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移住は結婚と似ている!? 秋田〜東京〜鹿児島〜京都へと移り住んだgreenz.jp編集長YOSHさんに聞く、”しっくりくる移住先”の選び方

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情報にあふれる日々の中で、ときおり都会を離れると、澄んだ空気におどろくことがあります。自然や人とふれあい、地域に根ざして暮らすライフスタイルにあこがれる人も多いのではないでしょうか。

いま、そんなふうに住む場所を変える「移住」というテーマが盛り上がっています。

2015年3月8日(土)、名古屋市栄のナディアパーク内7th cafeにて、「田舎暮らしというライフスタイルの選択~新しい田舎暮らしについてみんなで考える1日~」というイベントが開催されました。

今回は、そこにゲストとして登壇したgreenz.jp編集長の兼松佳宏(以下、YOSHさん)の講演から、一部を抜粋してご紹介します。「移住したい!」と心に決めている方だけでなく、漠然と考えている方にとっても、何かヒントがあれば嬉しいです。
 
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当日は、70名以上が参加しました。「移住」は、名古屋でも注目度のキーワードのよう。

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他の登壇者だった福岡R不動産の方や、奥三河で起業やご自身のプロジェクトをされたり、地域おこし協力隊として活動していた方など、さまざまな資料が並び、多くの人が手にとっていました。

15年で15回もお引っ越し!

YOSHさんは、もともと秋田県のご出身。大学進学をきっかけに上京し、いままでになんと15回も引越しをしてきたといいます。

2013年2月に家族で鹿児島に移住し、2015年4月には京都へと移りました。仕事の拠点がある関東からの移住を決断した背景には、パートナーで「サンタのよめ」を主催する真紀さんの妊娠・出産がありました。

まずは「源泉掛け流しの温泉が近所に」「魚も野菜も、果物もおいしい」と、鹿児島での豊かな暮らしを振り返りながら、移住後の変化についてこう語りました。

多くの会議がオンラインになって、移動時間が減ったというのは大きかったですね。その分、家族と過ごす時間が増えたような気がします。

もちろん、リアルに会える方がいろいろスムーズなので、オンラインミーティングの限界も感じていますが、東京から離れたことで、日本各地、世界各地にいるライターさんをフラットに見ることができるようになったのは、いい変化だと思います。

ちなみに、鹿児島に移住を決めるまでは、秋田や沖縄など、複数の候補地で悩んでいたそう。最終的に鹿児島を選んだ一番の決め手は、パートナーである真紀さんのご両親が住んでいたことでした。

いろんな地域の情報がどんどん共有される中で、はっきりしてきたことは「どこも素晴らしすぎる」ということ。だからこそ、自分の中の”条件”を明確にする方が近道なんじゃないかなと思っています。

それぞれのライフステージによってそれも移ろうものなので、日頃から対話をして、少しずつ準備をしていれば、むしろ選択肢がどんどん狭まっていくんじゃないかなって。

とはいうものの、「仕事をする環境」という視点も大事だと続けます。

陶芸や農業をする人なら「この土じゃないと」という理由で、土地を選びますよね。同じように、編集を仕事としている僕にとって大切だったのは、「ふだん、誰に会いながら生きていくのか」でした。

東京にいた頃は、自分の視野を広げるために、とにかくいろんな人に会いまくりました。そして今の僕のステージは、深い成長だと思っています。京都には、東京時代に一緒に仕事をしていた親しい仲間が、ここ数年で、どんどん集まってきています。

鹿児島のみなさんにも本当にお世話になって、名残惜しいのですが、今はそこに希望を感じています。

移住は、結婚や就職と似ている

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講演の最後は、移住に関心をもつ人に向けてのメッセージ。実際に、移住の希望を叶えるためには、どういう一歩を踏み出せばいいのでしょうか。

旅人として、とにかくいろんな場所に行ってみるのはいいと思います。そのときに大事なのは、さっき言った「自分の条件」に耳を傾けること、そして「ご縁」です。こう整理してみると、結婚するパートナーとの出会いに似ていますよね(笑)

理想の人を描いてもいいけれど、100%満たす人なんていない。納得がいくまで対話を重ね、自分もパートナーも少しずつ変化していきながら、理想の関係は生まれていく。そういう自然なプロセスが大事なのかなって。

それくらい住む土地を変えるということは、人生のターニングポイントになると思うのです。もちろん慎重になりすぎず、ときには勢いや運まかせでもいいのですが(笑)

“移住ブーム”に焦るのではなく、まずは自分の足元を確認することが大事だと繰り返すYOSHさん。最後は、こんな言葉で締めくくりました。

今は、場所を問わずに仕事ができる人がどんどん移住している段階です。その人たちが活躍し、ひとりでもふたりでも、雇用を生むことができれば、起業家ではなくても移住できる。いまはその過渡期だと思います。

そういう意味では、好きな人の商品を取り寄せて応援するだけでも、巡り巡って移住に近づく一歩かもしれません。今の時点で「自分はまだかも」と引いてみるのも、それでいい。その”もやもや”がきっと、いつかのエネルギーになります。

今回のイベントでは、実際に移住を考えている参加者は半分ほど。その中で、実際に移住を叶えたロールモデルとの出会いや、同じ悩みを抱えたり、相談ができる人との出会いも、大きいのかもしれませんね。

みなさんにとって「暮らし方」を選ぶのに大切なこととは、何でしょうか。家族、仕事、理想。一度立ち止まって、自分の心の棚卸しをしてみると見えてくるものがあるのかもしれません。