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なぜ今、ゲストハウスのムーブメントが起きているのか? 各地のリーダーたちと鈴木菜央の対談から紐解く、日本初「地域と生きるゲストハウスサミット」

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人生が変わるほどの出逢いを体験したことはありますか?

私にとってそれは5年前、ゲストハウスとの出逢いでした。広告会社での多忙な日々に自分を見失っていた頃「きっとあなたのほしい暮らしがそこにあるよ」という友人の言葉をきっかけに、初めて東京の下町にあるゲストハウスに宿泊。

そこには、国籍も年齢もキャリアも違うひとたちが分け隔てなく交流できる空間が広がっていたのです。非日常なのに日常のような顔で、「いらっしゃい」と迎え入れてくれる空間に、一目惚れをしました。

実はこの出逢い、私だけのものではなく、近年各地で同じ体験をしたひとが続出しています。ゲストハウスはかつての「シンプルな安宿」という印象から、ひととひと・ひととまちの交流を重視した「心豊かな暮らし」や「まちの拠点」として注目が集まりはじめているのです。

今年に入ってからは特にメディアで取り上げられる機会も増え、地方創生・インバウンド・UターンやIターン移住・空き家活用など国の方針も追い風となって、利用者だけでなく開業者も急増。今や毎月数軒ペースで全国各地に新たなゲストハウスが開業するほどです。

このような背景のなか、満を持して開催されたのが「地域と生きるゲストハウスサミット(以下、サミット)」。2015年5月23日から25日の3日間、渋谷ヒカリエ8F/COURTにて終日開催され、なんと来訪者数は2500名以上。ゲストハウスをテーマにした史上初にして最大級のイベントとなりました。
 
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最終日には、greenz.jp編集長の鈴木菜央さんも登壇。菜央さんとゲストハウスオーナーたちが示してくれたヒントをもとに「ゲストハウスの魅力とは何か、なぜムーブメントが起きているのか」その答えを紐解きながら、この歴史的なサミットの全貌をレポートしたいと思います。

ひととまちの化学反応で育む “心の豊かさ”を届けたい

まずはサミットの仕掛人・主催者である「NPO法人 Earth Cube Japan」と、代表の中村功芳(なかむら・あつよし)さんをご紹介しましょう。

「Earth Cube Japan」は“日本地域の魅力を世界に発信し、真の豊かさを追求すること”を理念に掲げ、2012年に設立されました。ゲストハウス運営開業支援事業などを行い、今回のサミット発起をきっかけにより積極的な活動を展開しています。

そんな「Earth Cube Japan」代表の中村さんは、岡山県倉敷市出身の39歳。2011年4月「倉敷まちなか居住 くるま座 有鄰庵(ゆうりんあん)」という倉敷初のゲストハウスを開業しました。伝統木造建築が建ち並ぶ美観地区のど真ん中で、味わいある古民家を改装した宿は、今や年間4000名の旅人を迎え入れる交流宿となっています。
 
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ゲストハウス有鄰庵の若きスタッフたち(左から4番目が中村功芳さん)。築百年以上の古民家を改装して宿とカフェを運営。コンセプトは“経済的な豊かさを超える、心の豊かさを”です。

日頃から中村さんは「ゲストハウスは地域の風土をつくる」という言葉を口にしていました。風のように新しさを運ぶ旅人と、土のように大地を築く地域の人、この2つが掛け合わさることで風土が生まれるのだと。

ひととひと・ひととまちの化学反応で育む、お金では買えない“心の豊かさ”を届けたい、そんな想いで宿を運営しているのです。

運営者たちが本当に伝えたい、ゲストハウスの魅力

宿泊価格の安さ・リノベーションのオシャレさなど、注目のきっかけはきっといろいろあります。しかし関心が高まりつつある今だからこそ表面的な理解で「単なるブーム」で終わらぬよう“運営者たちが宿を介して本当に伝えようとしていること”を改めて発信すべく、サミットを開催することにしたのです。

ゲストハウスをあまり知らないひとにも届くようにと、ヒカリエでの開催を検討する中村さんに「僕が交渉しますよ」と心強い味方となってくれたのが、のちにサミット統括プロデューサーとなる犬養拓(いぬかい・たく)さんでした。「場所が決まれば次は仲間だ!」と中村さんは、これまでの縁をたぐって全国から運営メンバーを集めました。

その結果、長野・岡山・徳島・福岡・熊本などのゲストハウスオーナー、京都からは古民家に特化したメディアの編集長、東京からはインバウンドWEBマガジンの編集長、そして和歌山からはゲストハウス紹介に特化したメディアを扱う私(前田有佳利)も参加。総勢20名の個性派メンバーが、半年かけて準備をすすめ、ゲストハウスサミットをつくり上げていったのです。
 
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開催前日の会議風景の一コマ。当日のタイムスケジュールなど運営の最終チェックをしていきました。ひとりひとりが「一緒にやりたいからここにいる」という主体的な集まりは、こんなに生産的で心地が良いものなのだと体感しました。(写真右:ライター 前田有佳利)

想いを一つずつ形にした、3つのコンテンツ

ゲストハウスサミットのコンテンツは、大きく3つの柱で構成しました。

1つ目は各地のオーナーが目利きした魅力的な商品が並ぶ「地域発!いいものマルシェ」。2つ目は開業希望者に向けた2泊3日の勉強会「地域で必要とされるゲストハウス開業合宿」、そして3つ目が各地のオーナーと旅に関わるメディアの代表が集結した「ゲストハウスの未来について語り合うトークイベント」です。

この3本柱のコンテンツに合わせ、会場を囲むように国内全85軒のゲストハウスを紹介したパネルも展示しました。
 
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パネル展示の様子。運営スタッフで手分けしてイベント趣旨に合うゲストハウスに声を掛け、写真の提供などパネル作成に協力を依頼。タイミングが合わず掲載できなかった宿もあるものの、約100軒がイベントに賛同してくれました。

「地域発!いいものマルシェ(以下、マルシェ)」には、無農薬にこだわった林檎ジャムや、草木染めの手づくりのアクセサリー、合鴨に守られた無農薬米でつくる日本酒、ジーンズを再利用したエプロンなど、ゲストハウスオーナーがキュレーターとなって各地から集めた20店舗の商品がずらり。会場でいちばんの賑わいをつくり、ふらりと立ち寄る人をも引き寄せました。

実際に、当日偶然立ち寄った人たちが、パネル展示を興味深そうに眺めて撮影をしたり、持ち帰り自由な各宿の案内パンフレットを真剣に選んだりする姿も見られました。マルシェの賑わいは平日だった最終日まで続き、大成功を収めました。
 
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渋谷ヒカリエ8Fのエスカレーターを登るとすぐこの賑わいが目に飛び込んできます。つくり手自身が直接ブースに立つことが多いため、それぞれの商品のこだわりを丁寧に紹介し、訪問者はつくり手の話を興味深そうに聴いていました。(マルシェ統括:岡山県ゲストハウスいぐさスタッフ 木村 桃子さん)

マルシェの奥では、2つ目の「地域で必要とされるゲストハウス開業合宿(以下、開業合宿)」が進行。こちらはマルシェと違い、2泊3日の合宿形式で事前予約の20名限定。ゲストハウスオーナーなど総勢7名が講師となり、オリジナルの教科書を使いながらワークショップを多く交えて実施しました。

講師の経験談を参考に聴きながら、経営ノウハウだけでなく「誰に何を伝えるためにどんなコンセプトで打ち出すか」など、各自の想いを改めて具現化するような内容でした。
 
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参加者の年齢も20代前半から50代まで様々。札幌や秋田など各地から集まりました。地域づくり協力隊からの参加や、転職を機に開業を検討するひと、実家を改装してゲストハウスにしたいというひともいました。

合宿の最後は、参加者一人ひとりが3日間を過ごした全員に挨拶。「今までひとりであれこれ悩んでいたけど、たくさん学べて、仲間ができて本当に良かった」というコメントとともに、涙を流すひとまで現れる感動的なフィナーレとなりました。
 
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最終日『私のゲストハウスの未来像』をひとりひとり画用紙に描き、みんな活き活きと発表していました。参加者も講師も仲良くなるような濃厚で熱い三日間となりました。(開業合宿統括:有鄰庵宿長 山根樹生さん)

夕方になると、会場のレイアウトを一斉に変更。マルシェと開業合宿から3つ目の「ゲストハウスの未来について語り合うトークイベント(以下、トークイベント)」の場へと転換します。

トークイベントは約2時間半、毎日異なるゲストを迎えました。各回100名限定のチケットは、あまりに好評ですぐ完売してしまい、急遽立見席も追加されたほどの人気ぶり。土日開催の2日間は各日150名で満席、3日目も平日19時からの開催にも関わらず100名近くが参加しました。
 
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開始直前の会場風景。会場を見回して展示されたパネルを見たり、一緒に来た友人と楽しそうに話をしたり、写真を撮ってSNSで「サミットに来たよ!」と呟いたりと、ざわざわとしながら皆はじまりを楽しみにしているようでした。

1日目のテーマは「地域に触れる“旅”の仕方」。旅に関わるメディアを展開する20代から30代前半の5名の登壇です。一部と二部にわかれ、国内に対して日本の魅力を発信する2名と海外と日本をつなぐメディアの3名で、それぞれ質疑を掛け合うクロストークを行いました。
 
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登壇したのは、古民家に特化したメディア「COMINCA TIMES」編集長の水口貴之さん、旅人に推奨されたゲストハウスを紹介するサイト「FootPrints」編集長の私こと前田有佳利。そして八ヶ国語で翻訳するインバウンドメディア「MATCHA」代表の青木優さんと、日本の魅力を動画で世界に発信する「my japan Award」設立者の岡本俊太郎さん、フィリピン留学・セブ留学の口コミサイト「School With」代表の太田英基さんです。

2日目のテーマは「地域の仕掛け人、ゲストハウスオーナーが語る“なぜ今、地域文化が熱いのか”」。リピーターの多い有名なゲストハウスの中でも、特に地域に根差した活動を展開している5名のオーナーが登壇。30代後半から40代のそうそうたるメンバーです。いくつかのトピックスに添いつつ、自由に意見を交わす座談会を行いました。
 
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登壇したのは、熊本・阿蘇に魅了され移住した元観光業界のプロ「阿蘇び心(あそびごころ)」吉澤寿康さん、鎌倉の自然や町を舞台にイベント展開する「亀時間(かめじかん)」櫻井雅之さん、ゲストハウスサミットの主催者「有鄰庵」中村功芳さん、徳島・祖谷にある自然菜食と田舎暮らしの古民家宿「空音遊(くうねるあそぶ)」保坂行徳さん、長野・安曇野で農家民宿を実践しながら市議会議員を務める「地球宿(ちきゅうやど)」増田望三郎さんです。

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トピックスは「各自が実施している“地域文化”(地域的な取り組み)とは?」や「ゲストハウスの新たなステージ(今後の可能性)について」などです。自分以外のオーナーの取り組みに対して、興味深そうに他のオーナーはみんな前のめりになって聞き入っていました。

それぞれ異なった環境や文化の中でゲストハウスを運営しています。もちろんオーナーの性格も価値観もさまざまなので取り組みも十人十色。でも、全員に共通するのは、好きだと思える土地に受け入れてもらうための努力や感謝を惜しまず、その土地に少しでも何かを贈ろうと工夫を重ねるその背中。思い思いの生き方で楽しそうに歩む、彼らの内に秘めたそんな熱い想いを知る貴重な機会となりました。

予想以上の共鳴を生んだサミット最後のプログラム

そして最終日、締めくくりのトークイベントが「greenz.jpと語る、地域とゲストハウスの未来とは」。greenz.jp編集長の鈴木菜央さんをゲストに、阿蘇び心の吉澤さんと有鄰庵の中村さんが対談、ファシリテーターとして私も登壇しました。
 
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イベント冒頭で会場に挙手式アンケートをとったところ20代30代が多く、国内ゲストハウス宿泊経験ありの方が多く参加されていました。また来訪理由として、登壇者の生き方を聴いて自身のライフスタイルの参考にしたいと思ったからという方も多くいました。

3日目のテーマは、旅人と宿主の視点がクロスする中で見えてくる「なぜ今ゲストハウスが注目されるのか」「これからのゲストハウスはどうなっていくのか」。今を知り、未来を見通すヒントが見つかればという想いを込めて企画しました。

対談では、いくつかのトピックスについて各自が手元の画用紙に回答を書き、書き終えた人から発言をして全員で話を深めていくというもの。

トピックには、greenz.jpのコンセプトに因んだ「ほしい“日本の”未来はどんなもの?」というものも。ゲストたちはどんな風に回答したのでしょうか?

「ほしい“日本の”未来」について

吉澤さんは「ひとりひとりが自信をもつ未来」と回答。自らの移住経験から「好きなところで暮らして、好きなところで仕事ができるなんて、本当に幸せなこと」と話してくれました。

吉澤さん 満ち足りた心から感謝が生まれて、感謝されたひとが自分の存在価値を感じて、そう互いに伝播しあって全員が自信を持てるような未来になったら素敵ですね。

「好きなところで暮らして好きなところで仕事ができる」のフレーズに力強く頷い、菜央さんの回答は「ひとりひとりが人生の主役になれること」です。

菜央さん 今の世の中は、いつの間にか勝手に誰かに人生をプロデュースされちゃうことが多いと思うんですよね。会社に勤めた方がいいとか、今の流行はこれで乗り遅れちゃいけないとか。

他人にプロデュースされる人生じゃなくて自分がどう生きたいのか、本当に望む人生を生きるべきだと思うんです。シンプルなことだけどそれが自分の人生の主役になるってことだと思う。

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「一人ひとりが主役になれる社会」という言葉は、greenz.jpの活動紹介でもお話されており、菜央さんがgreenz.jpのみんなとともに大切にしている想いでもあります。

「やりたいことをやる」への不安について

自分の気持ちに素直になってアクションを起こすのは意外と難しいもの。失敗を恐れたり、新しい環境をいざ目の前にしたりすると不安を感じてしまいがちです。

思い切って、ファシリテーターの私から「やりたいことをやる」に対する不安を打ち明けると、菜央さんはぐんと背中を押す言葉をくれました。

菜央さん 表面的な欲でなく自分の中から湧き上がってくるような欲って、必然的に、ひとのためになっていく、と思うんです。

利己的な欲も極めればいつのまにか利他的な欲になっていく。突き動かされるほどの欲を実現させたら社会性を持たないわけがないんです。分野だってなんでも良い。社会全体つながっているんだから。だから安心して好きなことへ邁進すればいい。

その言葉に感銘を受ける私の横で、中村さんと吉澤さんも目を輝かせ「まさに僕らが伝えたかったのもそういうこと!」と驚いた表情で叫びました。

彼らが自らの人生で実践しているのはまさしく「好きなことに邁進していると、社会へとつながっていく」ということ。手段は違っても彼ら3名が目指す方向先は同じだったのです。

中村さんからも「どうしても踏み込む勇気が出ない時のためのワンポイントアドバイス」が添えられました。それは「いいことをしよう」と気負い過ぎないこと。「問題があればちょっとでも解決したい」そんな気持ちではじめれば、意外とスタートが切りやすいんだよと。

「ほしい“自分の”未来」について

最後のトピックは「ほしい“自分の”未来はどんなもの?」でした。“日本の”という広い展開から、あえて各個人にぐっとフォーカス。各自の未来への決意を発表していただきました。
 
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全員が菜央さんとはイベント当日にはじめて直接お会いしました。なのに、人生観に対する共通点が非常に多く、はじめましてとは思えない共感と盛り上がりを見せ、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。

中村さんの回答は「何もしない」でした。予想外過ぎる回答に会場が一瞬沈黙。「あれ? ウケると思ったんだけどな(笑)」の言葉で会場に笑いが起きました。実は、この回答の背景には深い理由と決意がありました。

中村さん 地域に問題がなくなることが僕の理想の未来。そしたら僕は「何もしない」になるというわけです。

さらに経済的な豊かさよりも心の豊かな生き方ってこうだよねっていうのが日本の皆に伝わったらもう満足。それができるまでは一生やり続けますけど、それができたら何もしない。解決しない限り僕はやめない。

その強い決意に深く共感する吉澤さんと菜央さん。そして話をつなぐように菜央さんが出した回答は、アウトラインが樹木の年輪のように何重にも描かれた1人の人間のイラストでした。

真ん中が生まれた時の自分、それから5歳や10歳の自分がいて、一番外側が今の自分。子供の自分が本当にやりたいと強く主張することを外側の大人が「よし!お前がそんなに言うだったら、なんとかして実現してやろう」と考える、そんな対話をずっと意識して、自分の原点に宿る根源的な欲求を見逃さないようにしているのだといいます。

菜央さん 僕は、この対話が一時期できていなかった。自分の、根源的な声を押し殺していたんです。そしたらその子は拗ねて隠れちゃった。だから今は、子供の自分が「やりたい」って言い続けることにいつも耳を傾けるようにしています。これからも自分の中の声をちゃんと実現していきたい。

約2時間のトークイベントは終始興奮が冷めやらず、最後には「もし菜央さんがゲストハウスをつくったら」という話に発展。ならば中村さんも吉澤さんも私も手伝いにいきます!という大人たちの無邪気な掛け合いに会場全体からどっと笑いが起こり、一体感の中で幕を閉じました。

なぜ今、ムーブメントが起きているのか

たくさんのあたたかい拍手に包まれながら、3日間のサミットは終了を迎えました。終了後も、登壇者の前には個別で質問や挨拶がしたいというひとたちで長蛇の列がずらりとできました。

その列が終わる頃、ひとりの女性が駆け寄って「とにかく御礼が言いたくて。ゲストハウスのイベントと聴いて何気ない気持ちで参加したのですが、まさかこれほどにも心揺さぶられる機会になるとは思っていませんでした」と涙を浮かべて御礼を伝えてくれました。彼女は自分の暮らしや働き方をちょうど見つめ直していたタイミングで、登壇者たちの言葉がまさに今の自分を奮い立たせてくれたのだといいます。

彼女の晴れやかな表情を見て「ああ、サミットで届けたかった皆の想いがちゃんと届いたんだ」そう実感しました。ゲストハウスの本質的な魅力は、安いとかオシャレとかじゃなく、中村さんが“風土”という言葉で表現するように、ひととひと・ひととまちの化学反応だと思います。そして、そこにはきっと「現場で真剣に邁進するひとの姿」が欠かせないエッセンスなのだと痛感しました。

今ゲストハウスのムーブメントが起きている理由は、まさにその多彩な化学反応に対する興味と、自分の人生をかけてその実験を証明しようとしているひとの姿に心を惹かれるからではないでしょうか。そして、いつか自分も証明する側になりたい、その想いを内に秘めて。

どんな苦労も買ってでるつもりで、自分の奥に秘める想いに真摯に向き合ってカタチにしていくことが、これほどにも面白い“世の中”と“自分”の未来を生み出すことなのだと、このサミットは教えてくれているような気がします。

さあ、次は私たちの番です。

– INFORMATION –

 
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