ここは中華人民共和国四川省の省都、成都市の大通り。
DiorやLouis Vuitton、Chanelなどのきらびやかな高級ブランドが立ち並ぶ、表参道や銀座のようにスタイリッシュで落ち着いた通りに、ある日突然出現したのは、色とりどりの花やパンダが目につく可愛らしく斬新な模様たち。
みなさんは、この絨毯のようなパブリックアート、一体なにでできていると思いますか?
成都市のビジネス街にある、IFSデパート前の通りを一直線に伸びるこの1300m2の絨毯をつくるのに使われたのは、なんとお菓子!
長さ185メートル、幅は7メートルに及び、13トンものお菓子が使われています。13トンというとなかなかイメージが湧かないと思いますが、およそ成人のゾウがおよそ3頭集まった重さなのだとか。
デザインを担当したのは、Craig RedmanさんとKarl Maierさんによるデザインスタジオ「Craig&Karl」。ふたりは2000人のボランティアを巻き込み、5日間かけて完成させました。
その名も「Sweet As One」。参加者や街が一体となって、飴玉が詰まったカラフルな箱を一つひとつ置いていくと、パンダや、お花、うずまき、水玉などの模様が浮かび上がり、道行く人々を魅了していきます。
作業中の様子。
ひとりひとりの気持ちが集まって形に!
「Sweet As One」は、中国の農村部で生活している恵まれない子どもたちに対する意識を高めたいという想いで、香港のクリエイティブスタジオ「AllRightsReserved」がIFSデパートの創業1周年のお祝いイベントの一部として企画しました。
近年、勢いを増して経済発展している中国ですが、中国国家統計局の2013年の統計によると、都市住民と農村住民の所得格差は3倍もあるといいます。
2010年以降、企業の農村進出や出稼ぎの収入の増加が進み、格差は減りつつあるそうですが、まだまだ十分とはいえない様子。
「Sweet As One」では、社会全体で格差問題を考えるきっかけをつくるだけでなく、成都市周辺の農村部に住むお腹を空かせた子どもたちやその家族に15000人分のお菓子や食事を配り支援していく予定です。
実は、幸運を表す花の模様は成都市に対する想い、愛らしいパンダの模様は中国原産のパンダを大切にしようという想いが象徴されています。
日本でも、パブリックアートを目にする機会は増えましたが、何となく見過ごしてしまうのではなく、ちょっと観察してみると、思いもしなかったような「気づきの入り口」に出会えるのかもしれませんね。
みなさんも、そんな作品をゆっくりめぐって、街歩きをグンと楽しくしてみませんか?
[via hypebeast, AllRightsReserved, inhabitat]
(Text: 山川七海)