みなさんは編み物をしたことがありますか?
もしかしたら、学校で裁縫を習ったり、お母さんから教わった方もいらっしゃるかもしれません。
編み物は手間がかかりますが、贈る相手への思いを込めたニットは、体だけでなく心まで温めてくれるもの。
この写真に写っているペンギンたちが着ているのも、手編みのニット。カラフルなデザインがペンギンたちに似合っていて可愛らしいですが、なんと、この小さな贈り物、御年109歳のおじいちゃんがつくっているのです!
オーストラリアはニュー・サウス・ウェールズの老人ホームで暮らす、Alfie Date(以下、アルフィーさん)。アルフィーさんは、80年前、ひいおじいさんの義理のお姉さんに針とウールをもらい、ニットを編むように頼まれてから、独学で編み物をするようになったのだそう。
アルフィーさん
ある日、その編み物のスキルに定評があったアルフィーさんは、老人ホームで働く2人の看護師に「ペンギンのために、ニットを編みませんか?」と頼まれます。
数々の編み物をしてきたアルフィーさんも、さすがにペンギンにニットを編むのはもちろん初めてでしたが、快諾。「頼まれたら断れない。お人よしなんだよ」とアルフィーさんは話します。
アルフィーさんが、ペンギンのためにニットを編み始めたのは、単に「服を着たかわいいペンギンの姿が見たい」ということではありませんでした。
近年オーストラリアのフィリップ島沖では、1998年に起こった海洋汚染や、2001年の重油流出事故がペンギンの健康被害を及ぼしています。特に油は羽をくっつけてしまったり、泳いでいる最中に油を含んだ水や泥を吸ってしまうことでペンギンから体温を奪い、重みや浮力の低下で狩りをする力が衰えてしまうのです。
そこで、フィリップ島で活動する「The Penguin Foundation」は、フェアリーペンギンを重油の被害から守るためにキャンペーンを開始。アルフィーさんは、2013年からキャンペーンに参加してきました。
The Penguin Foundationはアルフィーさんを「世界一高齢のペンギンニット編み」と呼んでいましたが、まさか、彼の年齢109歳がオーストラリアでは最高齢ということまでは知らなかったのだそう。
アルフィーさんの取り組みがウェブサイトを通じて世界に発信されると、各国の若いボランティアからたくさんのニットが届き、今では保護しているペンギンの数を上回ってしまったのだとか! ひとりのおじいさんの行動が感動を生み、「助けてあげたい」という思いの連鎖につながったのです。
今日も友人や未熟児のために、毎日編み物をしつづけているアルフィーさん。彼の行動は心を込めて贈り物をすることの大切さだけでなく、思いだけでなく一緒にボランティアをして同じ経験を共有することの価値に気づかせてくれました。
みなさんも、お家にこもっているおじいちゃんおばあちゃんがいたら、ボランティアに誘い出してみませんか? きっと、彼らの生きがいを見つける機会になるかもしれません。
(Text:大間千奈美)
[via inhabitots, mashable]