街で見かける小さな動物たち。都会ではひっそりと隠れていても、神社やお寺、大きな公園などに行くとひょっこりと姿をあらわして、私たちの心をほっこりさせてくれます。
公園の池でおよぐカモや、日向で昼寝をしている猫。
私たちが暮らす街は、人間だけのものではありません。
街にひっそりと生息する彼らも、同じ住民なのです。
しかし、不幸なことに、そんな私たちの街の住民である猫やタヌキなどの小動物が車で引かれてしまう交通事故があとを絶ちません。実際2013年の1年間だけでも、NEXCO東日本管内の高速道路上では、約18,600体の動物が犠牲になったようです。(出典元)
今回はそういった、街で人々と共存している動物たちを思い出させてくれる、小さくて、思いやりのあるアートプロジェクト「#TINYROADSIGN」をご紹介します。
「#TINYROADSIGN」の標識があらわれたのは、リトアニアの首都ヴィリニュス。
通常はこのような動物の絵が描いてある標識は「クマ出没注意!」や、「シカに注意」など、私たち人間に動物の出没注意を呼びかける警戒標識が一般的なものですが、「#TINYROADSIGN」は少し違います。
この標識の目的はふたつあります、ひとつ目は、歩行者やサイクリングを楽しんでいる人、あるいは車を運転している人へ、小さな動物を傷つけてしまわないように注意を呼びかけること。そしてふたつめは、この地球は人間のものだけではなくて、動物と共存しているんだということを思い出してもらうことです。
では、具体的にどんな動物のための標識が生まれているのか紹介していきましょう。
猫のための標識
ハトのための標識
カモのための標識
標識だけではなく、小さな横断歩道もつくります。
このように「#TINYROADSIGN」はとても精巧にできていて、まるで本物の標識をそのままミニチュアにしたかのようです。
「#TINYROADSIGN」をつくったのは、ヴィリニュスを拠点に活動しているマーケティングコミュニケーション会社の「Clinic212」。
プロジェクトマネージャーのMartynas Karpoviciusさんは、このアイデアが思い浮かんだきっかけについて、こう話しています。
私はある夜、タクシーに乗っていました。そうしたら、ハリネズミが横断歩道を渡っているのを目撃したのですが、そこはとても暗くて、タクシーの運転手がハリネズミを見つけたのも間一髪のところだったんです。
そのときに私は、動物の出没を警戒するのではなく、共存を投げかける道路標識をつくろうと思いました。
お互いに傷つけることなく、他者と共存するために必要なのは、思いやり。それは、二足歩行の動物であっても、四足歩行でも、羽があっても変わりません。
もし、このような小さくて思いやりのある標識が、日本の街にもできたらどうなるでしょう? 標識を見かけたら、あたりを見回して小さな動物をさがしてしまうかもしれません。
忙しい毎日の中で、ふと共存しているほかの生き物のことを考えてみるのもいいかもしれませんね。
[Via GOOD,Clinic212,HUFFPOST,JAF retrieved November 2015]
(Text: 高木遥)