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ここで出会った人が、自然と結ばれるような場所になりたい。食で温かなつながりをつくる下北沢のカフェ「Polepoleなぎの森」

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「Polepoleなぎの森」の棚木武史さん、成美(しげみ)さん、蔵仁(くらと)くん

ごはんは誰かと一緒に食べると、さらにおいしくなるもの。ひとり暮らしをしている人も、たまには誰かと一緒に食事をしたくなりますよね。

一緒に食べることの大切さを、体に気持ちいい自然食とともに発信し、訪れる人同士の、そしてお店とお客さんのつながりをつくるカフェが下北沢にあります。

Polepoleなぎの森」(以下、Polepole)。棚木武史さん、成美(しげみ)さん、蔵仁(くらと)くんの家族3人で営む小さなお店です。

「木のあたたかみのある、心と身体にやさしいお店」をコンセプトとするPolepoleでは、どのように食のつながりが生まれているのでしょうか。今回はそんなお店づくりの根っこにある想いを、武史さんと成美さんに聞いてみました。

木が3つ、家族3人で営む「Polepoleなぎの森」

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Polepoleがオープンしたのは2013年3月。もともと同じ場所にあった自然食のレストランを運営していた方がお店を閉めるということで、自然食のお店として場所を引き継いでくれる人を探していたそうです。

そんなとき、自然食のレストランでシェフをしていた武史さん、マクロビカフェで働いた経験のある成美さんご夫婦に声がかかります。

オープン当時、蔵仁くんは生後10ヶ月。成美さんは、「この子もまだ小さかったので悩んだ部分もあるんですけど、武史さんの『やってみたい』という想いでお店を始めることを決めました」と振り返ります。

2人のお店に込める想いは、その名前にもよく表れています。“polepole”とはスワヒリ語で“ゆっくり”の意味、“なぎの森”は縁結びの木と言われる“なぎの木”が由来です。

成美さん なぎの”木”でも”林”でもなく、なんで”森”にしたかというと、やっぱり家族でお店をやるからです。私たち3人だから木が3つ。まぁ子供がもう1人増えても森のままなんですけどね(笑)

それに森は人が集まり、いい木が集まる場所。だからこのお店を「しっかりとした家族の土台にしたい」という意味も込めて、そうしました。

テーブルやイスなどの家具や内装は、友達に手伝ってもらってすべて手づくり。「私たちのお店というよりも、みんなの手によってつくられたお店」だと成美さんは話します。

イタリアンで8年、自然食のレストランで1年の経験を持つ武史さんがつくるメニューは、すべて農家さんから届く野菜によって決まります。

「季節のものを感じてもらいたい」と武史さんが言うように、「日替わりプレート」「気まぐれパスタ」といったメニューは、行くたびに違う味を楽しむことができるのです。
 
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野菜は、茨城県の「ベジタリアンフレンドリーファームきまた」さんから仕入れています。

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ある日の「夜ごはんプレート」。玄米、お味噌汁、大豆ミートの南蛮あんかけ、かぼちゃとさつまいものサラダ、ブロッコリーの豆腐と昆布のソース添え、あげ豆腐の赤大根おろし乗せ、季節野菜の醤油漬け。

お店を訪れるお客さんは、学生から家族連れ、ご年配の方までさまざま。野菜が中心ということで、ベジタリアンの方や、宗教上の理由でお肉を食べられない外国の方もよく来るそうですが、意外にも武史さんは「ベジタリアン」という言葉を謳ってはいません。

武史さん ベジタリアンと言うと、なんだか特別な人みたいなイメージがありますよね。そうじゃなくて、自然食のことを知らない人でも入って来てもらいたいんです。

野菜本来の味を伝えたいし、感じてもらいたい。まずは味わってもらって、「あ、野菜ってすごいおいしいな」「野菜だけでも満足できるな」と思ってもらえるような人が増えるといいですね。

食卓を囲む、大切な時間を

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そんなPolepoleでは、知らない人同士でも会話が始まる不思議な“つながり感”を感じることができます。その秘密は「Polepoleハレの日食卓会」(通称Polepole会)という、月に一度の、誰でも参加できるイベントにありそうです。

みんなで大きなテーブルを囲み、一緒にごはんを食べる。食卓会はその名の通りのシンプルな会ですが、それが尊い時間であると成美さんは言います。

成美さん 私たち夫婦でも、仕事がある日は一緒に食事をするのは朝ごはんくらいになってしまって…。でも食卓を囲む時間って、すごくリラックスできるし、大切ですよね。

とくにいまは核家族やひとり暮らしの人も増えていますが、同じ釜の飯を食べながらいろんな話をすることで、ここがみんなにとってアットホームな場所になればいいなと思っています。

Polepole会に参加する人は、常連さんから最近お店を知ったという方まで毎回さまざま。通りがかりにふらっと参加する人や、妊娠してから食事に気をつけるようになって、毎月この会に来てくれるようになった女性もいます。年齢も職業もバラバラな人たちと、気軽に話ができる場がここにあるのです。

Polepoleでは他にも、オーガニックワインを楽しむ「ワイン会」、すべての料理ににんにくを使った「にんにく会」、食事と音楽を同時に楽しめる「演奏会」などのイベントが行われていますが、これらのイベントはすべて、お客さんとの会話がきっかけになっているそうです。

武史さん 演奏会は二胡(中国の弦楽器)の演奏をしている人と偶然知り合って、「お店で弾いてほしいな」と話していて実現しました。にんにく会も常連さんの姉弟がにんにくをつくっていたからなんですよね。これからも、誰と出会うかによって、いろんなイベントができてくるのかなと思います。

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Polepole会では、シェフも料理が終われば一緒に食卓を囲みます。

出会った人が結ばれるような場所になったら

お話を伺うなかで、成美さんが何度も口にしたのは「つながり」という言葉でした。

声をかけてもらったことからお店を始め、友達の手を借りて土台をつくり、出会った人と一緒に食卓会やイベントを行っていく。お店の名前を縁結びの“なぎの木”からとったように、「ご縁によってお店がつくられてきた」と、2人はオープンからの1年半を振り返ります。

そんな2人の想いをよく表すような夢が、成美さんにはあります。それは、「いつかPolepoleで出会った人同士が結ばれること」です。

成美さん ご縁が結べる“なぎ”の名前にしたこのお店をきっかけに、恋が実って結婚したりとか、妊娠してだんだんお腹が大きくなっていったりとか、そういう感じで見守っていくことが夢ですね。

長いスタンスで人と関わりを持っていきたい。そのためにもこのお店から、食から生まれる芽生えが出たらいいなと思いますね。

実際に今年の4月から通っていた妊婦さんが、10月には赤ちゃんを無事出産して、報告してくれたこともあるのだそう。出会った人とそのような関係が築けるお店を、これからもつくっていきたいと2人は話します。
 
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食というのはつながりをつくるもの。高いレストランでなくても、特別な料理でなくても、家族や友達、そして大切な人とともに食事をすることが、なによりのごちそうになるのだと武史さんと成美さんのお話を聞いて思いました。

自然食や食卓会に興味のある方は、ぜひPolepoleを訪れてみてください。きっと、心もお腹も満たすことができると思います。

– INFORMATION –

 
Polepoleなぎの森
東京都世田谷区北沢4-17-7 KAZU北沢1F
火曜日~土曜日:open12:00 close22:00 (l.o.21:00)
日曜日、祝日:open12:00 close21:00 (L.o.20:00)
定休日:月曜日+不定休
https://www.facebook.com/Polepolenaginomori