みなさんは、“障害”と聞くと、どんなことを連想しますか?
「何をするのも、大変そう」
「自由がきかなくて、かわいそう」
もしかしたら、そんなふうに思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、もともと私たちは、みな長所と短所を併せ持った存在。運動が得意な人もいれば、勉強が得意な人もいるように、それぞれが得意なこと、そしてできないことがあります。
そんな人特有の個性と障害って何が違うのでしょう? 障害というネガティブな考え方でなく、愛すべき個性として捉える人が増えれば、さらに多様性が豊かな社会が実現するのではないか? 今回は、そんな思いのもと生まれたキャンペーン「Toy Like Me」をご紹介します。
「Toy Like Me」の生みの親は、Rebecca Atkinsonさん(以下、レベッカさん)。
聴覚障害という“個性”を持って生まれてきたレベッカさんは、ある日、自分の子どものおもちゃを見ていて、車椅子も白杖も補聴器も、おもちゃの人形が自分たちのような”個性“を、何一つ持っていないことに気がついたといいます。
そこで、「おもちゃにだって、私たちのような個性あふれる多様性があるべき。きっとそれが、障害を持つ子どもたちにとって、自分を自然に受け入れ、前向きにとらえるきっかけにもなるはず!」と思いついて、「Toy Like Me」を始めたのだそう。
レベッカさん
「Toy Like Me」はとてもシンプルなキャンペーンで、おもちゃのつくり手に、Facebookを通じておもちゃの多様性を訴えるような写真を拡散したり、キャンペーンの支持者を増やしたりすることで、おもちゃへ変革を呼び込みます。
Facebookから始まったこのキャンペーンは、誰でも気軽に参加できるのが魅力の一つ。写真の投稿だけでなく、投稿のシェアやコメント、イイねをするだけで、誰でも、世界中のどこからでも、すぐに「Toy Like Me」に参加することができます。
鼻から栄養をとるチューブをつけている娘のために、お母さんが工夫した人形
レゴブロックでつくられた車椅子に乗る人形
こうしたレベッカさんの想いは、やがてイギリスの小さなおもちゃ会社「Makielab」の心を動かし、3体の個性的な人形が誕生することにつながりました! 今では「Makielab」だけでなく、「Playmobile」などの大きな会社をも巻き込んでいて、おもちゃに多様性をもたらす動きが進んでいる様子。
Makielabの人形。右から、白杖を持った人形、補聴器をつけた人形、生まれつきの痣が顔にある人形。この人形は、細かいところまで配慮されており、補聴器を付けた人形は手と指が柔軟に動かせ、アメリカ手話のサインを示せるようになっているそう。
子どもたちにとって、障害を病院などの”特殊”な空間ではなく、もっと”ワクワク”した設定の中で見ることができるようにしていきたいです。そうすることで、障害を治すべき病気としてではなく、共に生きていく個性へと変化させ、子どもたちの未来の可能性が広がるのではと思っています。
と、話すレベッカさん。
最近では、トランスジェンダーを象徴する人形の写真と一緒に、LGBTの人々にも「ありのままの自分であることに、誇りを持って!」とエールを送った「Toy Like Me」。「Toy Like Me」が目指す究極のゴールは、「障害だけではなく、人々が多様性に寛容で、お互いを尊重し、かつ自分の個性を愛することができる社会」だといいます。
みなさんも、自分の劣等感や欠点だと思っている部分を隠すのではなく、人形としてデザインし、「Toy Like Me」に投稿してみませんか? きっと短所だと思っていたことを受け入れ、自分の個性を愛するきっかけをくれるはずです。
[via Facebook, Takepart]
(Text: 水野淳美)