グリーンズが毎月第2木曜日に開催しているアイデアや人をつなげ、新しいクリエイションを生み出す場「green drinks Tokyo(以下、gdTokyo)」。6月11日に開催されたgdTokyoは、「“学びの場”の現在地」をテーマに開催しました。
グリーンズは、2011年からグリーンズの学校を展開。現在は、YOSH編集長が講師を担当する編集学校や、エコハウスDIYクラス、コーヒー起業家クラスなど多種多様なコースを開講しており、どれも人気を博しています。
そこで、greenz people会員向けに年に2冊配布しているgreen Booksでは、次回号のテーマを「学びの場のつくり方」に決め、これまでの運営で得てきたノウハウを共有する一冊を制作中です。
今回は、そんなgreen Books最新号に掲載するべく、コアメンバーの3人が学びの場をつくってきたことによる発見について話した、green drinks Tokyoでの対談の様子を特別に一部先行でお届けします!
グリーンズが考える学びの場って?
冒頭、菜央さんは自身が考える「学びの場」について、このように話しました。
菜央さん 学びの場って、実は誰にでもつくれるんですよね。別に資格が必要なわけでもないし、お金をたくさん払って学ばないとできないわけでもない。
だけど学びの場ってすごくパワフルで、とてつもない変化をもたらす力があると思うんです。誰にでもチャンスが開かれていてつくることができる、っていうのが本当に素晴らしいと思っています。
僕はそういう学びの場をつくるっていうことを、みんなに開いていきたい。もちろん僕たちが学んだ先輩たちもたくさんいるけれど、グリーンズならではのやり方を共有することで、学びの場のパワーをみんなで実感できればいいなと考えています。
このように、学びの場づくりに取り組む人々を増やしたいと思いを話した菜央さん。ここからは、3人の話の中から出てきた、いくつかのキーワードとともにトークの様子を紹介していきましょう。
呼びかけ文はめちゃくちゃ大切
小野さんがあげたキーワードのひとつが、「呼びかけ文で受講のハードルを上げる」というもの。これは一体、どういう意味なのでしょう?
小野さん 「簡単にはできないクラスですよ」ということを事前に伝えるのはすごく大事で、その切実さがその場の質を決めるんですよ。
もちろん、その中にゆるい人がいてもいいんですが、基本的には切実な人がいっぱいきてほしいんです。
「すごく大変だし真面目だけれど、いいことあるよ」ということを、最初に高くハードルをあげておくと、「今、僕はこれに行くべきだ」ということを感じる人たちが自然と集まる場になるのではと思っています。
一方、菜央さんがあげたキーワードは、「告知記事は人生がアップグレードするエレベーターピッチ」というもの。
菜央さん たとえばこれから受講していく人が、記事をスマートフォンで読むときに、与えられた時間っていうのは、1分〜2分という、電車待ちのような細切れの時間なんですよね。
その時間で、「もしかしてこれを受講すると、僕の人生をアップグレードできるかも」と思ってもらうには、超明確さが必要なんです。
YOSHさん 僕もいろんな受講生の立場を想像して、「これは自分にとって関係あるのかな」と思ってもらうための工夫を、いろいろ文章のなかに仕込んでおくことが大切なのかなと思います。
小野さん 少なくとも「誰が何をできるようになる場所か」という情報が無いと、やっぱり誰にも刺さらないですね。実際、これまでにカリキュラムの内容は一緒なんだけれども、告知の文章を書き直すと倍くらい集まっちゃったということを、僕は何回か経験しています。
場づくりで大切にしていること
受講生を募る呼びかけの文章が大切である一方、もちろん実際のクラスでどのように場をつくっていくかが気になるところ。小野さんは、場づくりで大切なのは「数字を友達にする」ことだといいます。
小野さん これはすべてに共通することだと思うんですけど、自分のやりたいことを、ちゃんと数字に落とし込んでおくことが大事。
専門的というより、入門編の事業計画のつくり方とか、収支計画のつくり方とか、数字で「見える化」すると、次のアクションってすごく見えるわけですよ。
「何人くらいの手が必要で、どれくらいのペースでまわしていくべきか?」ということが具体的じゃないと、なかなか一歩目が踏み出せないですし、自分の立ち位置が分かるので、一定の安心感が生まれます。
一方のYOSHさんは「源とつながること」を大切にしているそう。
YOSHさん スクールへの参加動機はいろいろあると思いますが、多くの方に共通するのは、岐路に立っているということ。
そこには当たり前のように期待と不安がある。そんなときに同じ志を持った仲間と出会えたら、素直な気持ちを共有できる場所ができたら、勇気を持って何かを始める土台ができると思うんです。
でも、いきなりそんな状況にはならないので、スクールでは対話の時間を大切にしています。知らないうちに格好つけてしまう自分をほぐしながら、仲間を鏡にして、自分の源とつながっていく。そこはそれなりに難しいプロセスなのですが、その深さが醍醐味だなあと。
菜央さん 「自分とつながること」は本当に大事だよね。実は僕も学校で授業を何回もやってきて、初めて学んだことがあるんです。
それは、ソーヤー海くんと一緒にやってるアーバンパーマカルチャーのクラスで、授業が始まる前の最初の時間で、彼はまず「自分とつながろう」って毎回言うんですよ。
それはたった2〜3分なんですけど、自分が今どういう状態なんだろう? なにを感じているんだろうって考えると、カラダの調子がいまいちだったり、すごくわくわくしていたり、いろいろな状態にいるし、感情を抱いています。
そういう色んな感情も含めて、自分と一回つながる。それをみんなと共有する。そうすると、自分の心に素直になれるので、他人と本当につながることができます。
たった2〜3分の時間を時間をとるだけで、そのクラスの雰囲気が会期中ガラッと変わることを体験してすごいパワフルだなーって。仲間とつながる前に自分とちゃんとつながっていうことも大事だなってぼくは思いましたね。
イベントの冒頭で、学びの場はすごくパワフルで誰にでもできることが素晴らしい、と話していた菜央さん。最後は、グリーンズが目指す「場づくりの民主化」という未来についての言葉でイベントは締めくくられました。
菜央さん 今回の告知記事では、「場づくりの民主化」という言葉を書いたんですが、僕はグリーンズでいい民主化をするお手伝いをしたいなと思ってるんです。
ワークショップとかが場づくりという風に捉えられがちだと思うんですけど、実際はミーティングや、家族との日々の暮らし、あとは、たとえばバーのお客さんとバーテンダーとの関係にも当てはまること。つまり、「場」じゃない空間はないわけです。
だから「いい場ってなんだろう?」って考えると、すごく面白いんです。いろいろな場づくりを感じて学び、実際に自分でも期間限定の場をつくってみる。そんなチャレンジをする人々を増やしていきたいですね。それが、僕らの発信する「ほしい未来をつくる人が増やす」ということだと思っています。
いかがでしたか? 3人のトークを読んで、「自分も学びの場づくり、トライしてみたい!」と思った方も多いのではないでしょうか。とはいえ、「何から始めたら良いのだろう・・・」という方もきっと多いはず。
9月に発行予定の新刊、green books vol.5『学びの場のつくり方』は、そんなこれから場づくりに挑戦していく人々に、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
今回ご紹介した3人の対談がさらに長く読めるだけでなく、グリーンズが場づくりを始めたきっかけや、理事3人がそれぞれ尊敬する場づくりの先輩と対談した模様など、更に濃密な内容に仕上がる予定!
そんな最新号の仕上げで大忙しのなか、制作進行担当の鈴木絵美里さんからコメントを頂きました。
こんにちは! green Books vol.05「学びの場のつくり方」制作進行担当の鈴木絵美里です。段々と原稿がまとまってきており、最終的にどのようなページにするかがやっと見えてきたかな…という状況でございます。
今回のポイントは、この日のgreen drinksの更なる詳細はもちろん、「学びの場のつくりかた」と言いつつ日常の暮らしのあり方にも直結するヒントが詰まっていること!
ワークショップや学びの場の運営に関わる方はもちろん、もっともっとたくさんの方の生き方につながる内容になっています。どうぞ、お楽しみに!
制作中のgreen Booksの表紙と、中身の一部を特別に公開!
みなさんも『学びの場のつくり方』を参考に、学びの場に参加するだけでなく、小規模でも自ら場づくりにチャレンジしてみるといいかもしれません。
(Text: 並木香菜子)