これまでの人生で一番後悔していることはなんですか?
もしもそう尋ねられたら、あなたはなんと答えますか?
ニューヨークの街角に、ある日突然掲げられた、大きな黒板。そこには「Write your biggest regret(あなたの一番大きな後悔を書いてください)」という言葉が書かれています。
最初は、その黒板を遠巻きに眺めたり、写真を撮ったりして様子をうかがっていたニューヨーカーたち。
やがて少しずつボードに文字が増えていくにつれ、足を止めチョークを手にする人が増えていきます。
黒板に後悔を書き込んだのは、道ゆく、人種も性別も年齢も全く異なるさまざまな人たち。いったいそこには、どんな言葉が書かれていたのか、紹介していきましょう。
たとえばこの女性が書いたのは、自分が追わなかった夢についての「後悔」。
日々の忙しさを理由に、夢を追うのをやめてしまった。
でも、本当は一歩踏み出すのが怖かったのかもしれない。
一方こちらの男性の回答は、仲の良かった友だちについての「後悔」。
自分とは違う生き方を選んだことで、会うのをやめてしまった。
その事がずっと胸に引っかかっている。
中には、「愛していると言わなかったこと」と書いた方も。自分の想いを記し、ちょっと苦しいような、切ないような顔で自分の後悔について語る人々。ときには「ありがとう」という言葉を残して去っていく方もいて、それぞれの言葉が胸に迫ってきました。
“Not saying I love you”「愛していると言わなかったこと」
実はこのプロジェクト、NYをベースにポジティブなニュースを発信しているWebマガジン「A Plus」と、社会人向けのオンライン学習プログラムを全米で展開しているストレイヤー大学が共同で行ったもの。人々が黒板に書き込む様子は、動画で公開されたものでした。
黒板に書かれた人々の後悔は、それぞれに内容が違う多様性にあふれたものばかり。でもほとんどすべての人が残していった、あるひとつの共通する言葉があります。
それが「NOT」の文字。
逃してしまったチャンス。
伝えられなかった言葉。
叶えられなかった夢。
みんな、「やらなかった何か」について後悔していたのです。
黒板に多くの回答が集まると、最後に黒板消しが手渡されます。参加者たちは、「もう後悔はいらない」「自分の可能性を信じたい」と話しながら、たくさんの「後悔」を消していき、まっさらになった黒板に書かれたのは、”Clean Slate”「新しく出直そう」という言葉でした。
毎日は新しく出直せる。
やらずに後悔することがないように、何かをしよう。何かを始めるのに遅すぎるということはない。
そんなメッセージとともに、動画は締めくくられるのです。
この動画の再生回数はすでに453万回を超え、投稿されてからひと月の間に600近いコメントが集まりました。20歳前後の若い世代からのコメントも目立ち、多くの人が動画への感想とともに自分の「後悔」について語り、それに対して幅広い世代からあたたかい返信が書かれています。
これまで「できなかったこと」に対する後悔はたくさんあるけれど、これからはもっと行動を起こしたいと思います。
それが自分の幸せをつくることにつながると思うから。恐れずに前を向き、ベストを尽くして生きていきたいです!
そんな前向きな感想を読んでいると、改めてこのプロジェクトが多くの人の心に感動を与えたことが伝わってきますよね。
「後悔を共有する」という試みがこれだけたくさんの共感と話題を集めた理由のひとつは、誰にでも「もっとこうしておけば良かった」という出来事があり、苦い思いを抱えているのは自分だけではない、と感じさせてくれるからかもしれません。
今ある日常は、決して当たり前のものではないと改めて感じさせられる今日この頃。このプロジェクトが伝えている通り、未来の自分が後悔しないように行動できるのは現在のあなただけです。
たとえ後悔していることがあったとしても、それをこれから前に進んでいく力につなげていけるといいですね!
「後悔」をテーマにしているのに、見終わったあと前向きな気持ちになる、心あたたまる内容。それぞれの後悔について語る人々の姿は、とても胸に響きます。3分程度の動画なので、よかったらぜひ見てみてくださいね!
(Text: 佐々木はる菜)