12/19開催!「WEBメディアと編集、その先にある仕事。」

greenz people ロゴ

世界中の海や山、そして福島で今なにが起きているのか。「第4回 グリーンイメージ国際環境映像祭」で、映像を通して考えてみよう

誰もが動画を撮影し、編集し、世界に向けて発信できる時代、世界の「いま」を知るのに映像が果たす役割は日々、大きくなっています。
しかし同時に、情報が多すぎて何を見たらいいのか選ぶのが難しくなってもいます。

そんなときに優れた作品をきちんと選び、多くの人の手に届くようにする役割をはたすのが映画祭/映像祭です。

3月3日から5日にかけて開催される「第4回グリーンイメージ国際環境映像祭」は、48の国と地域から応募された194作品の中から15作品を選定し上映、地球環境の「今」を伝える優れた映像作品がラインナップされています。

今年で4回目を迎えるこの映像祭では、いわゆる「環境問題」にかぎらず、自然を中心とした人間を取り巻くあらゆる「環境」についてさまざまな切り口で問題提起をした作品を取り上げてきました。

今年の上映作品を見てみると、とりわけ自然と人間の関係を扱ったものが多い印象を受けます。世界中の海や山、そして福島でいま起きていることを捉えているのです。

世界の海は今

世界の環境のいまを捉えた作品の中で注目なのは、世界でも問題になっているマイクロプラスチックの謎を解き明かす『海-消えたプラスチックの謎』。

現在、プラスチックごみが自然環境や生態系に与える影響について議論が行われていますが、科学的にはほとんど何もわかっていないような状態にあるそうです。その中で、排出されたはずのプラスチックの99%の行方がわからず謎のままなのだとか。

この作品では、その99%のプラスチックがどこに行ったのかを解明する研究を紹介、海底に沈んでいる可能性、微生物によって分解されている可能性などを検証していきます。いまも議論がづく問題だけに、すべての謎が解明されることはないものの、私たちの出すゴミがいかに環境に影響を与えているのかについて考えさせられます。

『海ー消えたプラスチックの謎(仮題)』(フランス/監督:Vincent PERAZIO)

同じようにゴミや私たちの生活が環境に与える影響について描いた作品が『ロングイェールビーン 極北の街』です。

こちらの作品は、定住人口がいる世界最北の街ロングイェルビーンを舞台にしたもので、素晴らしい自然環境を抱えながら、ノルウェー唯一の炭鉱を抱えるこの街の矛盾を描きます。

炭鉱を維持することで雇用を維持することを主張する人たちと、自然エネルギーに転換し持続可能な街をつくろうとする人たちの間で揺れる街を描くことで、世界中のあらゆる場所に当てはまるといえる環境と経済の綱引きについて考えさせます。

『ロングイェールビーン 極北の街(仮題)』(フランス/監督:Manuel DEILLER)

「フクシマ」の今

今回の作品の中でもう一つ注目したいテーマが「フクシマ」(福島県全体ではなく、福島第一原発事故の影響を強く受けた地域という意味で使っています)です。東日本大震災と福島第一原発事故から6年が経ち、改めて今も原発事故の影響が残る地域について知り、考える必要があると思いますが、その材料となりそうな作品が何本か上映されます。

そのうちの2本は、福島第一原発事故で全域が避難指示区域となっている福島県富岡町で暮らす松村直登さんを主人公にしたドキュメンタリー作品『ナオトひとりっきり』と『ハーフライフ・イン・フクシマ』です。

『ナオトひとりっきり』(日本/監督:中村真夕)

『ナオトひとりっきり』は劇場公開もされた2015年制作の長編ドキュメンタリー映画で、ナオトさんがなぜ富岡町で暮らすようになったのか、そしてそこに今どのような暮らしがあるのかを中村真夕監督が描きます。

『ハーフライフ・イン・フクシマ』は、イタリア人とスイス人の2人の監督が(おそらく)『ナオトひとりっきり』後のナオトさんを取材し、2016年に発表した60分のドキュメンタリー作品です。

こちらは、淡々とナオトさんとお父さんの生活や、富岡町で行われている除染作業を映し出します。ナオトさんの言葉からは今とこれからの富岡町に対する悲観的な見通しがにじみ出し、「復興」の難しさを浮かび上がらせます。

『ハーフライフ・イン・フクシマ』(スイス、フランス/監督:Francesca SCALISI, Mark OLEXA)

さらに、避難指示区域の森の生態系についての知られざる姿を描いた『被曝の森 原発事故5年目の記録』も「フクシマ」の今を描いた作品。どの作品も、現在とこれからのフクシマに私たちが何をできるのか、考える材料になるのではないでしょうか。

これらの作品のほか、極北の気象観測の最前線を描いた『天気予報』、東西ドイツの境界線上の規制区域に息づく野生生物たちを描いた『無人の国境線がもたらしたもの-再生された自然』、越後つまりの里山に移住した夫婦を描く『風の波紋』なども上映します。

映像を通して私たちを取り巻く「環境」について考えてみてはいかがでしょうか?

– INFORMATION –

第4回グリーンイメージ国際環境映像祭

【日程】
2017年3月3日(金)11:45 – 21:45
2017年3月4日(土)11:00 – 18:50
2017年3月5日(日)11:00 – 16:45
【会場】
日比谷図書文化館コンベンションホール
(東京都千代田区日比谷公園1-4 地下1階)
【参加】
協力費1日1500円、学生協力費1日1000円、3日間通し券3000円、中学生以下無料・事前予約不要
【問い合わせ】
グリーンイメージ国際環境映像祭実行委員会 Tel: 03-6451-2411
【主催】
グリーンイメージ国際環境映像祭実行委員会