかに行ったとしてもいつかは戻ってくると思うんですね。それが結果的に人口減少対策にもつながる。

佐沢さん 私は人口減少対策って言うのをやめてほしいんです。人口減少とかストップ少子化とか、若者はそういう言葉にがんじがらめになって未来を消されていってる感じがしてしまう。先が暗いよっていわれると、若い人も子どもたちもどんどん離れていっちゃうんじゃないかって思うんです。

兼松さん 地域づくりの最先端として海士町が有名ですけど、それだけ大きなうねりになったのは、町にある唯一の高校が廃校になるかもしれない、という現実的な危機感だったといいますよね。不安を飛び越えて「やるしかない」くらいの方が、本当は動きやすいのかもしれない。

佐沢さん 会社と家と学校の間を行き来するだけだと、まちに人がどれくらいいないかとか全然わからないし、イオンとかに買い物に行ってるとお店がどれくらいなくなってるかとかもわからない。普段の生活市にいくと本当に衰退してるのがわかるんです。私はそれでなんとかしなきゃと思うけど、ほとんどの人はそうじゃないんだと思います。

坂本さん 県内の25市町村を回って、困りごとを聞いて歩いているのですが、そうするとおっしゃるように今のところなんとかなってるから大丈夫ですっていうんですね。「それで10年先大丈夫ですかね?」っていうと、その時はその時ですっていうんですよ。そういう意味ではそこまでの危機感はないのかもしれないですね。

兼松さん 究極のことを言うと、「その時はその時」だと思うんです。とはいえ重要なのは、どんなトーンでその言葉を口にするのか、ですよね。いつか本当の危機が訪れたときに頑張れる人たちがどれだけいるか。そのときに実は「朝市プラス」が育んできた関係性が花開くかもしれません。

今の時期は、「自分で動いた」という経験をした人がたくさんいて、「その時はその時、何が起こってもじっくり対話しながらやっていける」というマインドセットをコミュニティ全体で共有していくことが大切なんだと思います。

坂本さん 今回の学校でやりたいのは、例えば鹿角市の受講生と湯沢市の受講生が友だちになってずっとつながってたり、受講した人がメンターのようになって後輩など次につないでいったりということなんです。

これまでも各市町村で人材育成塾のようなことはやってるんです。座学講座を受けて地域の現場を視察してみんなで話し合って提言をしてというような。提言をして終了みたいな。それだとありきたりなので、もっと思いっきり、講師陣だって県内だけじゃなくていろんな面白い人を呼べばいいし、県外の面白いところに視察にいったっていい。そういう思いきったことをやりたいと思って事業を立ち上げたので、短期的な成果は求めてないんです。

受講生が地元に戻って仲間づくりをしていって、4年後、5年後、10年後までずっと活動を続けてもらいたいんです。

楽しんで、つながって、仲間になる

短期的な成果は求めないという中で、県として具体的に求めているものとは何なのでしょうか。

坂本さん このプログラムは2年目に自分で企画したのを実践するっていうのが目玉なんですよね。県もそれを支援する。企画と言っても完全に新しいことをしなければいけないわけではなくて、今やっていることにアドバイスをもらいながらもう一回やってみて実践検証してみるのでもいい。

佐沢さん 補助金などの場合は、継続的な活動じゃないものをやってくれって項目があったりするんですけど、それは新しいものを見せたいということですよね。私は自分が今までやってきたものを継続するための知恵がほしいのであって、新しいことをやりたいわけじゃないんです。だから、今やっていることを続けていくのでいいというのはありがたいですよね。その中で次の展開が自然と生まれるような感じがいいなと思います。

兼松さん プロジェクトをつくることというよりも、地域づくりリーダーを育てることにフォーカスしているはずなので、「1年でこうなりました」ではない新しい指標が必要ですよね。参加者にずっと同じアンケートに答えてもらって、定点観測をしていくのもいいかもしれません。

坂本さん 人なんですよね、あくまで。企画をブラッシュアップしていくのが目的なのではなくて、その人が実践できる力をつけていくことが重要なんです。

佐沢さん 自分の活動の悩みって自分だけのものだと思ってしまうけれど、実はいろいろな人がこういうことで悩んでるっていうのがわかるというのも面白いと思います。

それに、自分では自分の現状が整理できないけれど、外から言われると整理できたり、こういうやり方もあるんじゃないかって助言してもらえると、気づいてない部分が多いので嬉しいですね。10人いたら10人で互いに思うことも違うだろうし、それをいいあうだけでも気づきがあるんじゃないかと思います。

坂本さん 私としては受講してくれたひとりひとりが受講してよかったなって言ってくれればそれが一番いいんですよ。やってよかったなって言ってもらえるのが一番いい。そして受講した人たちがつながり続けて、お互いの近況を報告し合ったり悩みを相談できる関係でいてくれればいいんです。

佐沢さん 受講した人たち同士もそうですけど、それ以外でも今後もやっていきたいという思いがある人がつながっていくことで県全体のワクワク感が高まっていく場になればいいなと思ってます。

五城目でも移住者にすごい人がいても、町の人たちはどこか引いてみているところがあって、例えば「グリーンズの学校」で学んだ人たちがその中間に立って、尖ってる人たちと興味を持ち始めた人とのつながりになっていければいいかなあって。

(対談ここまで)

「ソーシャルデザイン」という言葉はいまだにふわふわしているし、「地域づくりリーダー」という言葉は何かを意味しているようで具体的に何をする人かはイメージしづらいなと話を聞く前は思っていました。

しかし、佐沢さんの悩みを聞いて、佐沢さんのような地域のために自分なりの活動をしている人が次に何をやるべきなのか、やりたいのかということに自覚的になること、そしてそのような活動ができる人を増やしていくこと、それが結果的に本当の危機のときに地域の役に立つんだということがわかりました。

そして、ソーシャルデザインの根底にあるのは人のつながりをデザインすることで、そのような人たちのつながりをデザインすることが、地域を強くしていくことなのだとも。

そうならば、地域づくりリーダーというのはみんなの中にいて人と人や世代と世代をつなげる人で、実はすでにいてその人自身も自覚していなかったりするかもしれない。だから、そういう人が十分に活躍できるようにすることこそがソーシャルデザインであり、今回の学校が試みようとしていることなのかもしれないと思いました。

そう、それはもしかしたら私やあなたが地域づくりリーダーなのかもしれないということなのです。

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