夜に外を歩いていると、少し肌寒さを感じる季節になってきました。
これからのあったかコーディネートに欠かせないのが、ニットのアイテム。今年のニットを買うときは、ぜひ「Granny’s Finest」も候補に入れてみてはいかがでしょうか?
「Granny’s Finest」は、オランダのニットブランド。商品は若手のデザイナーと、編物が得意なおばあちゃんたちとのコラボレーションによってつくられ、以前にgreenz.jpでもご紹介したフランスの「Golden Hook」とも似た、世代を超えた商品になっています。
「Granny’s Finest」が生まれた2013年当時、オランダの65歳以上の人口は260万人。さらに、その半分近くである約100万人の高齢者が、何かしらの寂しさを感じているという社会課題がありました。
そこで「Granny’s Finest」では、そんなおばあちゃんたちに社会との関わりをつくるべく、若い人々や編み物が好きなおばあちゃん同士の交流の場を大事にしています。売り上げの一部は、おばあちゃんたちが昼間をより楽しく過ごせるように、ニットができるカフェを用意したり、屋外でニットをつくるイベントの開催に充てられています。
以前オランダには、家族の服を手づくりする習慣があり、多くの人々がニットを編むことができたそう。そんなおばあちゃんたちの技術を習得できることは、若手デザイナーにとっても大きなチャンスとなります。
そしてデザイナーに限らずメイクアップアーティストやカメラマンを志す若者も、Granny’s Finestのブランドづくりには携わり、将来に向けた経験を積みながらブランドイメージの洗練に一役買っています。
おばあちゃんたちの技術と社会課題をつなぐ。
創業者のオランダのNeik Van Hengelさん(以下、ニックさん)は、おじいさんに会いに老人ホームへ行ったとき、編み物をするおばあさんに偶然出会います。
彼女には家族や友だちがおらず、ただ時間をつぶすためだけに、とても美しいニットをつくっていたそう。この光景を、当時ビジネスを学んでいたJip Pullesさん(以下、ジップさん)に伝えたところ、ニットの市場の大きさを知り、社会起業コンテストを通じて起業にいたりました。
ニックさんは、Granny’s Finestのコンセプトについて、こんなふうに語っています。
このプロジェクトの一番の目的は、社会性なんです。
おばあちゃんたちには、何よりも昼間に楽しく過ごしたり、だれかに気にかけてほしいと思っています。お金は、彼女たちにとっては、本当に足りていないものではないのです。
孤独の問題は、少子高齢化が進み、新型コロナウイルスのパンデミックで拍車がかかった日本でも深刻な社会的課題。一方で、実はおばあちゃんたちのスキルを必要としている人は、意外と多いのかもしれません。
多様な世代の交流によって解決される社会的課題は、他にもたくさんあるのではないでしょうか?
[via Granny’s Finest,springwise,changemakers,Vrij Netherland,arab news retrieved October 2014]
(編集: スズキコウタ)