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汚れと偏見を同時に洗い流そう! ホームレスと地域をつなぐ移動式洗濯サービス「Orange Sky Laundry」

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みなさんは初対面の人と会うときに、まず何に気をつけますか?

わたしが大切だと思うのは、なによりも清潔感。特にその機会が仕事の場合は、そういった”見た目”に気を使うことが大事なのではないでしょうか?

そんな清潔感によってコミュニティから遠のいてしまっているのが、ホームレスの人々。オーストラリアのブリスベンには、そんなホームレスの人々と地域の”交流の場”をつくる活動があります。

それが今回紹介する、移動式無料洗濯サービス「Orange Sky Laundry」です。

Orange Sky Laundryの活動は、とてもシンプル。それは車に2台の洗濯機と乾燥機を積んで、ホームレスの人が洗濯をできるようにするというもの。
 
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2台の洗濯機と乾燥機を使うことで、1時間の間に、約20kgの洗濯ができます。これはホームレスの方の10人分の洗濯物に相当するとのこと。

彼らの活動で特にユニークなのは、その洗濯の待ち時間の使い方。洗濯機が回っている間には、Orange Sky Laundryのパートナーである地域の飲食店により食事の提供がされているのです!
 
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Orange Sky Laundryの活動は、主に朝に行われているため、モーニングバーベキューとして朝食を提供しています。

この食事は、普段関わることがない地域の飲食店で働く人々、ホームレス、ボランティア、福祉センターのスタッフが気軽におしゃべりができる貴重な時間。そんな何気ない会話を通じて、地域にホームレスの人々を巻き込み、自立に向けた支援へつなげる機会をつくっているのです。

さらにホームレスたちが利用しにきたときには、地元の企業から提供された新しい衣服を受け取ることもできるそう。洗濯という機会を通して社会復帰を目指せるよう、支援を確実につなげています。
 
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洗濯機、発電機、車などもスポンサー企業から提供されたもの。現在、世界的に有名な企業や地域の福祉サービスを積極的に巻き込み、外部との関係づくりもうまく行われているようです。

Orange Sky Laundryを創設したのは、20歳のLucas Patchettさん(以下、ルーカスさん)と、同じく20歳のNicholas Marchesiさん(以下、ニコラスさん)。活動を始めたきっかけは、ルーカスさんはある海外の旅の中での「気づき」だったそう。

ルーカスさん 「世の中の問題について、ただ議論をするだけ」はもうやめよう。とりあえず、やってみよう!

そんな言葉に答えたのが共同創業者のニコラスさん。彼らは他の7人の学校の友人と協力し、今年7月にOrange Sky Laundryの活動を始めました。

ルーカスさん そもそも「あの人は、ホームレスだ」という意識が、まずわたしたちの目を曇らせているんです。

だから、子どもたちにもOrange Sky Laundryのボランティアに参加してほしい。大人のボランティアと、学校に通う子どもたちが一緒に車に乗って、ホームレスの方とおしゃべりする。いつか、そんなこともしてみたいと思っています。

と、話すルーカスさん。

現在、試運転中のOrange Sky Laundryですが、2015年末までにオーストラリア全土に広がることを目指しているそう。2人のエネルギッシュな活動を見ていると、もっと大きなトラックに6台の洗濯機と乾燥機を積んで、オーストラリア中を回っているのが想像できますね。
 
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ルーカスさん(左)と、ニコラスさん(右)。Orange Sky Laundryの名前は、自分たちの好きな色であるオレンジ色と、「世界の兄弟を救おう」という歌詞のMurdoch Alexiの「Orange Sky」から、とっているそうです。

現在ブリスベンだけでも、300人以上が寝心地の悪い公園のベンチや橋の下、道路、駐車場、廃墟で眠っているそうです。しかし食べ物やシェルターを提供する団体はあるものの、今まで移動式で洗濯サービスをする団体はありませんでした。

衣食住という生活の基本になる衣服ですが、食事や住居の支援とくらべると、軽視されてしまいがち。Orange Sky Laundryは、生きていくためだけでなく、コミュニティに復帰してもらうために必要な支援について考えさせてくれます。
 

[via Orange Sky Laundry, facebook, Huffington Post, Mail Online, 7News, QUT NEWS,The Post-man Pat]
(Text:きとうかよ)