今回は、その巻頭インタビューを冒頭半分だけgreenz.jpに掲載することにしました。全編は、greenz peopleメールマガジンでお楽しみください。
こんにちは!greenz people担当スタッフの正太郎です。
最近はもっぱら「暮らしのためのコミュニティ」への関心が高まっています。greenz.jpにもさまざまな事例がある中で、ひときわ異彩を放っているのが横浜市にある「ウェル洋光台」というシェアハウス。
去年、編集長の菜央さんが訪問取材して記事になりましたが、取材直後のスタッフミーティングでも「ウェル洋光台、凄かった…」と心から溜息をついていたのが印象に残っています。
実際に公開された記事を僕も読んでみると、たしかに驚きの内容。子育て家庭も入居しているそのシェアハウスは、住人みんなで子どもの遊び相手になって面倒を見てあげたり。
DIYが得意な人が物置部屋に手を入れてサービスルームに改装したり。さらには、シェアハウス内の掃除もクリーニング業者には頼まずに気づいた住人が自ら進んで行ったり。それらすべてが住人同士の”ギフト”で成り立っているという、にわかには信じがたい内容が紹介されていたのです。
「これは実際に行ってみないと分からない!」と思い、先月に東京のgreenz peopleのオフ会として家庭訪問させてもらいました。
高台にあるお家のリビングには気持ちのいい風がそよそよ吹いていて、暮らしている住人のみなさんも清々しい方ばかり。いろいろお話を伺ってみても記事に書いてあることは本当だし、しかもそれを無理なく、あくまで暮らしの中で当たり前のように取り組まれていることが分かりました。
そして、ぼくの中でさらなる好奇心と疑問が湧いてくるのです。
「どうやったら、こんな気持ちのいい暮らしのコミュニティができるのか?」
そんな問いをぶら下げつつ、GWにウェル洋光台にまたお邪魔してオーナー代行の戸谷浩隆さんにお話を伺ってきました。
途中、住人の久美子さんが生まれたばかりの赤ちゃんをあやしながらまざってくださり3人でおしゃべり。人としての暮らしや関係づくりについて、多くのヒントをいただきました。
正太郎 今日はよろしくお願いします。
戸谷さん こちらこそ、よろしくお願いします。
正太郎 春先にgreenz people遠足というかたちでお邪魔して、本当にいい風が吹いていると感じました。みんなが一つ屋根の下、贈り物の心を持って、いきいきと生きていて。
戸谷さん ありがとうございます。
正太郎 「ウェル洋光台」で実践されていることを僕自身も自分の暮らしの中でできればいいな、と思いましたし、greenz peopleでもできたらな、と。
今日は「ウェル洋光台」がルールや役割をつくらず、贈り物が自然に生まれるコミュニティをどうやってつくってきたか、というお話の中から、ヒントをいただけたらと思っています。
戸谷さん そうですね、実際は「ルールに頼らない」と言った方が正確かもしれません。
ルールではなくガイドラインをつくっていて、「問題が起きたときにルールで解決するのはやめようね」って言ってるんです。
正太郎 ルールを設けずに、どうやって解決するのでしょう?
戸谷さん ここに来る人には、まず「暮らしの羅針盤」として“多様性・自由・信頼”という3つの理念を伝えています。
正太郎 それぞれ教えていただけますか?
戸谷さん まず「多様性」というのは、協調性よりも多様性を許容することを大事にしましょう、ということ。
つまりは、自分を信頼して、ありのままの自分を出してください、ということなんです。自分自身を受け入れられなかったら、他人のことも受け入れることができないので。
正太郎 「ありのままの自分を出す」というのは、具体的には?
戸谷さん 例えば、新しく来た人がソファーでごろごろしているうちにそのままうたた寝するようになったら「よかったよかった」と喜ぶ。ここは暮らしの場なので、社会の鎧を脱げなかったら、生きていけません。
初めは勇気がいると思うんですよ。でも、それをみんなで一緒に一生懸命やっています。みんなのためにも、気を使わないことを大事にしてください、ってことですね。
正太郎 その考え方は、2つ目の「自由」にもつながりそうですね。
戸谷さん そうですね、ありのままでいてほしい、という想いがあります。あとは、貢献の仕方。ハウスの掃除のような「目に見える貢献」ももちろん大事だけど、「目に見えない貢献」の方が大事ですよね、と。
正太郎 その「目に見えない貢献」とは?
戸谷さん 例えば、勇気を出してありのままでいることとか、他人のことをよく見ていて、「最近どう?」とか声がけすること。でもそれは測れないものだから、「平等」とか言うのはやめよう、と。
このハウスのために何をやるかも、その評価も、個人の自由です。その上で、「貢献する側に立っている」という感覚を持って暮らせることを目指してほしい。それはもちろん、あなたのためでもあるので。
正太郎 貢献感を持つことが、その人のためになる、と。
戸谷さん 貢献感、あるいは居場所感を持って暮らしてもらいたいから。それができるように、もちろんサポートしていきたいと思っています。
正太郎 3番目の「信頼」についても教えてください。
戸谷さん やりたい人がやりたいことで貢献するだけなので、「あの人のやり方はちょっと違うな。距離とりたいな」って思うことも当然出てきます。
でもきちんと話せば、同意はできないかもしれないけど、共感しあうってことはできるはずなんです。その人はその人なりに気持ちを持って、ハウスで居場所感を見つけて暮らそうとしているはずだから。それがわかれば、お互いの勘違いが少なくなって信頼できるようになる。
だから、ハウスの中で一番自分と距離の遠い人とコミュニケーションを取って、信頼できない人がいないように、お互い努力をしています。
ウェル洋光台はもうすぐ10年になりますが、盗みは1回もない。自分の住まいの雰囲気をわざわざ悪くする人はいないんですよ。
正太郎 それはすごいことですよね。
戸谷さん 結局この3つって、アドラー心理学のベストセラー『嫌われる勇気』でいうところの「自己信頼」、「他者信頼」、それから「貢献感」ですよね。共同体感覚というのが人を幸福にする、ということ。
どう暮らしてもいいけど、幸せに暮らしてもらいたい。それが私たちの願いで、そういう感じが合うなら、一緒に住みましょうね、というスタンスです。
「暮らしの知恵」「暮らしの羅針盤」等を一冊にまとめた冊子『もちよる暮らし』。住民のみなさんに配布されています。
みなさんにお見せできるのは、ここまで!
このあと、川口久美子さんも対談に合流し、3人の会話は「贈り合いを自然と生み出すためのファーストアクション」や「贈り合いのコミュニティをつくるための前提となること」など、さらに広がっていきました。
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これまでに巻頭対談に登場いただいたのは、「つみき設計施工社」河野直さん、働き方研究家・西村佳哲さん、「スマイルスタイル」塩山諒さん、「クラシコム」青木耕平さん、並河進さん、ソーヤー海さんなど、豪華な面々ばかり!(改めてみなさまありがとうございました!)
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