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地下鉄が競技場に大変身! 台北の国際スポーツ大会「UNIVERSIADE」を広める鍵を握ったのは、楽しさを共有すること。

この記事を今まさに読んでいるみなさん。今日は、どんな広告を目にしましたか?
電車の中吊り、ビルボード、雑誌や新聞。広告を全く目にしない1日というのは、ほとんど無いかもしれません。

広告には、コピーライターが魂を込めて書き上げた言葉が書かれています。僕らも彼らのように何かを伝えたいとき、あれこれ考えてコミュニケーションをしますが、思いが強いときこそ、情報や言葉ばかりが先走ってしまい、うまく伝わらなかった経験がある方もいるのではないでしょうか?

今回紹介するのは、台湾で行われる国際スポーツ大会「UNIVERSIADE」の広告。初めての国際スポーツ大会の開催に気合いが入る台北市でしたが、市民の方の大会への関心や認知度がまだまだ低い様子。そこで彼らは、掲示板でも雑誌の1ページでもない場所を舞台とすることに決めたのです!

台北市で開催される、学生のためのオリンピック「ユニバーシアード」

「UNIVERSIADE」が広告展開の舞台としたのは、地下鉄の車内。といっても、中吊り広告ではありません。若い人たちがSNS上で広めたくなるような演出をしようと、地下鉄を競技場へと変身させてしまったのです!

テーマは、6つ。プール、バスケットボール、野球、サッカー、陸上、投てき競技と、各車両が競技場へと大変身しました!

思わず足が濡れてしまいそうなプール車両

バスケットコート車両のモップがけをする清掃の方

3Dアートなど様々な表現を駆使して追求された空間に遊び心を刺激された乗客たちは、自らスポーツシーンを再現していきます。そして、その楽しい様子がSNS上に次々と投稿されていったのです。

野球車両ではホームラン狙いの少年がニヤリ

投てき競技車両で笑顔もスローイング

このような参加型広告、実は過去にもgreenz.jpで取り上げていますが、イマーシブ(没入型)広告と呼ばれるもの。一方通行で訴えてくる従来の広告に対し、イマーシブ広告は新鮮で引きこまれる効果があります。何より”楽しい”をきっかけにSNSでの拡散を生むため、二次的、三次的な拡散を生んでいくのです。

一番人気のプール車両では素晴らしいシーンが日々生まれます

日常の中に大胆なサプライズを用意した台北市ですが、広報担当者の方はこう言います。

競技場に足を運んだことがない方が、まだまだたくさんいます。通勤通学の電車の中に足を運ぶように、みなさんとスポーツがより身近なものへと変わってくれたらうれしいです。

また、台湾代表にも選ばれたことのある水泳選手のHsu Tzu-Hsiug(以下、スーさん)は、この広告の広がりに対し、こう感想を述べています。

この広告で一般の方のスポーツや大会への関心が高まっているのは、みんなが楽しめているからだと思います!

アスリートとして本気の実演を楽しむ、スーさん

心に残る体験を提供したことで、たくさんの拡散者が生まれた今回の事例。ただ情報を投げかけるだけではない、相手の五感に働きかける伝え方から学ぶことは多い気がします。

何かを広めたいときこそ、まずはシンプルに”楽しい!”を共有してみる。それが、きっと心に残って、自然と笑顔と一緒に広がっていくのではないでしょうか。

[via 台北観光省,CNN Travel,FINACIAL EXPRESS,inhabitat,Taiwan News]

(Text: 加茂信志)
(編集: スズキコウタ)