公園や河原を歩いていると、愛犬と仲良く散歩している人々の姿をよく見かけます。わたし自身は犬を飼ったことはありませんが、ペットを家族のようにかわいがる友人から話を聞くたびに、動物の持つ力を感じます。
その一方でアニマルシェルターには、捨てられたり虐待されたりと、なんらかの理由で飼い主のもとを離れてしまった犬や猫が多く集まっています。
アメリカには4000〜6000ヶ所もアニマルシェルターがあり、米国人道協会(HSUS)の推定では年間600~800万頭の動物が、迷子や心無い飼い主の放棄や虐待によりシェルターに入れられているのだそう。そして、その運営には多額の費用がかかるため、存続危機のシェルターもあるのだとか。(出典:ALIVE)
今回は、そんなドッグシェルターで暮らす犬を救うために、アメリカで開発された「Walk for a Dog」というアプリをご紹介します。
こちらのアプリ、起動させて犬の散歩に行くだけで、歩いた距離に応じた額がアニマルシェルターに寄付することができます。アプリでは寄付するシェルターを選べることができ、選択したシェルターには1マイル(約1.6km)歩くごとに11~15セントが寄付されるのだとか。
散歩する相棒を選択してスタート!白いボタンを押すと、Walking, Runnning, Bikingの3種類から各自の散歩スタイルを選ぶこともできます。
歩いた時間と距離、スピードをチェック。休憩するときはPauseを、終わるときはStopを押します。その日の散歩データをFacebookやTwitterにシェアできる嬉しい機能も。
過去のデータも確認することができます。
でもなかには、「犬は飼っていないけれど、シェルターに暮らす犬を少しでもサポートしたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。犬を飼っていない方も、登録の際に「Walk with Cassie」という機能を選択することで、日々の散歩やジョギングの距離に応じた金額を寄付することができます。
愛犬の登録画面。右下には、犬を飼っていない人向けの「Walk with Cassie」のボタンが。
気になる寄付金はすべて、アプリに表示されるスポンサーの広告費から捻出しています。ペット産業は、アメリカだけでも年間600億ドルにも及ぶ大規模市場。Walk for a Dogでは、そんな大規模な市場と愛犬家をアプリでつなぎ、新たな関係を築いています。
アプリの画面には、このような広告が出てきます。
「当初は、犬と散歩した距離だけを測る機能だけを考えていた」と語るのは、アプリを開発した「WoofTrax」のCEOであるDoug Hexter(以下、ダグさん)。
しかし、何かユーザーを刺激させる機能が必要だと考えたダグさんは、犬の散歩と動物団体への寄付を関連づけることを思いつきます。
このアイデアは、エクササイズを通して人と犬をつなぐと同時に、人々のエネルギーとソーシャルグッドをつなぐこともできると考えました。
新しいことを人々に広めるのは大変です。でも、多くの人々が毎日犬の散歩をしている。だから、わたしたちのやるべきことは、その散歩を応援しちょっとした価値を加える。これだけなんです。
と、ダグさん。
今ではWalk For A Dogのユーザーは10万人を超え、これまでに1万ドルの寄付金が約4000のシェルターに分配されたといいます。
支援を受けたシェルターの一つ、ペンシルバニア州の「SPCA」のJustica Calgianoさんは「アプリを通して10ドルでも寄付していただくだけで、シェルターで暮らす動物たちの暮らしが豊かになるのです」と話し、アプリを通じて集まる寄付金に助けられている様子。
わたしたちは「社会のために役に立ちたい」と思うと、何か新しいことを始めなきゃいけないと考えてしまいがちですが、Walk for a Dogは毎日の習慣にこそ社会とつながるきっかけが潜んでいると教えてくれます。
みなさんも日々の習慣に一工夫加えるところから、ほしい未来をつくるためのアクションを始めてみませんか?
[AGC,huffingtonpost,SanFranciscoChronicle,WoofTrax]
(Text:大石真由)