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やりたいことに向かって漕ぎ出す”港”を目指して。松戸・八柱エリアにオープンする、クリエイターのための新拠点「せんぱく工舎」って?

「これやってみたい!」という気持ちがわいたとき、あなたはどうしますか?

まずは一人でやろうとする人もいるかもしれませんが、もし近くに一緒にやってくれたり、頼ったりすることができる人がいたら、とても心強いですよね。

お互いに助け合って、街に暮らす人ひとりひとりがやりたいことを実現させていく。

omusubi不動産」は、「おたがいさま」の関係づくりに取り組む不動産屋さんです。入居者さんと田植えや稲刈りをしたり、オフィスで一緒に飲み会を開いたりするなど、人々が繋がるきっかけを積極的に生み出しています。

そんなomusubi不動産が、今回新たに人々が繋がる拠点づくりをスタートさせます。

自給自足できる街をつくる

omusubi不動産は、「自給自足できる街をつくる」をコンセプトに、千葉県松戸市の八柱エリアを拠点に、古民家や団地などの空き家を中心に扱っています。空き家をDIY可能な物件として活用したり、空きビルをシェアアトリエとして運営したりすることで、アーティストやクリエイターの方々が活躍できる場づくりをしています。

例えば、千葉県市川市初のシェアアトリエ「123ビルヂング」。築約40年のレトロなビル1棟を入居者がDIYでリノベーションして、アイシングクッキー作家さんや古道具やさんなど、多様なクリエイターさんが入居しています。また、東京・浅草エリアでは雷門の裏通りにあるビルを使ったクリエイティブスペース「KAMINARI」など、数多くのクリエイターの拠点を運営してきました。

市川のシェアアトリエ「123ビルヂング」のイベントの様子。

浅草の裏通りにあるクリエイティブスペース「KAMINARI」。

また、オフィスを構える商店街では、「onetable」というカフェスペースを運営しています。並びに拠点を構える大畠稜司建築設計事務所と一緒に、お金を出し合いながらDIYで改装。フードユニットTeshigotoとともに営業しています。当初は週2回の限定的な開催でしたが、コーヒーを提供したいという人や、手作りのパンを販売したいという人々が集まり、徐々に「お互いが助け合いながら、やりたいことを実現する場所」として育ってきています。

皆でDIYして作ったカフェ「one table」。レンタル利用も可能です。

地元・八柱を盛り上げたい

千葉を中心に、様々なところで「おたがいさまの関係」が育つ場所を作ってきたomusubi不動産。しかし、これまで事務所を構える松戸市八柱エリアには拠点がありませんでした。松戸で生まれ育ったomusubi不動産代表の殿塚建吾さんは、ずっと自分たちの地元に「人々が集まる場所」を作りたかったのだと話します。

殿塚さん 学生の頃は、地元で独立して仕事をすることを考えつきもしませんでした。そんな僕が地元八柱を良くしたいと思ったのは、オーガニックレストランのCAMOOさんや、スローコーヒーの小澤陽祐さんという、地元の先輩でもあり飲み仲間でもある皆さんが、八柱を拠点に、お店を続けてくれているからです。


おかげで八柱には素晴らしいお店がだんだんと増えています。自分も大好きな先輩がつくってくれた流れを少しでも広げて、お互いに住みやすい街にしたいんです。

omusubi不動産代表・殿塚建吾さん(中央)とomusubi不動産のスタッフの皆さん。

築57年の巨大な社宅をクリエイター拠点に

「地元・八柱を、面白い動きが生まれる街にしたい」という思いを抱えていた殿塚さんが、ある日ランニングをしていると、見るからにレトロで巨大なアパートを見つけます。思わず話を聞いてみると、なんと築57年、400㎡もの巨大な面積を持ち、もともと社宅として使われていた建物でした。

改装を行う前の外観。かなりレトロな雰囲気を醸し出しています。

オーナーさんが倉庫代わりに使っていたというこの物件に、大きなポテンシャルを感じた殿塚さんは、omusubi不動産として借り上げ、クリエイター拠点として運営していくことを決めます。


「せんぱく工舎」はこれまで長らく使われてこなかったため、omusubi不動産が手を入れ始めたときには、中は全く改装が行われていない状態。特に1階は、床が抜けている部屋も多くありました。

せんぱく工舎の1階の一部屋。現在は、床の底張りが進んでいます。床の下地は、omusubi不動産側で施行し引き渡される予定です。

一方で、2階に繋がる階段やまっすぐに伸びた廊下からは、どこか古い学校の校舎のような雰囲気を感じさせるなど、この物件にしかない魅力も数多く兼ね備えています。

まっすぐに伸びる2階の廊下は、どこか学校のような雰囲気を感じさせます。

そこで、使いやすさをアップさせる改装を行うことに。プロの手による工事の他、これまで様々な物件でタッグを組んできた、「つみき設計施工社」さんともコラボレーションし、柵をつくるワークショップも実施されています。

参加者の皆さんと、「せんぱく工舎」の周囲をめぐる柵を製作しました。

その結果、元々のレトロさは残しつつも、すっきりとしたシックな空間として生まれ変わりました!

新しくなったせんぱく工舎の外観。すっきりとした印象です。

今後は、入居した方々が自由にDIYすることができるようにし、それぞれのやりたいことに合わせた場所に変化していってほしいと殿塚さんは話します。

殿塚さん 「せんぱく工舎」の1階は、ショップやカフェ、そして工房として、地域に開かれたスペースにしたいと考えています。2階は、アトリエとして、それぞれのアーティストや作家さんが自由に使える空間に。

ただ、これはあくまでも一つの大きな方向性です。僕らがこうしたいと決めつけて運営するのではなく、実際は場所を借りてくれた人と話しながら、少しずつ「せんぱく工舎」らしい個性を育てていきたいですね。

‟今の自分”にフィットしたものづくりの拠点

omusubi不動産はこれまでも様々なクリエイターの拠点を運営してきましたが、入居されているクリエイターさんは、それぞれの場所で、どんな活動をしているのでしょうか?

久保元起さんは、額縁などの雑貨や家具の販売製造を手掛ける「maltas works」を主宰する木工作家。omusubi不動産が初めて運営を手掛けたシェアアトリエ「8lab」に入居されています。

maltas works代表・久保元起さん。

元々はシステムエンジニアとして働いていた久保さんでしたが、DIYにのめりこみ、木工の学校に通って技術や知識を身に着けました。その後、週末を中心に木工に取り組んでいたとき、omusubi不動産が運営するシェアアトリエ「8lab」に出会ったのだそう。

久保さん それまではずっと自宅で作業していました。工房スペースが欲しいなと思って都内の物件を探していたんですが、なかなかいい場所がなくて。ちょっと足を延ばしてみたら、ちょうど8labの情報が出てきたんです。希望していた部屋は埋まっていたんですが、見に行ってみたら他の部屋もとてもよかったので、すぐに入居を決めました。

久保さんは、8labを工房として使い始めてから、木工作家として独立。現在は、8labを拠点に、日々制作に励んでいます。

久保さんの手によるコースター。現在挑戦中のクラウドファンディングのリターン品にもなっています。

久保さん 8labは改装自由っていうことがすごくありがたいですね。自分のスペースは、自分で床の底上げをしました。なかなかのレベルの改装です(笑)。それも「自由にやっていいよ」って大家さんが言って下さるからできることですよね。

8labという自分のベースを経た久保さんは、これからどのようにものづくりに取り組んでいこうとされているのでしょうか。

久保さん 昔は自分のお店を持ったりもしたかったんですが、今は作ることがとても楽しくて。こういうデザインのものを作りたい、そのためにはどういう方法で作ったらいいかって考えているときが、すごくワクワクします。

最近、写真の勉強も始めたんです。いいものを作ると同時にちゃんと見せ方も考えていきたいと思っています。この空間も含めて、今の状態は、自分にちょうどフィットしているなと感じていますね。

新しい挑戦の土台になる

浅草のクリエイティブスペース「KAMINARI」に入居する池田和繁さんは、物件を借りることで活動の幅が広がった一人。池田さんが営む「Tokoa coffee」は、コーヒー豆を焙煎する前の生豆にオルゴールを聞かせて焙煎する、珍しい焙煎所です。

Tokoa coffee代表・池田和繁さん。

昨年の9月までは、自宅で焙煎を行っていたという池田さん。キッチンを使える時間帯が限られているため、ひとつのイベントに出店するのも大変な状態だったのだそう。

KAMINARIを知ったのは、omusubi不動産が運営する他の物件の入居者さんがきっかけでした。

池田さん ずっと焙煎所にできる物件を探していたんですが、なかなか見つからなかったんです。あるとき出店したイベントでお隣になった方が、たまたま8labの入居者さんでした。omusubi不動産を教えてもらってすぐに連絡をしたら、KAMINARIがあるということを知って。浅草という立地も気に入って、すぐに入居を決めました。

初めて自分の焙煎所ができた池田さんは、安定して焙煎を行うことが出来るようになったことで、イベント出店の機会を増やすなど、ぐっと活動の幅が広がっていきました。

KAMINARIで開催した焙煎ワークショップの様子。こちらの写真は、池田さんと同じくKAMINARIに入居し、着物の着付け・写真撮影を行うスタジオランコントレさんが撮影してくださいました!

KAMINARIには、他にも個性豊かなクリエイターさんや、乾物をテーマにしたカフェバーが入居しています。お互いに空間をシェアしているため、色々な人が行きかうのが楽しいのだそう。

池田さん お隣さんと会ったら、気軽に話したりしていますね。これまで自分が全く知らなかった分野のことを知れるので、面白いです。

KAMINARIをベースに充実した日々を送る池田さんは、今後ネット販売とイベント販売を進めつつ、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいと考えていると話します。

池田さん 最近、オーダーに合わせた焙煎を始めました。自分の商品ではないものを売ることに、当初は抵抗も感じていたのですが、思い切って挑戦して。喜んでいただけたので、やってよかったですね。今後どうなるかはわからないですが、きっと良い方向にいくんじゃないかなって思っているんです。

誰もがやりたいことに向かって漕ぎ出す‟港”「せんぱく工舎」

久保さんも池田さんも、それぞれの拠点を中心に、自身の活動の幅を広げていました。そして、お二人以外にも、omusubi不動産の物件やその場での出会いを通じて、自分の可能性を切り開いている人は少なくありません。
誰もが自分のやりたいことを実現してほしい。そして、その後押しがしたい。

その思いを胸に、これまでomusubi不動産は「空間」という視点から、たくさんの人をサポートしてきました。

「せんぱく工舎」は、入居者やこの場に集う人が、やりたいことを実現するためのきっかけを得て、大きな可能性にむかって漕ぎだす、‟港“のような場所になるはずです。omusubi不動産の挑戦を一緒に応援してみませんか。

– INFORMATION –

「せんぱく工舎」は現在クラウドファンディングに挑戦中!久保さんや池田さんの商品もリターンとして紹介されています。

https://motion-gallery.net/projects/senpakukousya_omusubiestate

「せんぱく工舎」について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

http://www.omusubi-estate.com/?b=senpakukousya

omusubi不動産 ホームページ

http://www.omusubi-estate.com/

この記事はグリーンズで発信したい思いがある方々からのご寄稿を、そのままの内容で掲載しています。寄稿にご興味のある方は、こちらをご覧ください。
原田恵

原田恵

1989年生まれ。東京大学新領域創成科学研究科卒業。在学時は官民学のまちづくり活動、コミュニティカフェ運営などに携わる。インターンを経て2014年リパブリック入社。マイノリティや社会におけるバウンダリーのリデザインをテーマにディレクターを務める。現在は、NPO法人soarにて社会的マイノリティや福祉に関する記事執筆やリサーチを行うほか、コミュニティデザインに関するリサーチにも携わる。