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寄付がこんなに気持ちいいなんて!寄付へのハードルを下げると同時にモチベーションを上げる電子ポスター「THE SOCIAL SWIPE」[Cannes Lions 2014]

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2014年の「カンヌ国際クリエイティブ祭」受賞作の連載「Cannes Lions 2014」。今回はドイツからの事例「THE SOCIAL SWIPE」をご紹介します。

みなさんは、最近どこかに寄付をしましたか。社会的な課題が増え、さまざまな非営利団体が活動をしている中、どの団体も寄付を集めるのに苦労をしている様子。1958年からドイツで貧困にあえぐ人たちをサポートしてきた団体「MISEREROR」も、例外ではありませんでした。

寄付金を増やすためにMISERERORが着目したのは、寄付をためらう人たちの行動と心理。寄付をためらう理由にはいくつかあると思いますが、よくあるのはまず、「寄付するのにちょうどいい金額の現金を持ち合わせていない」という物理的な理由。そして、「寄付した結果どうなるのかイメージがわかない」という心理的な理由。

この2つのハードルを乗り越えるために考え出されたのが、最新のIT技術を駆使してつくられた特殊なデジタルポスターでした。このポスターは寄付を呼びかけるだけではありません。ポスターそのものが、寄付を受け付ける窓口になっているのです。
 
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ご覧の通り、画面の真ん中には溝が入っているのですが、その溝にクレジットカードを通すだけで寄付ができるように。

いつもの買い物で使うクレジットカードを使う多くの人はお財布にカードを入れているので、手持ちのお金がなくても気持ちさえ動けばサッと寄付ができるようになっています。
 
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思いついたらカードを通すだけ!

さらに、真ん中の溝にクレジットカードを通すと、デジタルポスターの画面が変わります。

たとえば、画面上にロープでつながれた両腕が表示されているときに、ロープを切るような動きでクレジットカードを通すと、ロープが切れて人の手が自由になる様子を動きで表示。不当な逮捕をされた人を救う活動に寄付することができたことが感覚的に伝わるようになっています。
 
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食糧難に悩む人々へパンを贈ることも、このような画面で感覚的に認識できます。

継続的な寄付を呼びかけるためのフォローも。

それだけでは終わりません。寄付をしてくれたあとのフォローも実にスマートです。寄付をした人に届くクレジットカードの明細には、なんと継続的な寄付を呼びかけるメッセージが印字されるのです。
 
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「寄付いただき、ありがとうございました。MISERERORでは、月額の寄付も受け付けております」

カードをサッと通すというカンタンな動きと、カードを通したあとのワクワクするビジュアル効果で寄付に対する心理的なハードルを下げ、さらに気の利いたフォローをする。

こういった、これまでにない「気持ちいい」寄付の仕組みのおかげで、MISERERORは前年の同じ時期と比べて、3回以上継続的に寄付をしてくれる会員を25%も増やすことに成功しました。
 

「THE SOCIAL SWIPE」の”SWIPE”には、「カードを切る」という意味と、「ぬぐう」という意味があります。サッとカードを”切る”ことが、社会的な問題を”ぬぐう”アクションになる、ということですね。

ここまで大掛かりな仕掛けを考え、実行するのは簡単なことではありません。でも、これまでの寄付の仕組みを考え直し、工夫する余地はまだまだあるのかも知れないと思わせる事例なのではないでしょうか。

カンヌ2014の連載は、まだまだ続きます。次回も、お楽しみに!

(翻訳アシスタント:猿田幸絵 /「greenz global」編集部)