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キーワードは、”近所”と”週3日”。「東京シャボン玉倶楽部」と「タウンキッチン」に出会いのエピソードを伺った、green drinks Tokyoをレポート!

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グリーンズが毎月第二木曜日に開催しているアイデアや人をつなげ、新しいクリエイションを生み出す場「green drinks Tokyo(以下、gdTokyo)」。

3月12日に開催されたgdTokyoは「マイプロジェクトの現在地」というテーマで開催しました。

greenz.jpでは、これまで”「自分ごと」からはじまるソーシャルデザイン”として、2011年からマイプロジェクト(以下、マイプロ)に取り組む方々を紹介してきました。

彼らの多くは、個人的な想いから小さく活動を始め、やがて人々を巻き込みながら、プロジェクトを育てています。

そんななか、今年2月、greenz people(グリーンズ寄付会員)のみなさまの会費をもとに展開する新連載「マイプロものがたり」がスタートしました。

この連載では、greenz.jpが取材してきた中でも、特に多くの人々の共感を集めた方々を改めて取材し、彼らの変わらない思いやぶつかった困難、その進化に影響を受けた出会いのエピソードを紹介しています。

そこで、3月のgdTokyoは「マイプロものがたり」にも登場いただいた、「東京シャボン玉倶楽部」の杉本有紀さんと平野美奈さん、「タウンキッチン」の北池智一郎さんを迎え、トークセッションを開催。

司会のgreenz.jp編集長の鈴木菜央と、編集デスクのスズキコウタが、それぞれのマイプロに影響を与えた出会いや、人とのつながりについて伺いました。

出会いは近所にあるかも

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「東京シャボン玉倶楽部」の杉本有紀さんと平野美奈さん

2010年当時、「丸の内朝大学」に通っていた5人によって生まれた、「東京シャボン玉倶楽部」。

プロジェクトの方向性が定まった頃、会議中に近所の100円ショップで買ってきたシャボン玉セットを見ていた平野さんは、ある「すごい発見」をします。

平野さん ふと気づいたんですけど、ポンと置いた商品をみると、ちょっと待て、おかしいじゃないかと。

まず吹き棒が10本入りで「シャボン玉液、一本オマケ」と書いてあるんです。これが言っていることは「もちろんシャボン玉液は持っていますよね?」「もちろん棒足りないですよね?」と(笑)

うちらより凄い人がいるんじゃないか!? と。

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実際のシャボン玉セットと平野さん(右)

パッケージの裏を見てみると、「シャボン玉相談室」の文字と連絡先が。

メールをし、つながった先は「友田商会」というシャボン玉業界大手の会社でした。そこでシャボン玉が大好きな方たちに出会い、大きな見方を得たと言います。

平野さん ゆくゆくは一緒にシャボン玉ステーションを商品化していくんですけど、その最初のきっかけは、私が近所でみつけてきたシャボン玉相談室という不可解な表示でした。

私たちが得た教訓は、もしかするとヒントは近所にあるよってこと。どこかの大御所に話を聞こうじゃなくて、近所を歩いてみて、ちょっと心にひっかかったものを見つめてみようみたいなことが、すごく大事なんじゃないかなと思うんです。

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「友田商会」と商品化した、シャボン玉ステーション Photo by Nao Manabe

週3日飲む

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「タウンキッチン」の北池智一郎さん

2010年11月、“地域がつながるおすそわけ”をコンセプトに、地域の食生活を地域で支え合うためのお惣菜屋さんとしてスタートした「タウンキッチン」。

しかし、発足後にメディアなどで注目を受ける一方で、人手不足で明日のお店のことばかりを考えるようになり、本来の目的であった「つながり」について考える余白がなくなった時期があったと北池さんはいいます。

北池さん こりゃいかんなと思ってスタイルを変えたときに、スパっと時間が空いたんですよね。で、どうしようかなあと。なんか漠然としている状況だったので、わかったと、週3日、夜飲みに行こうと(笑)

たとえば、西荻窪に”シェアするまちのお茶の間”をコンセプトにして立ち上げた「西荻サードプレイス」をつくるときも、「西荻でなんかしたいね」っていう人たちとホントに週何日も飲んで、じゃあやろうかってなりました。

一人でやるんじゃなくて、そういう人たちと飲んで話をしていると、どんどん盛り上がるんですよね。

そういう風に、違うコミュニティにどっぷり一回入ってみる。タウンキッチンという看板を下ろして、北池智一郎という人間として輪に入らせていただき、学ばせてもらったんです。

飲み会を通じて人とのつながりの輪に入っていった北池さん。一番大事だったのは、参加頻度だったと言います。

北池さん 面白そうなメンバーが集まる会議に、できるだけ毎回参加するようにしました。

そうしていくうちに、周囲のメンバーからの信頼を得られていったなあと感じます。参加頻度を高めてそのコミュニティの一員として認めてもらうというのが、実は信頼関係を築く時には大事だと気づかされました。

複数のプロジェクトに顔を出し続け、時には自分でプロジェクトを立ち上げたり、そんな日々が2年くらい続きましたね。そうしていくうちに、どんどん歯車が回っていく感じでした。

捨ててきたこと

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杉本さん(左)と平野さん(右)

活動を始めてから、”ご当地シャボン玉倶楽部”ができ、メディアに成功事例として取り上げられるなど、順調に進んできた「東京シャボン玉倶楽部」。

そんな中、捨ててきたことがたくさんあると話すのは、杉本さん。「東京シャボン玉倶楽部」が捨ててきたことの中でも、ひときわ会場が唸ったのは「お金」の話でした。

杉本さん 友田商会さんが、私たちと発案したシャボステを商品化することになったんですね。でも「収入が入ってきちゃうと、お金の管理をしなきゃいけなくて面倒くさいな」と思って、「お金はいりません」とお断りしたんです。

別にお金がなくても、今は活動できてるからなくていいかって。

嫌だなと思ったこととか、違和感を感じたこととか、やる気でなかったことをどんどん捨ててきていて、結局変わらず残っているのはコンセプトとメンバーたち。

意外とプロジェクトを進めるときって「次は、あれやろう!」と積み上げていくと思うんですけど、私たちはいろんなものを削ぎ落として、本質的なことだけが残ってきたから、今まで続いてきたのかなって思います。

「成功」の定義はプロジェクトや人によっても様々。メディアにどんどん出て有名になりたいのか、法人化してお金を稼ぎたいのか。「東京シャボン玉倶楽部」にとっての成功は、発足時の想いでした。

平野さん 私たちは楽しくその日その日を生きていきたくて、サードプレイス的な場所としてシャボン玉倶楽部という活動を始めました。

「みんなでまず楽しもう!」というのが基礎的なことであったので、そのために面倒なことや、ちょっと不快なことは思い切って捨ててしまってもいいんじゃないかって。今考えるとすごく良かったなと思いますね。

プロジェクトの現在地

発足から数年が経ち、様々な出会いや変化を経験してきた「東京シャボン玉倶楽部」と「タウンキッチン」。今の居場所をどう感じているのか、最後に聞いてみました。

北池さん 今の場所に落ち着いた、という感は特にないです。

むしろ、立ち上げたときと変わらず、流れている感じ。流れに逆らうのは辛いことですからね。流れに身を任せている中で、いろんな出会いをいただき、今があるように感じます。

立ち上げから5年たって、その「流れ方」を身につけてきたのかもしれません。どういうときに溺れないように近くの草に捕まった方がいいとか、逆に思い切って流れに任せてグイグイ泳いじゃおうとか。そういう経験値を積ましていただいたなと思います。

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平野さん メンバーの人生はそれぞれ流れていっていて、もう東京にいない人、結婚した人、子どもができた人がいる。その中で消えてなくなっていないのは、「そこにいるときは楽しもうね」っていう、すごい覚悟があって、歯を食いしばって楽しんでいるんですね。

今回”マイプロの成長物語”と取材依頼をいただいたときに、「うちら成長してないな」って思ったんですよ。

でもそれはあえて止めてるとかじゃなくて、人生のままに流れている。その中で私たちの第一は、楽しむこと。それをみんなが忘れないでいるから、変なものは削ぎ落とされていっているのかなと思います。

杉本さん 「プロジェクトは大きくならないといけない」とよく言われますが、私たちはそれができなかったし、できなかったからこそ、変わらずにいられるんです。

メンバー5人は、”その場を楽しむこと”にすごくコミットしている。「この瞬間をみんなで妄想して楽しむんだ」という空気感があると、会うこと自体がすごく楽しいんです。

すると、ミーティングが毎回できる。ミーティングが続くということは、プロジェクトが続く。「会ってて楽しい」「会ってその場を楽しむ」ということを、歯を食いしばって維持しています。

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今回のケータリングは「WISH FRESH SALAD」が担当。色鮮やかに盛りつけられたサラダが、好評でした。

マイプロジェクトの現在地。流れ行く時の中で、プロジェクトには様々な出会いや変化がありましたが、それらをとても楽しそうに、終始笑顔で語ってくれた、ゲストのみなさん。彼らの「これから」の活動が、ますます楽しみになったのではないでしょうか。

次回のgdTokyoは、4月9日(木)にSHIBAURA HOUSEで開催します。

テーマは「マイプロCAMP!!!」、ゲストに「石巻2.0」、「KitchHike」、「INHEELS」を迎える予定です。どうぞ遊びに来てください!