通勤や通学の交通手段として、自転車を活用している方々はいらっしゃいますか? ラッシュ時の電車を避けることができ、いい運動にもなるので、毎日の通勤通学が楽しくなったという方も多いかもしれません。
その一方で、数か月前に道路交通法が改正され、自転車の取り締まりが強化されたことが話題になりました。まだまだ自転車専用レーンの導入は充分に進んでいませんし、歩道をすごいスピードで駆け抜ける自転車もいっぱい。私たちの自転車の乗り方や、守るべきルールを見直すべき時期に来ている様子です。
これまでにgreenz.jpでは、ポートランドにつくられた自家用車禁止の橋や、ストックホルムに建設予定の駐輪場をご紹介してきましたが、今回はロンドンで開発され、現在試運転中の自転車専用信号を通じて、これからの自転車の乗り方について改めて考えてみたいと思います。
ロンドンのCable Streetに設置されたこの信号は、なんと自転車が通行中は点滅することも赤になることもなく、安心して通行できる仕組みに設定されているそう。
と言われても、いったいどんな仕組みなのか、最初は不思議に思う方も多いのでは? この信号は、レーダーとサーモグラフィーを使い、さらに交差点で信号待ちをしている人数を自動的に測ることで、信号の長さを調節する仕組みになっています。
現在はまだ試運転中につき設置されている場所は限定されていますが、すでに同じ技術を使った歩行者用の信号が実用化されているそうで、試運転が上手くいけば、市全体でこの自転車専用信号も実用化させる計画だといいます。
通勤通学ラッシュ時には長めに、真夜中は短めに、というような設定もされているそう。
もともとロンドンでは、自転車を利用する人々は少なかったそうですが、過去10年で自転車通勤者が2倍に増え、自転車専用ゾーンが市全体に広がったことが、この信号の開発と試運転につながったといいます。
ロンドン市長のBoris Johnsonさんは、こう語ります。
私たちは、自転車利用者に大きな利点をもたらす技術を積極的に導入したいと思っています。この取り組みは、道路をより魅力的な場所にするために、そしてロンドンに人々が集まりやすくするために、イノベーションの力をどのように利用することができるか考える実験なんです。
この信号を導入することによって、道路を利用するすべての人の需要のバランスを保ちながら、自転車利用者には十分な通行時間と安全な通り道を実現していきたいですね。
東京では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、公共交通機関の整備が始まっていますが、電車やバスの混雑や自動車の交通渋滞を防ぐためにも、自転車が活躍できる機会は多いのではないでしょうか?
そして、より自転車が通行しやすい道路を増やし、今回ご紹介したような信号を導入していくことで、自転車通勤者を増やすきっかけになりそうです。
みなさんもこの機会に、2020年に向けてどのような交通システムを取り入れていくべきか、通勤通学中に少し考えてみませんか?
[Via:fastcoexist, engadget, TransportforLondon]
(Text: 岩崎史香)